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フレッシュ&スウィート フルーツプリキュア!

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団結力こそ最強の力なり
成仏できない悪霊ゲキイテエー
  第40話

 
前書き
 タイトルが今回もテレビ本編第41話と同一なので、記載しません。
 祈里だけでなく、山吹家家族全員が御子柴家主催の東京湾クルーズ船上パーティーに招待された。だが、ラビリンス軍のニューウェスターが部下を引き連れて東京湾クルーズ船シンフォニーをシージャックしようと企む!果たして、山吹家他乗客・乗員の運命は如何に。 

 
 2009年11月20日金曜日四ツ葉高校放課後

 「ああーーーっ、授業終わった。今日はレッスンなしだからね。」
 「あら、珍しいわね。」
 「トリニティ今日ダンスショーの開催日だからね。」
 「そうなの。」
 「ねえ由美、いつものドーナツカフェへ行かない。」
 「うん、行こう行こう。」
 その後、あの男子高生3人が姿を現した。
 「健人、あの白詰草へ通ってる子に渡すのかい。」
 「うん。」
 「無理しちゃってよ。家族単位で招待券送ってんだろ。」
 「僕の場合違うんだ。バースデープランだから。」
 「バースデープラン。」
 「そう、2名1室で個室を手配しているからね。」
 「良いなあ。」
 「白詰草の子って、名前は確か祈里ちゃんだったよね。」
 「うん。」
 「祈里ちゃんにバースデー祝ってもらい、ひと時過ごしたいんだ。」
 「健人、やるね。やるやる。」
 「祈里ちゃんに想いを寄せてるんだ。」
 「ところで、どこで待ち構えるのか。」
 「駅では人目に付くから、高島大門交差点南の森で茂みに隠れてから。」
 「良いね良いね。」

 今日も美希と祈里と麗子の3人は、池袋で待ち合わせ一緒に家路へ向かってる。

 数十分後、高島平駅

 「フォン、ゴオーーーーーッキューーンキューーンキューーンキューーンキューーーーウーーーゥーーーッ。プシュッ、ピンポンピンポン。」
 「ピューーーッピューーーッ。」
 「新高島平、新高島平。」
 「着いたわ。今日、真っ直ぐ帰るの。」
 「うん。」
 「久しぶりね。この駅で降りるのも。」
 2人は改札口へ近付いている。」
 「ピッ....ピッ。」
 2人は駅舎を出た。

 高島大門交差点南の森

 「来るのか。」
 「今日は、ドーナツカフェへは寄らないはず。」
 「そうか。」
 美希と祈里は、高島大門の交差点を通過した。
 「来たぜ。」
 「おら、出なよ。」
 「ああーーっ、ああーーーっ。」
 「健人君。」
 「健人君だけではないわ。裕喜、出て来なさい。」
 「わあーっ。」
 「裕喜、あたしには。」
 「いいえ、何でもありません。」
 裕喜は一足早く去って行った。
 「どうしたの。」
 「あのー、山吹さん。これ受け取ってください。」
 「ええーーっ。」
 健人の他、大輔も姿を現し去ってしまった。
 「どう言う風の吹き回し、ラブにも来てもらうわ。」
 「うん。」

 新高島平駅前付近の商店街

 ここで、ラブと由美の2人と合流した。
 「船上パーティ。」
 「うーーーん、これ。御子柴グループが保有している豪華客船『シンフォニー・モデルナ』で行われる船上パーティの招待券なんですって。」
 「シンフォニーって、東京湾クルーズの。」
 「お食事をしながら、東京湾を遊覧するあの船ね。」
 「すごい。」
 「きっと、貴重な体験ができるわね。」
 「いっぱい、おしゃれして行かなきゃね。」
 「うふふふふふっ。」
 「うむっ、無理無理。1人で船上パーティなんて緊張しちゃうし、それに着て行く服も持ってないもの。」
 「エーーーッ。もったいないなあ、ブッキー。」
 「ふうーーっ。」

 山吹動物病院

 「ただいま。」
 「お帰り。あら、ラブちゃん美希ちゃん由美ちゃんも一緒ね。良いところへ来たわ。祈里、これ健人君からもらったでしょ。」
 「ママも。」
 「もしかして、家族単位でのご招待。」
 「そうよ。パパも手にしてるわ。」
 「その方が安心ね。」
 「ねえ尚子オバさん、ブッキーの部屋へ行って良いかしら。」
 「良いよ。」
 「ブッキー、行こ行こ。」
 「うん。」

 祈里の部屋

 数分後、祈里宛に宅配便が届いた。

 「これって。」
 「健人君だからね。」
 祈里は、届いた宅配便荷物を開けてみた。
 「ああっ、あーーーっ。」
 「うわぁーーー。」
 「ドレスのプレゼントだ。」
 「これを着てパーティーにおいでってことよね。」
 「こんな高価そうなものもらえないよ。.....。クローバー。」
 「素敵。きっと、ブッキーのために選んでくれたドレスなのね。」
 「エーーーッ。」
 「せっかく、健人君が誘ってくれたんだし。」
 「楽しんで来なさいよ。」
 「でも。」
 「うふふふっ。」
 「で、出航日はいつ。」
 「えーーーと、明後日の11時50分。」
 「明後日の11時50分ね。」
 「分かったわ。明日、ミユキさんたちにも知らせないとね。」
 「そーーう。」

 ラビリンス総統官邸内 謁見の間

 「メビウス様、1ヶ月ほど前から御子柴グループを探っていました。不幸のゲージ満タン目指して配下を付けて出動を希望したいのですか。」
 「ニューウェスターよ、何をして満タンを目指すのか。」
 「シージャックです。」
 「シージャックだと。海の治安部隊までも揺さぶるのか。」
 「ハッ。」
 「どの船を狙う気だ。」
 「東京湾クルーズのシンフォニー・モデルナです。」
 「乗合船か。」
 「ハッ、乗合船の方が同乗しやすいからです。既に配下の兵士の分までチケットを手配しております。」
 「そうか。相分かった。ニューウェスターよ、配下の兵士共々行くが良い。」
 「ハッ。」
 ニューウェスターは去った。

 翌日、赤塚公園レッスン会場

 「何、祈里ちゃんが家族共々船上パーティに招待されたって。」
 「はい。」
 「何事も起きなければ良いのだけど。」
 「ラビリンスは、不幸のゲージ満タンを急いで凶暴なことをやるかもしれないよ。」
 「そうなの。」
 「無ければ良いけど、乗合運航の船だからね。ラビリンスだってチケットを手配すれば、簡単に入れるからね。」
 「健人君からの話だと、レストラン2店舗を貸切ってるみたいだけど。」
 「なるほどね。」
 「それなら、船上パーティーできるわね。」
 「元々、御子柴グループ運営の船だからね。」
 「で、どうするの。」
 「明日、レッスン中止ね。大森海岸でも行って様子を見ましょう。」
 「それ良い。」
 「決まりね。」
 「祈里ちゃん、案ずることないから明日、行って来て。」
 「はい。」
 「ところで祈里ちゃん。11時50分のランチクルーズだったよね。どんなプランなの。」
 「ランチ・バースデープラン、美味厳選和牛ステーキコース。」
 「バースデープラン。」
 「祈里ちゃんの誕生日じゃないわ。もしかして。」
 「健人君の誕生日。」
 「それで招待されたのね。」
 「健人君も女の子に興味を持つ年頃よ。」
 「だから。」
 「そう。道理で大輔だと祝いたがらない理由が分かるわ。」
 「そうなのね。」
 「皆、明日10時、新高島平駅集合で大森海岸へ行くわよ。」
 「大森海岸。」
 「ここなら、シンフォニーがよく見えるわ。」
 「じゃあ、レッスン再開するよ。」
 「はい。」

 その夜 桃園家ラブの部屋

 「何、パインはんの乗る船見に行くんかいな。わいらも連れてってや。」
 「キュア。」
 「タルト、地下鉄乗れないんだから、このバックの中に入ってもらうわよ。」
 「ヘエ。」

 翌日、山吹家

 「あなた、送迎車が到着したわ。」
 「そうか。」
 「祈里。」
 「はーーい。」
 「早く来いよ。」
 「はい。」
 しばらくして、姿を現した。
 「祈里。」
 「似合ってるぞ。」
 「さあ、行こう。」

 外へ出ると

 「うわあ、すごい車。」
 「これで、日の出ふ頭まで送迎してくれるそうよ。」
 「こんなの乗るの初めて。」
 「お待たせしました。」
 「リムジン乗務員はドアを開けた。」
 「どうぞ、ご乗車ください。」
 「あーーら、ガチガチになって。」
 「祈里、リラックス、リラックス。」
 「はい。」
 正、尚子、祈里の3人は乗車した。
 「バタン。」

 新高島平駅

 「あら、シフォンちゃん来てくれたの。」
 「シンフォニーミタイ。」
 「そう。」
 「わいもいるで。」
 「タルト。」
 「地下鉄乗車中、おとなしくしてなさいよ。ラブちゃん、ファスナー。」
 「はい。」
 「あたしたちはICカードのチャージだけで良いわね。」
 「私、チケット買わないと。ICカード持たしてくれないから。」
 「そうだったね。そこの券売機で大森海岸までのチケット買いなさい。」
 「はい。」

 しばらくして

 「さあ、行くわよ。」
 「はい。」
 「ピッ....ピッ....ピッ....ピッ....スルッと、パッ。」
 ラブはチケットを取った。

 新高島平駅プラットホーム

 「見えてるわね。今日は大当たり。東急5080系よ。」
 「本当だ。」
 「ピンポポポピンポポポポロローーン。」
 「間もなく1番線に巣鴨、大手町、日比谷、目黒方面目黒から急行に変わります東急線直通日吉行きが到着します。ホームドアから下がってお待ちください。」
 「フォン。ゴオーーーーーーーッ、キューーンキューーンキューーンキューーーンキューーーウーーーゥーーーーッ。プシュ、パンポンガラッドン。」
 「ピューーーッ、ピューーーッ。」
 「新高島平、新高島平。1番線は目黒から急行に変わります日吉行き電車です。」

 「タンタンタンターアーーーータンタンタンターアーーーー。」
 「プシュッ、パンポンガラガラドン。」
 「タタタタタタンタタタタタタタン。」
 「ブーーーーーッキューーンキューーンキューーンキューーン。」
 「次は高島平、高島平。お出口は右側です。」

 40分後

 「キューーーウーーーーゥーーーーーッ。プシュッ、パンポンガラッドン。」
 「ピューーーッピューーーッ。」
 「三田、三田。都営浅草線はお乗換です。」
 「さあ、浅草線品川方面のホームへ行くわよ。」
 「はい。」

 三田駅 浅草線1番ホーム

 「ねえ、快速特急って何。」
 「特急より早い電車よ。」
 「エッ、そんなの走ってるの。」
 「次、どこ停まるの。」
 「品川まで各駅停車だけど、そこから先は停車駅は少ないわ。」
 「まさか、横浜までノンストップ。」
 「そこまでノンストップではないけど、エアポート快特以外、最初の停車駅は京急蒲田よ。ちなみに、エアポート快特は羽田空港までノンストップよ。」
 「でも、エアポート快特は少ないね。」
 「40分毎しか運転していない。」
 「今回乗る電車は、品川で乗換ね。」
 「はい。」
 「間もなく1番線に快速特急羽田空港行きが到着します。白線の内側までお下がりください。停車駅は泉岳寺、品川、京急蒲田です。京急蒲田までの途中各駅へお越しの方は品川で、西馬込方面各駅へお越しの方は泉岳寺でそれぞれお乗換です。」
 「フォン、ゴオーーーーーッキューーーンキューーンキューーンキューーンキューーーウーーーゥーーーッ。プシュッ、ピンポンピンポン。」
 「三田、三田。都営三田線はお乗換です。」
 5人は乗り込んだ。

 一方

 山吹一家を乗せたリムジンは首都高速道路を走行しております。
 「すごい豪華ね。」
 「体も休めるだろ。」
 「本当、御子柴会長さん、こんなすごいもてなしをしてくれるなんて。」
 「ますます、船に乗るのが楽しみになって来たなあ。」
 「うん。」
 「おや、祈里。ここは固くならない、リラックス、リラックス。」
 「うん。」

 品川駅

 ミユキたちはこの駅に到着した。
 「普通電車の乗り場はどこ。」
 「ここで良いみたいよ。」
 「そう、降りたホームのままで良いね。あれ、ナナは。」
 「売店にいるみたい。」
 すると
 「ナナ、何をしていたのよ。」
 「弁当買って来た。」
 「そうか、ランチタイムかかるからね。」
 すると
 「間もなく1番線に普通神奈川新町行きが到着します。白線の内側まで下がってお待ちください。終点の神奈川新町まで各駅に停まります。」
 「接近メロディー『赤い電車(A)』が鳴った。」
 「フォン、ゴオーーーーッキューーンキューーンキューーンキューンキューーーーーウーーーーゥーーーッ。プシュッ、ピンポンピンポン。」
 「お待たせしました。普通神奈川新町行き発車します。次は北品川に停まります。」
 「プシュッ、ピンポンピンポン。」
 「ブーーーーーッキューーンキューーンキューーンキューーン。」

 しばらく走って

 「北品川です。」
 「北品川って。」
 「ブッキーの通う学校がある最寄り駅よ。確か、中学生の頃まで三田経由で通っていたのよ。」
 「そうか、ミキタンよく知っているね。」
 「高校になってから、巣鴨からJR線経由に切り換えたんだよ。一緒に通いたいって言ったから。」
 「なるほどね。」
 「キューーーーウーーーーゥーーーーッ。プシュッ、ピンポンピンポン。」
 「扉閉まります。閉まる扉にご注意ください。」
 「プシュッ、ピンポンピンポン。」
 「ブーーーーッ、キューーーンキューーン。」
 「見て、ここよ。」
 「この校舎がブッキーが通う学校。」
 「そうよ。」
 「初めて見た。」
 
 数分後

 「大森海岸です。」
 「キューーーーウーーーゥーーーーッ。プシュッ、ピンポンピンポン。」
 「着いたわ。次、バスに乗り換えるわよ。」
 「はい。」

 大森海岸駅舎内 改札口

 「ピッ....ピッ....ピッ....ピッ....スルッ。」
 駅舎を出た。

 大森海岸バス停

 「どのバスに乗るの。」
 「森32系統城南島循環線で探してみて。」
 「はい。」
 「待ってました。」
 「キュア。」
 「タルト君、シフォンちゃん。バス乗車中もおとなしくしていなきゃダメよ。」
 「ヘエ。」
 「プリー。」
 「どう、見つかった。」
 「ありました、37分発です。」
 「まだ時間あるね。」

 日の出ふ頭待合室

 「今日、本当におめかしして来ている人が多いね。」
 「会長自ら手配しているのだから。」
 かなり離れている場所にあの連中がいます。
 「フフフフフッ、あの一家が来てるね。」
 「文子少将。」
 「何。」
 「狙いはあの一家ではなく、シンフォニーそのものではありませんか。」
 「もちろんよ。」
 すると、御子柴一家が姿を現した。
 「正さん、尚子さん、祈里ちゃん、こんにちは。」
 「こんにちは。」
 「これは会長(祖父)さんに常務(父)さん。」
 「ようこそシンフォニー・モデルナへ。」
 「山吹さん、これから祈里ちゃんって言っていいかな。」
 「いいよ、健人君。」
 「詳しい話は船内で。」
 「うん。」
 「皆様、お待たせしました。11時50分発ランチクルーズ間もなく改札します。」
 「それでは皆様、一緒に行きましょう。」
 「はい。」
 両一家とラビリンスニューウェスター部隊は、出入口で改札を受けシンフォニー・モデルナに乗船し始めた。
 
 大森海岸バス停

 「来たわよ。」
 「森32番だ。」
 「ブオーーーーーーッ、カクッ。ブーーッ、バタン。」
 ラブたち5人はバスに乗り込んだ。

 日の出ふ頭 11時49分

 「お待たせしました。11時50分発ランチクルーズ間もなく出港します。」
 「ゴワーーンゴワーーンゴワーーンゴワーーン。(ドラの音)」
 「ボーーーーーーーーーッ。」
 シンフォニー・モデルナは出港した。

 シンフォニー・モデルナ船内4階 エロイカ

 「あのーー、祈里ちゃん。」
 「は、はい。」
 「来てくださってありがとうございます。」
 「は、はい。」
 「あはっ、良かった。そのドレスもよくお似合いです。」
 「健人よ。」
 「お、お祖父さん。」
 「他の招待客のご挨拶へお祖母さんと一緒にファンタジーへ行ってくるぞ。」
 「はい。」

 ファンタジー

 「皆様、中央のステージにご注目くださいませ。御子柴グループを代表して、会長でこのシンフォニー・モデルナの責任者『御子柴健太郎』のご挨拶です。」
 「パチパチパチパチ。」
 「どうぞ、盛大な拍手でお出迎えください。」
 「パチパチパチパチパチパチパチパチ。」
 「シンフォニー・モデルナへようこそ。私は、この船を運航する事業者の会長、御子柴健太郎です。皆様、どうか、夢のひと時をご堪能ください。それでは乾杯。」
 「乾杯。」
 「キーーーン。」
 その後、バイキング料理が振り舞われ始めた。

 城南島海浜公園

 「やっと着いたね。」
 「シンフォニーは見えるかしら。」
 「小さいけど、見えて来たわ。」
 「ゆっくり航行してるね。」
 「フフィー、フィーーーッ。」
 「良いなあ、ブッキー。今頃、キラキラのお姫様なんだろうなあー。」

 4階エロイカ

 「うん。」
 「どうした祈里。」
 「リラックスよ。」
 「もうすぐ、お食事が到着するわよ。」
 「無理。」
 「あら、祈里ちゃん、食欲が無いの。」
 「祈里ちゃんには、バースデープランが組み込まれております。とっておきのプレゼントがありますよ。」
 「そうなんですか。」
 「祈里、遠慮なく食べるのだぞ。」
 「はい。」
 すると、数人のウェイター、ウェイトレスが現れ、オードブルから持って来て山吹、御子柴両家族に提供を始めた。
 「まずはオードブルからじゃ。メニューは『根室産蝦夷鹿肉ローストをマリネに旬の野菜達と共に』じゃ。さあ皆様、いただきましょう。」
 「はい。」
 「いただきまーす。」
 「アグン。」
 「おいしい。」
 「鹿肉なんて初めて。」
 「祈里ちゃんだったかな。」
 「はい。」
 「癖がなくておいじいじゃろ。」
 「はい。」
 「滅多に食べるお肉じゃないからのう。よく噛み締めて味わってくれ。」
 「はい。」
 オードブルを食べ終え次は、スープが提供された。
 「変わった貝がたくさん入っているな。」
 「これは『ムール貝のスープ』じゃ。」
 「ムール貝か。」
 「これも滅多に食べる機会はないからの。」
 「コクがよく出てきて美味しい。」
 「貝のダシが出て強く主張している感じ。」
 「そうか。」
 続いて、お魚料理が提供された。
 「次は『旬の魚介ムースノルマンディー風、リンゴ酒風味のソースで』じゃ。」
 「魚をムースにしているの。」
 「そうじゃ。ムースだからはんぺんのような食感になっているぞ。ソースには、リンゴの風味を付ける理由でリンゴ酒を使用しておるのじゃ。」
 「リンコ果汁ではだめなの。」
 「それでは、デザートになってしまう。だから、リンゴ酒を使うのじゃ。」
 「なるほど。」
 「料理ですから。」
 「ふんわりして美味しい。」
 「円やかな感じがする。」
 「リンゴの香りもする。」
 「そうじゃろ。」
 続いて、お肉料理が提供された。
 「皆様、ここからパンと併せて食しましょう。」
 「はい。」
 「お肉料理は『厳選和牛のランプステーキ旬の野菜を添えて』じゃ。」
 「すごいお肉。」
 「ングングングング、美味しい。」
 「口の中でとろけそう。」
 「パンも美味しい。」
 「そうじゃろ。」

 城南島海浜公園

 「あたしたちも、昼食を取りましょう。」
 「弁当買ってきてますからね。」
 「やったあ。」
 「いただこう。」

 エロイカ

 「健人様、祈里様。お2人に素敵なプレゼントがございます、どうぞ。」
 「あっ。」
 「バースデーケーキだ。」
 「さあ、皆で健人君17歳の誕生日を祝いましょう。」
 「はい。」
 「♪ハッピーバースデートゥユー
 ハッピーバースデートゥユー
 ハッピーバースデーディア健人
 ハッピーバースデートゥユー♭」
 「パチパチパチパチ。」
 「おめでとう、健人君。」
 「パチパチパチパチ。」
 「さあ、デザートタイムに入りましょう。」
 「はい。」
 デザートはバースデーケーキの他、『パティシエより本日のスウィーツバリエ』が提供された。
 「美味しい。」
 「何だか、ケーキが2個提供された感じ。」
 最後は、コーヒーまたは紅茶が提供されることととなり男性全員コーヒー、女性全員紅茶を選択した。

 数分後

 「いかがでしたか、当船のランチフレンチメニューは。」
 「素晴らしかったです。」
 「あまりの美味しさに感動しました。」
 「あのーー、トイレへ行って良いかしら。」
 「祈里ちゃんか。遠慮なく行きなさい。」
 「はい。」
 祈里はエロイカを出た。

 城南島海浜公園

 「アグン、美味しい。」
 「レジャーシート敷いての弁当を食べるのも良いねえ。」
 「あれ、船が見かけない。」
 「ラブちゃん、船はゲートブリッジへ向かってるらしいよ。」
 「その橋を通過すれば、また出て来るわよ。」
 「そうでっか、いなくなった理由は。」
 「プリーーッ。」

 シンフォニー・モデルナ

 祈里がオープンデッキへ出て来た。
 「やっぱり無理。」
 再度、客室へ入り最上階へ向かった。

 4階エロイカ

 「まだ戻って来ないなあ、皆さん。」
 「どうした、健人。」
 「僕、祈里ちゃんを探しに行って来ます。」
 「そうか、行くが良い。」
 「ありがとうございます。」
 健人もエロイカを出た。

 3階 ポロネーズ

 「オホホホホッ、良いわ良いわ。想像以上に超セレブな面々ね。」
 「少将。」
 「シーーーッ。」
 「誰。」
 「あの坊ちゃんは。」
 その坊ちゃんが近付いた。
 「山吹さん、ここにいましたか。」
 「あら、人違いよ。私は西文子。」
 「エッ。」
 「私たちは、招待客とは違うグループよ。」
 「すみません、失礼しました。」
 健人はその場を去りデッキへ向かった。
 「あれがご子息ね。」
 「愚かな坊ちゃん。」
 「フフフフフッ、このまま船を乗っ取れば、全ては私たちラビリンスの意のままよ。」
 「オホホホホホッ。」
 「アハハハハハッ。」

 トップデッキ

 「うわあーー、気持ち良いーーー。」
 「あっ、いる、祈里ちゃん。」
 「健人君。」
 「この場所が一番眺めが良いんです。」
 「そうなんだ。」
 「あっ...あっ。この船のことなら、何でも聞いてください。たくさん勉強してきましたから。」
 「はい。」
 「あのーー、祈里ちゃん。」
 「はい。」
 「パーティは楽しんでいただけてますか。」
 「はっ、はっ。」
 「先ほどは、戻って来るのが遅くて心配しました。」
 「ごめんなさい。でも私、あんな煌びやかな場所でどうしたら良いか分からなくて。」
 「実は僕もです。」
 「エッ。」
 「少し、僕の話をしても良いですか。僕は将来、御子柴グループのトップに立たなければいけません。今回の船上パーティも家族が僕の誕生日を機に、僕を鍛えるために企画したんです。僕は今日、このパーティープランの責任者なんです。でも、すごく不安で。」
 「健人君。」
 「だから、祈里ちゃんとその家族を招待したんです。祈里ちゃんが側にいてくれたら、心強いと思って。すみませんでした。僕の勝手な都合で祈里ちゃんと家族の皆様を困らせてしまって。僕が自分のことしか考えていないダメな奴なんです。」
 「健人君がちゃんと私のことを考えてくれているよ。」
 祈里は右胸のクローバーマークに手をあてている。
 「このドレス、本当にうれしかった。......。」
 「気付いてくれたんですね。」
 「さっきは、緊張して言えなかったけど、こんなに素敵なドレスありがとう。」
 「あっ....あっ....、山吹さん。あっ。」
 「大きな橋。」
 「これってゲートブリッジって言うんだ。もうすぐくぐるよ。」

 城南島海浜公園

 「美味しかった。」
 「ごちそうさま。」
 「指定のゴミ箱へゴミ入れてくるから、この大袋に入れて。」
 「はい。」
 「どうでっしゃろ。今頃、ゲートブリッジ通過寸前ではありまへんか。」
 「キュアーー。」
 「そうだね。」

 シンフォニー・モデルナトップデッキ

 「橋をくぐるね。」
 「ねえ、タイタニックごっこやって。」
 「祈里ちゃん。えーーーと、こうだったかなあーー。」
 「そう。」

 その後のシンフォニー・モデルナ

 東京ゲートブリッジをくぐり始めた。
 「ボーーーーーーッ。」
 「素敵、ロマンティックね。」
 「そうですか。」
 「本当、幸せ。」
 ゲートブリッジをくぐり終えた。

 ポロネーズ

 「ゲートブリッジを通過したようだね。」
 「少将、船内ブリッジへ瞬間移動開始しますか。」
 「OK、やるわよ。」
 西文子のグループは、一斉に携帯電話を出し操作し始めた。
 「シンフォニー・モデルナ、船内ブリッジ(船橋=操舵室)へ。」

 シンフォニー・モデルナ船橋(操舵室)

 「今日も順調な航行だな。」
 「はい、船長。」
 すると
 「シューーンシューーンシューンシューンシューンシューーン。」
 「誰だね、君たちは。」
 「動くな。動くと撃つぞ。」
 「何なんだ。」
 「少将、舵を見つけました。」
 「こんなハイテクな舵か。よし、全員。」
 「スイッチ・オーバー。」
 「ドロン。」
 「イー、イー。」
 「我が名はニューウェスター。ラビリンス総統メビウス様が僕。ゲキイテエー7号、姿を現せ。」
 「ピューーーーッ、カキッ。」
 「ドロン。」
 「オートパイロットが下がって行った。」
 「監視カメラの映像を見ろ。」

 シンフォニー・モデルナ機関室

 「イタイヨオーーーーーーーーーッ。」
 「うわあ。」
 「化け物だ。」
 「逃げろー。」

 ブリッジ

 「ポチッ。」
 「118に知らせたぞ。」
 「チッ。」
 「ウーーーウーーーウーーーウーーーッ。」
 「ピュピュピュピューーッ、グルグルグルグルグル。」
 「うわあーーっ。」
 「締め付けられる。」
 「ガクッガクッガクッガクッ。」
 ブリッジにいる船長始め乗組員全員、ゲキイテエー7号が伸びる枝に絡まれ、締め付けられ気絶した。
 「オホホホホホッ、乗っ取り成功ね。」
 「イーーーーーッ。」

 4階エロイカ

 「ウーーウーーウーーウーー。」
 「何かあったか。」
 「ピュピュピュピュピュピュ。」
 「エイッ。」
 「バコン。」
 「ウゴーーーーッ。」
 「うわあーーー。」
 「助けてーーぇ。」
 「締め付けられるーーー。」
 「ガクッガクッガクッガクッガクッガクッ。」
 「皆。何てことを。ここは変身よ。」
 「尚子は、リンクルンを出し例の操作を始めた。」
 「チェンジ。マザープリキュア、ヒーーーーートアーーーッッップ。」
 尚子はプリキュアに変身した。
 「祈里と健人君と他のお客様も心配だわ。」
 キュアパインマザーはエロイカを出た。

 トップデッキ

 「キャアーーーッ。」
 「祈里ちゃん、下へ。」

 ブリッジ

 「オホホホホホッ、船そのもののゲキイテエー化したわ。」
 「イーーーーーッ。」

 城南島海浜公園

 「キュアーーッ。」
 「シンフォニーが出て来たでぇーー。エッ。」
 「プリーーッ。」
 「ちゃう、ゲキイテエーや。」
 「羽田空港へ向かって暴走してるわ。」
 「ブッキーたちが危ない。」
 「ミキタン、ミユキさん、ナナさん、レイカさん行くよ。」
 「うん。」
 ラブたち5人は、リンクルンを出し例の操作を始めた。
 「チェンジ。ダンシング・プリキュア、ヒーーーートアーーーッッップ。」
 5人はプリキュアに変身した。すると、スウィーツ王国からTV電話の着信が入った。
 「プリキュア隊聞こえるか、ショコラだ。」
 「ショコラさん。」
 「たった今、シンフォニーから第3管区海上保安部へ通報が入った。奴等は、羽田空港を狙っている。現在、海上保安部の船が大量に羽田空港C滑走路沖合いへ向かっている。直ちに、君たちも向かいなさい。」
 「はい。」
 プリキュア隊の5人は飛び立った

 羽田空港C滑走路沖合い

 「あの大小の複数の船は。」
 「第3管区海上保安部の船よ。」
 「おーーーい、プリキュア隊。こっちだ。」
 「こっちへ着地してくれ。」
 「はい。」

 海上保安船 しきしま

 「パタッパタッパタッパタッパタッ。」
 「来たぞ。」
 「あなたは。」
 「私は、第3管区海上保安部特殊警備隊(SST)隊長○×です。」
 「○×さんですか。」
 「それでは、メンバーを自己紹介します。」
 「ピンクのハートは愛ある印。」
 「パンッ。」
 「もぎたてフレッシュ、キュアピーチ。」
 「ブルーのハートは希望の印。」
 「パンッ。」
 「摘みたてフレッシュ、キュアベリー。」
 「真っ赤なハートは情熱の印。」
 「パンッ。」
 「摘みたてフレッシュ、キュアチェリー。」
 「グリーンハートは浄化の印。」
 「パンッ。」
 「とれたてフレッシュ、キュアメロン。」
 「ホワイトハートは誠実の印。」
 「パンッ。」
 「もぎたてフレッシュ、キュアココ。」
 「レッツ!プリキュア!」
 「ピーチさんにベリーさんにチェリーさんにメロンさんにキュアココさんですね。」
 「はい。」
 「それでは、隊長から通報状況について説明します。」

 シンフォニー・モデルナ1階 エンペラー

 「うわあ、ああーーー。」
 「行けない。皆、パニックに陥ってる。僕が何とかしないと。」
 「どうしよう。健人君の前では変身できないよ。」
 すると
 「ああーーーっ。」
 「プリキュア。」
 「パインマザー。」
 「皆さん、落ち着いて。」
 「プリキュアの指示に従ってください。」
 「イエローハートは祈りの印。」
 「パンッ。」
 「とれたてスウィート、キュアパイーーーーンマザーーーーッ。」
 「キュアパインマザーか。」
 「早く助けてくれ。」
 「まず、怪物の情報を突き止めるわ。それと、外部への通信の可否も確かめなくてはなりません。それまで、ここでお待ちいただくように。下手にデッキの方へ行くと、あの枝が襲ってくるわ。状況を把握するまで我慢願います。」

 海上保安船しきしま デッキ

 「どうします、あの船を食い止めるには。」
 「ラビリンスが人質を解放する意思があるかないかどうか。」
 「早速、要求は何か聞いてみます。」
 隊長は、船内に入りシンフォニー・モデルナのブリッジへ向けて交信を始めた。

 シンフォニー・モデルナ ブリッジ

 「着信が入ったね。」
 「ラビリンス軍のニューウェスター、聞こえるか。」
 「誰。」
 「私は、第3管区海上保安本部SST隊長だ。要求は何だ、言ってみろ。」
 「日本をラビリンス領にすること。」
 「無茶な。政府に言ってくれ。」
 「あんたが政府につなぎを取ったら。」
 「時間がかかるぞ。」
 「そう。ならば、あんたらの船もろとも羽田空港へ突っ込むわ。」
 「何。」
 通話を切った。

 海上保安船しきしまデッキ

 「大変だ、プリキュア隊。」
 「どうかしました。」
 「ラビリンスは、日本を領土にしたいと言ってきた。否定したら、全速力でこちらへ向かっております。」
 「何ですって。」
 「このままでは、これらの船もろとも羽田空港に激突して。」
 「大変なことに。」
 「でも、あの船に攻撃はできないよ。」
 「できませんか。」
 「お願い。銃や砲は使わないで。」
 「船の中にはまだ、ブッキーたちが。」
 「何とか船を食い止めないと。」

 城南島海浜公園

 「ああーーーっ、アカン。」
 「キュアーーーッ。」

 シンフォニー・モデルナ内ブリッジ

 「オホホホホホッ。もう終わりだね、プリキュアと海上保安隊。」
 「イーーーーッ。」

 海上保安船しきしまデッキ

 「プリキュア隊。一体、どうすれば良いのか。」
 「任せて。行くよ。」
 「OK。」
 低空で飛び始めた。
 「船めがけて突撃しているぞ。」

 シンフォニー・モデルナ 1階エンペラー

 「皆、船体前方側の壁はどこ。」
 「はい、ここです。」
 「そこへ移動して。壁に密着するか、握り棒などに掴まって。前方へ飛ぶような揺れが起こるわ。」
 「はい。」
 皆を所定の場所へ集めた。
 すると
 「カクン。」

 ブリッジ

 「イーーーッ。」
 「コロコロコロコロ。ドンドーーン。」
 「前へ飛ぶような揺れ。いや、激突ではないわ。」
 ニューウェスターは監視カメラの映像を見てる。
 「う、うそーーー。」

 シンフォニー・モデルナ船体前方

 「ううーーーーっ。」
 「ううーーーーっ。」
 「大丈夫か、プリキュア隊。」
 「うわあーーーーっ。」
 「何と、食い止めようとしているぞ。」

 1階エンペラー

 「壁に密着して。握り棒しっかり掴んで。」
 「はい。」
 「ベリー、チェリー、ピーチ、メロン、キュアココ。皆が船の激突を食い止め、向きを変えようとしている。」

 城南島海浜公園

 「キュア。」
 「そや、その調子や。」

 海浜公園沖合い

 食い止めて速度が落ちているとは言え、フレッシュ5人のヒールが海上保安船の船体と接触し、海上保安船が羽田空港C滑走路に接近しております。
 「ジャーーーッ。」
 「ううーーーっ。」
 「隊長、船が羽田空港に接近しております。」
 「何てことだ。船もろとも激突とはこのことか。」
 「ううーーーっ。」
 「ううーーーーっ。」
 すると
 「隊長、朗報です。」
 「シンフォニー・モデルナがエンジントラブルを起こしました。」

 ブリッジ

 「何、エンジンが停止したと。」
 「イーーーッ。」

 海上保安船デッキ

 「こ、これがプリキュア隊の実力なのか。」
 「すごいです。」
 「プリキュア隊。」
 「はい。」
 「もう、押されることないから、大井ふ頭の方向へ向きを変えれないか。」
 「はい、やってみます。」
 「中でブッキーたちが頑張ってる。」
 「だから、あたしたちも。」
 「羽田空港へは絶対に行かせない。」
 「ううーーーーっ。」
 「良いぞ。大井ふ頭方面へ向かせたら、一旦、離れてくれ。」
 「はい。」
 「ううーーーーっ。」
 「うおりゃあーーーーーーっ。」
 「向いた。」
 「良いぞ。」
 「惰性で大井ふ頭へ向かっている。」
 「戻ってくれ。」
 「はい。」

 1階 エンペラー

 「方向が大きく変わった。」
 「エンジン音が聞こえないないわ。」
 「皆様、落ち着いてください。最悪の事態は回避されましたが、怪物及びシージャックの犯人はまだいます。今、まだ下手に動くワケには参りません。外部の交信と怪物及び犯人の所在確認まで。この場でもうしばらくご辛抱願います。」
 「まだかよ。」
 「健人君、ちょっと来て。」
 「はい。」
 キュアパインマザー、祈里、健人の3人は機関室(エンジンルーム)の方へ向かった。

 しばらく進んで

 「ピュピュピュピュッ。グルグルグル。」
 「うわあーーーっ。」
 「ガクッ。」
 「健人君、ごめんね。」
 「こうしなければならない理由があるのよ。祈里。」
 「うん。」
 祈里はリンクルンを出し例の操作を始めた。
 「チェンジ。プリキュア、ヒーーーートアーーーッッップ。」
 祈里はプリキュアに変身した。
 「戻るわ。皆にはうまいこと説明するから。」
 「うん。」

 海上保安船しきしま

 「追うぞ。」
 「ハッ。」
 「ところで、プリキュア隊。」
 「はい。」
 「船内にいる知り合いの乗客でもつなぎを取れないか。」
 「やってみます。」
 「頼んだぞ。」
 隊長は再び船内へ入った。ピーチは祈里に、チェリーは尚子にリンクルンで通話を始めた。
 「もしもし、尚子さん。」
 「はい、私、キュアパインマザーよ。」
 「船内状況はどうなの。」
 「意識のある人たちは、1階エンペラーに集めてるわ。」
 「そう。ところで、ラビリンスの連中はどこにいる。」
 「ブリッジよ。」
 「ブリッジ、操舵室のことね。」
 「そう。操舵室にいる船長はじめ乗組員全員を人質にしてるわ。現在、エンジン故障で操舵不能となって惰性で走っているわ。」
 「そう。この船、大井ふ頭へ着岸する予定よ。」
 「そうなの。」
 「ところでパインマザー、伸びてくる枝何とかできないかしら。」
 「あの枝ね。何らかのダメージを与えれば引っ込むみたいよ。パンチやキックでもOKよ。」
 「分かったわ。ます、操舵室にいる乗組員を除いて全員の人質救出から目指すわ。」
 「頼むね。」
 「じゃあ、切るわよ。」
 通話を切った。
 「ピーチ、そっちはどう。」
 「健人君がいつもいてなかなか変身できなかったって。」
 「分かったわ。隊長に知らせるわよ。」
 「はい。」

 海上保安船しきしま船内

 「そうか。既にプリキュア隊他のメンバー2人が潜入しているのか。」
 「はい。」
 「それと、怪物の弱点を見つけたことは大きい。これで、操舵室を除いて強行突破できるメドが立った。早速、大井ふ頭で待機している警視庁特殊部隊にも連絡取ろう。我々の部隊と共に通路の両端に立ち伸びてくる枝に警棒を使ってダメージを与え引っ込めましょう。名付けて『人間の塀作戦だ。』」
 「人間の塀作戦。」
 「これなら、救出はできるはずだ。更に、怪我人も運べるはずだ。」
 「流石は隊長。」
 「では、準備をしてくれ。大井ふ頭へ近付いたら、再度同じ動作を行って着岸させていただく。我々も船で着岸して、陸上で待機する警察と連携して作戦を決行する。以上だ。」
 「はい。」
 こうして、作戦準備に入った。

 城南島海浜公園

 「キュアーー。」
 「近くでみるど大きい船やで。」
 「キュアー。」
 「何、追っかけるかい。背中乗るで。」
 「キュアー。」
 タルトとシフォンも大井ふ頭へ向かった。

 大井ふ頭

 「たった今、第3管区海上保安本部所属のSST隊長から連絡があった。着岸したら、伸びている木の枝を攻撃しながらブリッジを除いて、強行突破しても構わないそうだ。乗船している乗客・乗員の脱出路確保のため、君たちは通路の端に順次立って伸びてくる枝を攻撃してくれ。」
 「ハッ。」
 「なるべく銃は使うな。警棒で十分だそうだから。盾も大きなものではなく小型のクリスタルの盾だけにしてくれ。更に、怪物討伐はプリキュア隊に任せること。我々は、シージャックを実行しているラビリンス軍人の検挙に努めること。以上だ。」
 「ハッ。」

 シンフォニー・モデルナは大井ふ頭に近付いて来た。

 「よし、プリキュア隊頼むぞ。」
 「はい。」
 フレッシュの5人は飛び立った。

 シンフォニー・モデルナ内1階エンペラー

 「皆様、間もなく着岸します。前方へ向けて大きく揺れる場合があります。前方の壁に密着すると共に、壁に寄れない人は握り棒に掴んでください。」
 「はい。」
 
 大井ふ頭

 「船が来たぞ。」
 「パッ。」
 「ううーーーん。」
 「ううーーーん。」
 「何と、プリキュア隊が船を押さえ調整している。」
 「SST隊長が言ってた。」
 「怪物討伐を任務にしているスウィーツ王国軍の特殊部隊だけに。」
 「ううーーーーっ。」
 「皆、順次寄せてよ。」
 「はい。」
 「さっきよりは楽かも。」
 「エンジンが停止しているからね。」
 「オッ、接岸に向かっているぞ。」
 「全員、準備体制を取れ。」
 「ハッ。」
 「ううーーーーっ。」
 「ズズーーーーッ。」
 「オリャアーーーーーッ。」
 「ピタッ。」
 「よおーーーーし、突撃。」
 「ハッ。」

 シンフォニー・モデルナ ブリッジ

 「何、接岸されたって。」
 「イーーーッ。」
 「仕方ない。こっちは、船長をはじめブリッジにいる乗員全員を人質にしてるから。」
 「イーーーッ。」

 1階エンペラー

 「皆様、大井ふ頭の着岸に成功しました。」
 「他のプリキュア、警察及び海上保安隊の到着までしばらくお待ちください。」
 「そうかあ。」
 「助かった。」
 「良かった。」
 すると
 「ピュピューーッ。」
 「バコ。」
 「ウゴーーッ。」
 「ピューーッ。」
 「ボコ。」
 「ウゴーーッ。
 「お待たせしました。脱出通路確保しました。さあ、こちらの通路から船の外へ出てください。」
 「ありがとう。」
 1階エンペラーで集まっている乗員・乗客全員、船の外へ脱出し始めた。
 「ところで、黄色いプリキュア隊。お怪我された方いませんか。」
 「4階レストランへ行ってくれませんか。そこには、私たち家族と御子柴一家が枝にからまれ意識を失っています。」
 「畏まりました。消防・救急隊も間もなく入って来ます。ご案内をお願いします。」
 「はい。」
 警察隊及び海上保安隊は、階段の両端に1人ずつ配置しながらエンペラーへ向かって歩いて行った。

 更に

 「地元消防隊です。お怪我をされた方を探しています。」
 「まず、4階のエロイカへ向かって。先に警察隊と海上保安隊が向かっております。」
 「畏まりました。」

 更に

 「ハアハアハアハア。」
 「皆。」
 「船の誘導お疲れ様。」
 「良かった無事で。」
 「健人君は。」
 「寝かしているわ。娘が変身できないからね。良い。君たち5人は、警察隊及び海上保安隊と共に行動してニューウェスターと配下のラビリンス兵士の身柄確保に協力して。」
 「パインとパインマザーは。」
 「私たち機関室へ行きます。」
 「大丈夫なの。例の技使わなくて。」
 「何言ってるの。この怪物の耐性弱いわ。」
 「だから、私たち2人に任せて。」
 「分かりました。」
 「パイン、パインマザーの討伐成功を祈ります。」
 パインとパインマザーは機関室へ向かった。
 「良いんですか。」
 「いや、これで良いのです。」
 「待ってください。」
 「怪我人がいるかもしれません。私、警視庁特殊豚員として。」
 「私、海上保安隊員として。」
 「黄色いプリキュア隊員の後を付いて行きます。」
 「分かったわ。」
 「お願い、行ってあげて。」
 「はっ。」
 2人共、機関室へ向かった。

 大井ふ頭

 「ぎょうさん脱出してるでー。」
 「キュアーー。」

 シンフォニー・モデルナ機関室へ向かう通路

 「バコッ。」
 「ウゴッ。」
 「パッ。」
 「もう起こしてあげて良いね。」
 「うん。」
 「キュアパインマザーは、健人の上半身を起こし蘇生の動作を行った。」
 「うっ、ああーーーっ、うわーーーっ。」
 「健人君。」
 「パインさんとパインマザーさん。」
 「気付いたようだね。」
 「パインさん、祈里ちゃんは。」
 「心配しないで。祈里ちゃんは今頃、治安部隊の誘導で船外へ出て安全な場所にいるわ。」
 「良かった。でも、シンフォニーモデルナは。」
 「他のプリキュアたちが大井ふ頭に接岸させてくれたわ。治安部隊が入り込んだとは言え、船は犯人に支配されたまま。」
 「そうですか。他のプリキュア隊は。」
 「今、犯人検挙に協力する形でブリッジへ治安部隊と共に向かっているわ。」
 「そうですか。では、僕は何をすれば良いのか。」
 「船に住み着いてる怪物を突き止めることよ。」
 「きっと、この船の一番大事な部分に寄生して船を握っているんだわ。そこが判れば、停められるはず。」
 「大切な部分。船を動かしている心臓部は機関室です。僕が案内します。」
 「海上保安隊及び警察隊の4人さん。健人君の指示に従ってください。」
 「了解です。」
 こうしてパインマザー、パイン、健人、SST及びSATの各2名は、機関室へ向かい始めた。

 一方

 ピーチ他5人のプリキュア隊は、SSTとSATの特殊部隊隊員と共に。ブリッジへ人間の塀を作りながら出入口に到着した。
 「よし、ドアを開けるぞ。」
 「ハッ。」

 シンフォニー・モデルナ ブリッジ

 「バタン。」
 「動くな。船長がどうなっても良いの。」
 「ニューウェスター。」
 「やっぱり来たわね、プリキュア。」
 「クッ。」
 更に、SSTとSAT両部隊の保安官及び警察官が集まって来た。
 「ゾロゾロと来やがって。船長が私の側にいる以上何もできないわ。」
 「どうすれば良いの。」
 「ここは、我々にお任せください。」
 「何とかあの女の目線がそれたスキに近付きます。」
 「プリキュア隊の皆さんは、あの女の死角部分から銃を持った手を狙ってください。」
 「お安い御用よ。」
 「チェリー。」

 機関室(エンジンルーム)

 「これが、ゲキイテー7号。」
 「イタイヨオーーーーッ。」
 「よおーーーし、突撃。」
 「OK。」
 こうして、戦いは始まった。

 ブリッジ

 「何、プリキュアと治安部隊が機関室へ入ったと」
 「ゾロゾロゾロ。」
 「ピューーーーッ、グサッ。」
 「うっ。」
 「パン。」
 「今だ、突撃。」
 「覚えてらっしゃい。」
 「ニューウェスターはワープして去った。」
 「イーーッ。」
 「バコッボコッドカッバキッ。」
 「イーーイーーイーーイーー。」
 「ニューウェスター、シージャックの現行犯で緊急逮捕する。」
 「シューーーン。」
 「あれ、いないぞ。」
 「しまった、全員逃げられた。」
 「何て奴だ。あれがラビリンス軍のお家芸なのか。」
 「瞬間移動を乱用する卑劣な集団よ。」
 「なるほど。それで捕まらないワケか。」
 「さあ、怪我人の救助を。」
 「ハッ。」
 
 機関室

 「イタイヨオーーーッ。」
 「バコン。」
 「キャーーーッ。」
 「2人のパインさん、大丈夫ですか。」
 「皆を助ける。タアーーーーッ。」
 「バコン。」
 「パイン。」
 「パインさん。」
 「海上保安官、警察官。皆で力を合わせるんだ。」
 「ハッ。」
 「バコン。」
 「ウゴオーーーッ。」
 「エイッ。」
 パインとパインマザーは一斉にジャンプした。
 「ダブル・プリキュア・キィーーーーック。」
 「バコン。」
 「ウゴーーーーーッ。」
 「ドデッ。」
 「イテエーーーーンダヨ。」
 「パイン、キュアスティックを。」
 「うん。」
 「キィーーーッ。」
 パインとパインマザーは、一斉にリンクルンを出し操作を始めた。
 「一体、何を。」
 「ここは任せてください。」
 「エイッ。」
 2人共キュアスティックを受け取った。
 「癒せ祈りのハーモニー、パインフルート。」
 「ドレミファソラシド、キィーーン。」
 「悪いの悪いの飛んで行け。プリキュア・ヒーリングブレアーーーー・ダブルスペシャル。」
 「シューーーーッ」
 「ウッ。」
 「ハアーーーーーーッ。」
 「シュワーシュワーーーーッ。」
 「パンパンパン。」
 「魂が消えた。」

 三度、ブリッジでは

 「やったあ。」
 「伸びてる枝が消えた。」
 「ねえ、見て見て。」
 「オートパイロット(自動舵?)が元の位置に戻ったわ。」

 三度、機関室では

 「あの怪物に住み着いている悪霊は、どうしても成仏できないのよ。」
 「さあ、倒れている乗組員たちの救助をしましょう。」
 「ハッ。」

 全員救助後の大井ふ頭

 「パチパチパチパチ。」
 「6色揃って真の幸せの証!フレッシュプリキュア!」
 「パチパチパチパチパチパチパチパチ。」
 「正義が正義を呼ぶとは、このことだろうか。」
 「これこそが正義の絆ですよ。」
 「なるほど。」
 「プリキュア隊、海上保安隊、警察隊そして消防・救急隊。皆が1つになってラビリンスのシージャックを撲滅したことは、間違いありません。」
 「私たちはこれで引き上げます。」
 「プリキュア隊、ありがとう。」
 「後のことはお願いします。」
 「畏まりました。それでは、プリキュア隊に敬礼。」
 7人のプリキュア隊は、空を飛び立ち去った。

 数分後

 怪我の無かった乗客・乗員がシンフォニー・モデルナに乗り込んでおります。
 「検証終了次第、出港できます。」
 「ありがとうございます。」
 「尚子、祈里、どこへ行ったんだ。」
 すると
 「尚子と祈里だ。あれ、お友達5人もいるぞ。皆、どこへ行ってたんだ。」
 「ごめん、あなた。ちょっと、娘のお友達がたくさん来てくれたから。」
 「とりあえず、乗り込むぞ。」
 「皆さんは、先に行ってください。まだ、僕は祈里ちゃんとそのお友達5人とお話があります。」
 「健人、簡潔に頼むぞ。」
 「はい、お祖父ちゃん。」
 「祈里ちゃん、お怪我はありませんか。」
 「うん。」
 「でも、あのーー健人君。」
 「あっ。」
 「せっかく、プレゼントしてくれたドレスなのにこんなに汚しちゃって。ごめんなさい。」
 「いやあーー、僕には祈里ちゃんが一番輝いて見えます。」
 「良いねえ。」
 「それでこそ男。」
 「ありがとう。」
 「僕は甘えてました。」
 「えっ。」
 「山吹さんも、パインさんも、あんなに頑張っている。僕も負けないようにもっともっと頑張ります。」
 「えっ。」
 「えーーーと、それは。」
 「ちょっと、難しいかもしれないよ。」
 「うーーーん、うんうんうん。」
 「いいえ、頑張りますよ僕は、エイエイオーーー。」
 「アハハハハハハッ。」
 「祈里、健人。早く乗って。日の出ふ頭へ出港するわよ。」
 「はーーーい。」
 その後、シンフォニー・モデルナは出港した。
 「ボーーーーーッ。」
                          完
 
 
 
  
 

 
後書き
 シージャックに失敗したラビリンスだが、不幸のゲージは満タン寸前。次回から決定付、ラビリンスのスウィーツ王国へ向けた大規模戦闘が始まります。更に、イースが開発したカードを更に強化した、最終怪物兵器が完成します!果たして、プリキュア隊は勝ち抜けるか。 
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