現れた冥王の宿敵
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第3話 前世
前書き
設定を兼ねて行きます。
前世の芝山 一木は、光技と暗術の両方が使えた“魔剣士カリバーン”。
人間の世界を見守る神がいる天界にて出会った天使の母と堕天使の父の間に産まれた子供だ。
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一木が聖と邪の暗術が使えるのは、前世でこの様に出世した為だ。
しかし、天使と堕天使は、いわゆる光と闇、言い換えれば対となる存在だ。どの様な事情があっても、交わる事は許されない。交わろうものなら、即追放だ。無論この2人も追放処分を受けた。しかし、この2人は、冷静にそれを受け入れた。
“自分達の愛の為なら、追放されても構わない。”
これが2人の言い分だった。
その結果、この2人は天界から追放されて、人間の世界に降り立った。
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その後夫婦となった2人は、鍛冶屋を営み、幸せに暮らした。
それから数年後、この2人の子供であるカリバーンは産まれた。
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その後、カリバーンは成長の過程で暗術と光技を習得し、故郷最強の戦士となった。
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大人になったカリバーンは…、
“この世界の広さを知りたい。”
と言い出した。
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そういう訳で、カリバーンは両親の元を離れ、旅立つ事になった。
その直前、父はカリバーンに、大事にしていた2本の妖刀“虎牙,狼牙”を託した{これが、後の一木の固有秘宝“双刃妖刀 虎牙,狼牙”(左腰に差すのが虎牙、右腰が狼牙)である}。
これを受け取ったカリバーンは両親に感謝して、故郷を出た。
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姿は、腰まで届く黒くて長い髪(一木が長い黒髪にしているのはこの為)に、焦げ茶色のフェドーラ帽,黒い革手袋,外側が黒で内側が白のマント,黒のシャツ,茶色のジャケットとズボン,更に茶色の革のブーツと極めて暗い色だ。
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故郷を出たカリバーンは、魔物を光技を用いて退治したり、病に伏した人々を暗術を使って清めたりして世界を放浪した。
そうして旅を続ける中、カリバーンは“魔剣士カリバーン”と呼ばれ、恐れられる様になった。
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ある国で暴虐の限りを尽くした国王を禁呪を用いて討ち取ったカリバーンはいちやく人々の人気者となり、賊に襲撃される事もあったが、全て返り討ちにした。
数多くの国の国王から勧誘を受けたが、硬く断わった。
求婚された事もあったが、それも断わっていた。
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そんな旅の途中で、カリバーンがとある国を訪れた時、カリバーンは絶句した。
そこは、辺り一面が氷に覆われた国だったのだ。
人も動物も植物も川も、全てが凍っていた。まさに、そこは氷の地獄であった。その様な国は1つだけではなかった。十いや二十を超えた。
“酷い、一体誰がこんなことを……。”
カリバーンはこう思った。
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その後、その正体が明らかになった。(前世の諸葉)冥王シュウ・サウラだった。
冥王シュウ・サウラは禁呪を使って幾多の国を滅していた。
更に、冥王はカリバーンの故郷をも氷漬けにし、カリバーンの両親の命を奪った。
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これを知ったカリバーンは激昂し、冥王シュウ・サウラを討つべく冥王の居城に赴き、冥王と冥府の魔女(前世の静乃)を相手に戦った。
最初は冥王と冥府の魔女におされていたカリバーンだったが、邪の禁呪を用いた事で冥府の魔女を倒し(この際の話は、静乃は夢を通して知っている。)、更に聖の禁呪と光技を駆使する事で冥王を倒す事に成功した(この際の話は、諸葉は夢を通して知っているが、禁呪で倒されたかは知らない。無論、静乃が禁呪で倒された事も知らない。)。
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だがその直後、カリバーンは息絶えた。
原因は、無茶による過労であった。
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その後、カリバーンの死を知った人々は悲しみ、この様な惨劇が2度と起きない様、その地に彼の慰霊碑を建て、彼を崇拝する様になる。
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そして世界中の国々は、カリバーンを“世界の英雄”と讃えると同時に、カリバーンの武勇を忘れない為に後世に伝えて行く様になった。
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ここで、聖と邪の暗術について解説しよう。
聖の暗術は、純粋な光の力を持って闇を払い、更に、人の心を清める能力がある。
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邪の暗術は、純粋な闇の力を持って人の心に宿る闇の心を吸収し、自分の力に変える。
これが聖と邪の暗術の特徴だ。
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邪の暗術はそれ以外に、威力が高いのも特徴の一つだ。
例えば、邪の第一階梯暗術"闇の電撃(ダーク・スパーク)"の威力は、他の属性の第三階梯暗術に匹敵する威力がある。
邪の第十三階梯暗術"終焉への鎮静歌(ズィ・エンド・オブ・ザ・レクイエム)"は、辺り一面を塵に変えてしまう程の威力がある。
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それに対して、聖の暗術は威力が低い代わりに、特殊効果があるのが特徴だ。
例えば、聖の第八階梯暗術"聖なる遮光(ホーリー・レイン)"は第五階梯暗術並みの威力だが、ダメージの与えた対象を麻痺させることが出来る。
聖の第十三階梯暗術"原初なる天の遮光(エレメント・サンシャイン)"は第八階梯暗術並みの威力だが、相手の精神に直接作用して闇を払うが、最悪の場合、相手を廃人同然にしてしまうこともある。
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聖と邪の暗術には、こういった特徴がある。
だがその代わり、聖と邪の暗術を使える救世主は、それ以外の属性の暗術が使えないという欠点があり、決してメリットばかりではない。
後書き
次回、一木が街に赴きます。
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