戦国異伝
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第二百九話 もう一人の龍その八
「だからじゃ」
「南蛮の者達にはですか」
「注意も必要ですか」
「そうした者もいるからこそ」
「それ故に」
「そうじゃ、天下を一つにしてもな」
それでもというのだ。
「まだじゃ」
「敵はおる」
「泰平になろうとも」
「外にですか」
「危うい者達がいますか」
「天下統一の後色々と手を打つか」
その南蛮の悪しき者にというのだ。
「そうしてな」
「民を守り」
「そして天下も」
「うむ、守る」
その全てをというのだ。
「そうするぞ」
「はい、では」
「天下を一つにしてからも」
「我等はです」
「殿と共に」
「頼むぞ、南蛮の者達も厄介じゃ」
そうした者もまたいるというのだ。
「耶蘇教についてもな」
「気をつけていく」
「そうしますか」
「南蛮貿易は確かに利がある」
それはあることはだ、信長も認めた。
しかしだ、それと共にこうも言ったのだ。
「だがな」
「それと共にですか」
「敵もいることを頭に入れて」
「そうしてですか」
「備える」
「そして必要とあらば」
その時はだった。
「戦い、ですな」
「勝ち」
「退け守り」
「この天下を守りますか」
「若しかすると本朝を出てじゃ」
そしてというのだ。
「南の海に出る必要があるやも知れぬ」
「明はよいのですか」
羽柴がここでまた信長に言って来た。
「そちらは」
「明か」
「はい、あちらは」
「明が来るのならな」
攻めて来る、その時はというのだ。
「受けて立つがな」
「そうでなければですか」
「よい」
その時でなければというのだ。
「別にな、しかし南蛮はじゃ」
「あちらはですか」
「まず来る」
この日本にというのだ。
「だからじゃ」
「主な敵はそちらですか」
「南の海の方も調べておこう」
その時に備えてというのだ。
「これからな」
「先のことに備え」
「そうしていきますか」
「わしもそこまで惨い連中は好きになれぬ」
その南蛮人達の様な者達はというのだ。
「だからな」
「では我等も」
「それを学びます」
「そうしてくれるか、それとな」
「それと?」
「それと、と申しますと」
「うむ、都を中心に城を築くが」
それと共にというのだ。
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