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馬人

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2部分:第二章


第二章

「最初に来た人間はです」
「我々によって拷問されて色々言わされたうえにです」
「殺されています」
「馬鹿な、それでは」
 その話を聞いてだ。ガリバーは驚きの声をあげた。あまりにも驚いたのでその手に持っているその紅茶を溢しそうになった。
「我々人間と同じではないですか」
「はい、ですから同じです」
「同じなのですよ」
 あらためてガリバーに話す彼等だった。
「しかし何人も来られるうちにです」
「貴方達を受け入れるようになったのです」
「そして私もですか」
「若し貴方が最初にこの国に来られた人間ならばです」
「その時はです」
 言葉に剣呑なものが宿る。
「貴方は死んでいたでしょう」
「私達に殺されていました」
「偏見ですか」
 ガリバーはその殺される要因が何か口に出した。
「それによってですね」
「それと無知によってです」
「その二つによってです」
 その高潔だと思われる彼等によってだ。殺されるというのである。
「そうなっていたでしょう」
「間違いなく」
「左様ですか」
 ガリバーはここまで話を聞いて唸る様に呟いた。
「私はそうなっていましたか」
「その通りです」
「そしてです」 
 フウイヌム達の話はさらに続く。
「この国は多くの問題を抱えています」
「私達の国だけではなくです」
「貴方達の国だけではない」
 ガリバーは彼等の言葉のその部分に注目した。
「といいますと」
「我々フウイヌムも多くの国に分かれていまして」
「互いに争っているのです」
 そうだというのである。
「中には国内で争っている国もありますし」
「実際に我が国も戦争中です」
「馬鹿な、そんな」
 ガリバーはまた彼等の言葉を疑った。
「こんなに平和なのにですか」
「ははは、戦争は戦場で行われるものです」
「普通は屋敷では行われるものではありませんよ」
 フウイヌムは笑ってガリバーに話した。
「遠い国境においてです」
「戦争が行われているのですよ」
「左様ですか」
 ガリバーはその話を半ば呆然となって聞いていた。
「そうだったのですか」
「はい、そうです」
「今度の戦争はかなり長く続いています」
 戦争について具体的な話になっていた。
「何しろあちらの国の王位継承が絡んでいますから」
「それに我々が異議を唱えていますし」
「本当に同じですね」
 ガリバーはその戦争の理由を聞いてまた呟いた。彼の国イギリスもまた他国や自国の王位継承に絡んで多くの戦争を経てきたからだ。王位継承によって生まれる利権を狙ってのことである。
「それもまた」
「はい、犯罪も起きますし」
「例えばです。御覧になれますか」
「犯罪をですか」
「いえ、裁判をです」
 それをだというのである。
「犯罪を犯せば裁判がありますね」
「ええ、まあ」
「それは私達の世界でも同じなのです」
 こうガリバーに話す。
 
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