ハッピーライフ(ノベルゲーム)
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はじまり(パート1)
前書き
ノベルゲーム風に執筆し、小説とは書き方が異なっていますが、最後まで読んでくださいましたら幸いです。前半はコメディーに、そして後半からシリアスになっていきます。そして最後には読者様を絶対に泣かせますので、これからもよろしくお願いします。
優斗ゆうと「あ、やべ、もうこんな時間!」
目覚まし時計を見ると7時にセットしたはずだったのに、現在の時刻は7時40分。
俺は燦々と降りそそぐ日光に浴びながらベッドから跳ね上がった。
優斗「またやられた……」
これは多分、お母さんの仕業だ。うちのお母さんは目覚まし時計の時間をセットしても、勝手に針を逆さまにするという、恐ろしいことをする人なのだ。
優斗「もうこれで何回目なんだろうか……」
途方にくれる。
針を逆さまにするということは、まさに地獄。
例えれば、6時にセットしたら、反対の12時にセットされることになる。だから、7時にセットするということは、12時の右隣、そう、1時にセットすることになっているのだ。
優斗「もう、目覚まし時計の機能が、意味ないじゃん……」
それだったら、ただの時計になってしまう。というか、もうすでに「目覚まし時計」の「目覚まし」の言葉がなくなってる状況だし……
優斗「本当にどうしたらいいのかな」
じっくり考えたいのだが、時間がないのでやめとくことにする。
優斗「よし、気持ちを切り替えて、ご飯に直行ー!」
俺は忙しく、自室のドアノブに手を添えた。
するとその瞬間、ドアが自動的に開き、その奥にはお母さんがたっていた。
お母さん「優斗、また寝坊しちゃったの。もう~~、だらしないんだから~~」
と、両腕をピンと上げるという、挑発的なポーズでそう言った。
このポーズを可愛い人がやったら萌えるけど、お母さんがすると、気持ち悪いというか、似合っていないというか、さすがにひいてしまう。距離で表すと、1キロぐらいかな。
お母さん「目覚まし時計なんて必要ないんだから、自分で起きなさいよ」
優斗「いや、絶対に必要だよ!それじゃあなんで目覚まし時計を買ったの!?」
お母さん「それはね、ただ時計がほしかったからなんだよね~」
優斗「そういうことだったら、目覚まし時計より、普通の時計を買えばいいじゃん!」
お母さん「時計だったらつまらないじゃない。優斗を、い・じ・め・ら・れ・な・い・じゃ・な・い」
最後の、い・じ・め・ら・れ・な・い・じゃ・な・い、が失礼かもしれないけど、かなり気持ち悪い。
しかも親が愛する息子をいじめて楽しむとは……このお母さん、ただ者じゃないよ!
ここは反撃しよう。
優斗「また同じようなことをすれば、家庭内暴力として教育機関に訴えるからね!」
お母さん「い、いやいや、家庭内暴力って……お母さん、優斗に暴力なんて振ってないじゃない」
優斗「暴力でなくても、問題行動=暴力っていうことにするからね!」
これでお母さんに勝利したかな。
お母さん「う……ここまでお母さんを追い込むなんて……なかなかやるじゃない」
優斗「成長したんで」
俺はそう自信満々な表情で言ったのにもかかわらず、お母さんは顔を緩みながらおかしな眼差しを俺に向けてきた。
お母さん「ぷ、優斗が成長した?そんなことあるわけないじゃない。ぶ、ブフッ」
優斗「そんなに笑うなんてひど!せっかく我が息子が成長したというのに、なにも感じないの!?親だったら喜ぶべきでしょ!?」
お母さん「ご、ごめん、つい噴き出しちゃって。もう笑わないから。ブ、ブフッ」
優斗「結局笑ってるじゃん!」
お母さん「あ、ごめん。で、でも、こらえきれないのよ」
我慢して笑いをこらえているお母さん。
なにもこんな笑うのを我慢する必要があるのか?
息子が成長したっていうのに。
お母さん「キャハハハハ!ウフフフフ!」
優斗「背中を床にこすりながら笑わないでよ!見てるこっちが恥ずかしくなるじゃん」
そして俺の心の傷が笑うとともに深くなる。
お母さん「ほ、本当にごめん。でも、もうおもしろくておもしろくて……ウフフフフフフ!」
優斗「もういいです……」
俺はお母さんの言動に呆れつつ、目覚まし時計に目線を移動した。
優斗「し、7時50分!?はやく学校にいかないと!」
お母さんを論破しようと思ったのに失敗に終わり、10分も話していたなんて……お母さんはほっといて、制服に着替えて朝食食べて学校に行かなくちゃ。
俺は開け放たれたドアを通り過ぎ、階段を下りようと足を進めたとき
お母さん「ご、ご飯は……ブフ!食卓の上に……ブフ!あるから……ブフ!ね……ブフ!」
と腹を抱えながらも言い切るお母さん。
優斗「どんだけ笑ってるの!もうお母さんなんて知らないんだからね!」
俺はそう反抗し、ズトンズトンと階段を下りた。
朝食はいたってシンプル。食パンにバターをぬり、その上には砂糖を無造作にかける。これが実においしくて、毎朝飽きずに食べている。
「ごちそうさまでした」
それから急ぎながらもパジャマ姿から制服に着替え、玄関を出ようとしたとき
お母さん「優斗、今日は大事な試験があるんでしょー。ほら、お父さんのお守り」
と背後からお母さんの声が聞こえた。
優斗「お、ありがとう」
俺は後ろを向き、金色に輝くお守りを手に預け体を回転させる。
お母さん「テスト頑張ってね。もし五教科合計で三百五十点以上とったら、一つだけ優斗の言いなりになってあ・げ・る・か・ら・ね」
あ・げ・る・か・ら・ね、の言葉に悪寒が走った。
三百五十点以上で僕はお母さんに一つだけお願い事をすることができるのは嬉しいが、なにやらいやらしい方向に考えているような気がする。
優斗「うん、わかった。ありがとう。それじゃあ行ってきまーす!」
お母さん「いってらっしゃーい。優斗の言いなりになったら、私、愛を育みたいなあ」
最後の言葉は無視して、俺は走りながら手を振った。
後書き
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
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