インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜
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私のパートナー
前書き
やっぱり、俺達より私達の方がいいのかな?
織斑先生に勝負をお預けにされた後、私らは凰さんとオルコットさんを連れて保健室に来ていた。
結果としては打撲。学年別トーナメントには残念ながら、棄権となった。そして、今 むす〜と頬を膨らませている二人に一夏とシャルルが話しかけているところだ。私はというと、壁に背中を預けてその光景をぼゥ〜見ている。
「ま。先生も落ち着いたら帰っていいって言ってたし………」
一夏の台詞を遮る複数の足跡。いや、この音は走っているな。
(廊下を走ったら、千冬お姉ちゃんに怒られますよ……)
ガラガラ。ドドドドドッ。
保健室のドアが開いたかと思ったら、ゾロゾロと入ってくる人。人。人。私はその人の群れに飲まれていく一夏とシャルルをただ呆然と見つめていた。その人壁の中から声が聞こえてくる。
「織斑君、私と組んで」
「デュノア君、私と組んで」
それを境に上に突き上げられる白い紙を持った手。手。手。
(うわぁ……軽くホラーですね……。この光景……)
「えっ……えっと……」
「………」
シャルルの困った声と一夏の絶句が微かに聞こえる。私はこの状況であることに気づく。
シャルルは本当は女の子なのだから、誰かと組むのは危ないのでは?ということは私がシャルルと組むと宣言した方が……。
「悪い。みんな、俺もうシャルルと組むことに決めたんだ」
「「えっ!?」」
一夏のその言葉に見事なシンクロでハモる私とシャルル。
(でも、他の人よりかは一夏の方がいいですね)
私は溜息をフゥーと着く。そして、一夏&シャルルに断られた女子達はパッと振り返るとその応募用紙を私に突きつける。
(???)
「じゃあ、那珂さん。私と組んでよ!」
「はぁ……」
「いえ、私と」
「あたし!あ・た・し!!」
「いや。皆さん?ここ、保健室ですし……もうちょっと静かにしませんか?」
しかし、それでも騒ぎは止む気配がない。その騒ぎの中、ヒソヒソ声が聞こえてくる。
『那珂さんと組んだら、優勝間違えなしだよね?』
『だって。あの銀髪の転校生と互角だもん、それ以上かも』
『勝てたら、織斑君と付き合えるんだもんね』
『フフフフ』
(あぁ……、なるほど……。そういうことですか……)
そのヒソヒソ話で教室があんなに騒がしかったのも、私を必要以上に勧誘してるのも納得だ。
優勝するには、何処かで絶対あの黒いIS・ラウラ・ボーデヴィッヒを打ち取らなくてはいけない。しかし、今の自分達では絶対勝てないと見込んだ為、互角の強さを持っている私を勧誘と。
(甘く見られてものですね……)
私はフゥ〜と息を吸い込むと口を開く。
「すみません。皆さん、私。誰とも組もうと思っていないのでお引き取りお願いします」
途端、え〜なんで〜とか組む予定無いなら組んでよ〜とか野次が飛んでくる。
「いや。組む予定が無いのではなく、私は自分の運を信じてみようかな?と思っているのでクジで相方を決めようと思います」
クジ。それは最終日になってもパートナーが決まらなかった人が先生達が引いたクジでパートナーが決まってしまうというものだ。私は特にこのトーナメントで勝とうとも思ってないので正直パートナーは誰でもいいのだ。
その後、ドボドボと帰っていく生徒達。私はその後ろ姿にバイバイと手を振る。私は振り返って後ろを見ると四人がなんともいえない顔をしていた。そんな微妙な空気が数分流れた後、一夏がポツンと
「………その、優里?」
「なんですか?一夏?」
「その、俺ことは気にしないで好きな奴と組んでいいだぞ?」
「…………なんですか?一夏。自惚れですか?」
「なっ!人が心配してやってるのに」
「だから、言ってるじゃないですか。私は自分の運を信じると」
私はそう言って、保健室を後にした。
☃☃☃
数日後、私のパートナーが決まった。
「………」
目を丸くして、それを見る私。
そこにはーー
那珂優里&ラウラ・ボーデヴィッヒ
と書いていた。
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