ドリトル先生と二本尻尾の猫
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第九幕その五
「ないわよ」
「そこまでは」
「というか欧州の方がね」
日本で生まれ育ってきているお静さんからしてみればなのです。
「極端っていうか」
「宗派の違いで揉めることが」
「ええ、何か違うわ」
こう言うのです。
「むしろね」
「それだね、宗派の違いで戦争にまでならないことは素晴らしいことだよ」
先生も頷いて言います。
「殺し合いもないよね」
「お坊さん同士が説法が過ぎて殴り合いになることはたまにね」
「それ位ならね」
「何でもないわね」
「暴力はよくないことだけれど」
先生は暴力が嫌いです、他の人を殴ったりしたことは一度もありません。罵ったことすらない人ですから。
「それでもそれ位で済んでるのなら」
「いいことだね」
「まだね」
「ならいいよ」
こうお話するのでした。
「本当にね」
「それで私もなの」
「神社もお寺も巡って」
「神父さんにも牧師さんにもお願いしたわ」
「あらゆる神様のお力を借りて」
「お願いするわ」
絶対に、というのです。
「そして何としても」
「お二人をだね」
「結び付けてもらうわ、縁結びの神様にもお願いしたし」
また言うのでした。
「囁いていくわ」
「それでもこの二日はだよね」
ここでこう言ったのはホワイティでした。
「お二人は動かなかったんだね」
「中々ね、そっと頭の中に向けて囁いているけれど」
「妖力を使って」
「そうなの」
まさにそうして、というのです。
「それでそうしてるけれど」
「まだなんだ」
「二人共ね」
それこそ、というのです。
「今一つ勇気がなくて」
「そうなんだ」
「あと一歩なのよ」
お静さんの言葉もかなり切実です。
「そこで踏み出してくれないの」
「困った流れだね」
「これをどうするのか」
「それがだね」
「いや、どうしたものか」
それこそ、というのです。
「まあそれであと一歩だから」
「このまま囁くんだね」
「ええ、そうするわ」
先生にも答えます。
「あと一歩だから」
「よし、じゃあね」
「任せておいてね」
「じゃあ二人がお話して」
「デート出来た時はね」
「僕達は、だね」
「見ていてね」
隠れて、というのです。
「ここは」
「わかったわ、それじゃあね」
先生も頷きます、そしてなのでした。
先生はお静さんにお任せすることにしました、それが今の先生の決断でした。その決断の後でなのでした。
先生はお静さんにお茶を出しました。そのお茶は。
「あっ、緑茶ね」
「うん、日本のお茶だよ」
「先生確かに日本のお茶も好きね」
「どんどんそうなってきてるね」
先生ご自身もこう答えます。
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