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オズのベッツイ

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第八幕その五

「ウーガブーの国のコーヒーはね」
「そんなにですか」
「ええ、いいわよ」
 そうだというのです。
「本当にね、だからね」
「だから?」
「だからっていいますと」
「ウーガブーの国に行ったらね」
 その時はとです、アンは皆に言いました。
「皆楽しんでね」
「そのコーヒーを」
「ウーガブーの国の」
「そうしてね」
 是非にという口調で皆に言うのでした。
「美味しいものは皆で食べてこそね」
「一番美味しい」
「だからですね」
「そうよ、だからね」
 アンは皆に笑顔のままお話します。
「その時を楽しみにしていてね」
「真実の池に行ってウーガブーの国に戻って」
「その時にですね」
「ウーガブーの国のコーヒーをご馳走になる」
「その時を」
「勿論コーヒーだけじゃないわよ」
 アンは決して吝嗇ではありません、むしろかなり気前がいい娘なので皆にさらに言うのでした。
「シェフのお料理も楽しんでね」
「その不ランチ、イタリアンが得意な」
「その人のお料理も」
「それもですか」
「召し上がっていいんですね」
「そうよ、是非ね」
 これがアンの返答でした。
「だからいいわね」
「それじゃあ」
「その時を楽しみにさせてもらいます」
「是非」
 皆もこうアンに答えます。
「お花を持って行って」
「そのうえで」
「そう、それからね」
 アンもそのことを言います、お花のことを。
「ウーガブーの国に戻ってからよ」
「それまではこのテーブル掛けのお料理があるわ」
 ここでベッツイが行ってきました。
「そちらも楽しんでね」
「わかったわ、それじゃあね」
「ええ、どんどん食べてね」
「そうさせてもらうわね」
 アンもベッツイに笑顔で答えます、そうして。
 皆でそのお料理を食べて湖で男女交代で入浴してでした。そのうえで。
 この日はゆっくりと寝ました、それから朝になってです。
 皆で出発しました、ナターシャはこの時にベッツイに尋ねました。
「真実の池までの道には何かありますか?」
「いえ、ないわ」
 ベッツイはナターシャのその問いに笑顔で答えました。
「比較的安全な道よ」
「そうですか」
「ええ、けれどアクシンデントはあるから」
「だからですね」
「一人旅はよくないの」
 それでだというのです。
「安全でもアクシンデントがあるのが旅だから」
「それで、ですね」
「私もアンに言ったの」
 皆で行こうと、というのです。
「そういうことだったの」
「安全でも用心はしておくべきですからね」
「そうよ、用心を重ねないと」
 それこそとも言うベッツイでした。
「私も一度ね」
「そうそう、オズの国に来た時はね」
 ハンクがベッツイの今の言葉に応えます。 
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