美しき異形達
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第五十話 明かされる真実その七
「それにです」
「しかもだよな」
「その伯爵はどうやら私達に敵意を持っている」
「相当長い話になるしな」
「はい、ですから」
「神戸に戻ってからだな」
「先輩にお話しましょう」
桜も言うのだった。
「その様に」
「それじゃあな」
「そういうことね。じゃあ神戸までは」
菫は窓の外を見ていた、その窓の外には。
富士山が見えていた、その富士山を見つつ薊に言った。
「ゆっくりしましょう」
「何も出来ないからな」
「ええ、だからね」
「何か食うか?」
「駅弁?」
「ああ、それどうだよ」
薊はここで食い気を出した。
「売りに来る人いるしな」
「駅弁ね。いいわね」
鈴蘭が駅弁に反応して薊に応えた。
「それではね」
「ああ、頼もうな」
「売りに来る人が来てくれたらな」
「それじゃあな」
「何を食おうか」
薊はその話に考えを移していた。
「駅弁っていっても色々あるからな」
「悩むわね」
黒蘭も薊の言葉に応えて言った。
「その辺りは」
「ああ、あたし的には海鮮系かね」
それの弁当だというのだ。
「高いけれどさ」
「蟹やイクラ」
「鮭とかさ」
そういうものがいいというのだ。
「今はそうした気分だよ」
「いいわね」
黒蘭も薊のその言葉に同意して頷いた。
「それではね」
「売りに来る人待とうな」
こう話してだった、まずはだ。
その売り子の人を待った、そしてその人が自分達のところで来たところでだ。それぞれの弁当を買ってだ。
そのうえでだ、薊は自分が買った海鮮弁当を食べてだ。
焼肉弁当を食べている裕香にだ、こう言った。
「そっちも美味そうだな」
「焼肉弁当ね」
「ああ、海鮮弁当も美味いけれどな」
「半分こする?」
裕香は微笑んで薊に提案した。
「それなら」
「いや、それまではな」
「いいの?」
「ああ、別にさ」
そこまではとだ、薊は裕香に答えた。
「いいからさ、ただ帰ったらな」
「神戸にね」
「肉食いたいな」
「寮結構肉料理出るからね」
「豚肉なり鶏肉なりな」
「あと羊肉ね」
マトンもラムもだ、寮では出て来る。
それでだ、薊も言うのだった。
「じゃあ寮で食うか」
「そうすればいいわね」
「だよな、まあ神戸に戻って先輩と会って」
「一緒に博士のところに行って」
「伯爵のことも聞くか」
「そういえば伯爵というと」
ここでだ、菖蒲がふと言った。伯爵という言葉からだ。
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