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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第九幕その六

「紅茶が一番にしても」
「それでもだね」
「日本のお茶も」
「どんどん好きになってきて凝ってるよ」
「お抹茶も飲んでるわね」
「こぶ茶や麦茶もね」
「じゃあ玄米茶は」
「あれもいいね」
 非常にというのです。
「とても」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「日本のお茶は凄い種類だから」
 それが、というのです。先生もその緑茶を飲みつつお話します。
「それがね」
「どうかというのね」
「いや、普通にね」
 それこそ、というのです。
「どれを飲むべきか迷うよ」
「買う時も」
「そう、その時もね」
 本当にというのです。
「どれを買おうか迷って困るよ」
「それだけ日本人がお茶を愛しているってことね」
「茶道もいいね」
「正座が辛くても」
「あれは日本の最高のティータイムだよ」
 それこそ、というのです。
「いや、本当に」
「正座になれるとね」
「もっといいんだね」
「正座もそのうち慣れるわ」
 座っているうちに、というのです。
「だから毎日座っていればいいよ」
「いや、そこまではね」
「座る気はないのね」
「辛いからね」
 正座がというのです、イギリス人に先生にとっては。
 そうしたお話をしてでした、そのうえで。
 お静さんはお茶をご馳走になってから研究室を後にしました。そして先生も動物の皆といい時間になってからです。
 お部屋を後にしました、ですが研究室のある棟を後にしたところで。
 そこで、です。日笠さんがでした。
 先生のところに来てです、こんなことを言ってきました。
「こんにちは、先生」
「あっ、日笠さんこんにちは」
「今からそちらにお邪魔しようと思っていたのですが」
「動物園で何かあったのですか?」
「いえ、そうではないのですが」
 それでもというのです。
「ただ、お話がありまして」
「動物園のこと以外で」
「はい、そうです」
 それで、というのです。
「ですが今から」
「はい、帰ります」
「そうですか」
 そう聞いてです、日笠さんはとても残念そうなお顔になりました。ですがそれでも先生にお顔を向けて言いました。
「今度の日曜ですが」
「日曜日ですか」
「お食事にでも行きませんか?」
 こう先生に言うのでした。
「いいレストランを知っていまして」
「レストランですか」
「はい、イタリア料理の」
 そのお店にというのです。
「パスタがとても美味しい」
「あれっ、これって」
「そうだよね」
「どう見てもね」
「日笠さんからのね」
「先生へのね」
 動物の皆はここで気付きました。 
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