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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第百六十話 暗黒の種

 
前書き
あいつ復活 

 
凄まじいエネルギー波をまともに受けたデーモン。
大爆発が発生し、マグナモンは身を守るために距離を取る。

マグナモン[…………]

デーモン[クックック………]

不気味な笑い声が爆煙の中から聞こえた。

デーモン[馬鹿な奴よ。私の真の姿を、自分から露わにするとは………」

爆煙が晴れると、そこにはマントが失われ、正に悪魔の姿をしたデーモンの姿。

大輔『へえ、随分とパワーが増したな。あのマントはパワーを抑える役目を果たしていたようだな』

デーモン[…その通りだ。私の真の力が解放された今、貴様等に勝ち目など微塵もないぞ]

マグナモン[お?]

デーモンの身体から放出される凄まじいエネルギー。
それにより大地が陥没し、瓦礫が吹き飛ぶ。

マグナモン[やっぱりただ者じゃないか。しかしここがお前の墓場になることも忘れてはいないか?]

デーモン[流石だと言っておこう。この場でまだそのような口を叩けるとは]

マグナモン[じゃあ、無理かどうか試してみますかね!!]

オーバードライブ。
過去の歴史修正の際に大幅に性能がパワーアップした力。
長時間の使用が出来るようになり、完全に弱点が解消された。

マグナモン[はああああ!!]

デーモン[オオオオッ!!]

マグナモンとデーモンがぶつかり合い、凄まじい衝撃波が。
マグナモンがパンチとキックを連続で繰り出すが、デーモンはそれを容易くかわすとマグナモンの腹部に一撃を入れる。

マグナモン[ぐっ!!この!!]

デーモン[ガッ!!?]

側頭部に入るマグナモンの膝。
そしてデーモンの腹部にプラズマ弾を放ち、直撃させる。

マグナモン[はああああ…!!]

ダメージを確実に蓄積させるために腹部に集中的に攻撃を叩き込む。

デーモン[ぐっ…私は、貴様が屠ってきた奴らのようにはいかんぞ!!]

拳と拳がぶつかり合い、その衝撃で海水が吹き飛ぶ。
それに構わず、互いの攻撃をぶつけ合う。
ぶつかる際の衝撃により、マグナモンとデーモンの周囲には海水が全く存在しない。

マグナモン[凄い奴だお前は…!!バルバモンと同レベルだと思ったことは謝るよ…]

デーモン[バルバモン?あの七大魔王の一角を倒したと言うのか?]

マグナモン[ああ…実際は魔力だけのクズだったがな…!!]

デーモン[ほう…七大魔王最弱とは言え倒すとは…貴様はここで殺しておいた方がよさそうだな…!!]

マグナモン[やってみろよ…!!]

不敵に笑いながら、マグナモンはデーモンに頭突きを喰らわせる。

デーモン[ぐっ…]

マグナモン[ウスノロ!!]

勢い良くデーモンを蹴り飛ばす。
そして顔面を鷲掴み、プラズマ弾を喰らわせる。

デーモン[フレイムインフェルノ!!]

マグナモン[ぐっ!!]

防御が間に合わなかったマグナモンはそれの直撃を受ける。
あまりの熱にマグナモンは顔を顰めた。

マグナモン[零距離エクストリーム・ジハード!!]

業火を強引にぶち破ると、零距離でエネルギー波を放つ。
暗黒系のデーモンには聖なる光の技は効果抜群である。

デーモン[ぐおおおおお!!?]

まともに受けたデーモンが吹き飛んだ。






























そしてトラックに追いついたフェイト達は、トラックを止めようとするが、賢がいることを思い出し、思いとどまる。

賢「………」

ギロリと男を睨む賢。
それには凄まじい憤怒と殺意が秘められていた。

「随分と怖い目をするじゃないか」

賢「したくなくてもこうなる。お前みたいな外道がいるならな」

「一乗寺さん……ですよね」

賢に歩み寄る少年。
賢は知らないが、昨日の夕方、お台場の公園で一人ブランコに揺られていた少年だ。

賢「そうだけど……」

「やっぱり……僕、ずっと一乗寺さんに憧れていたんですよ……勉強出来て、スポーツ万能で、言うこと無いですよね……」

かつての道を誤った自分に、こんなに昏い執着心と羨望を抱いていた子供達がいたとは。
それは賢にとって誇りでも何でもない、消し去りたい恥だ。

「そしたら、このおじさんが夢を叶えてあげるって言うから……」

賢「へえ?子供の気持ちを利用するとは…クズだね…」

嘲笑を浮かべる賢。
しかし男は気にすることもなく歩み寄る。

「それにしても、あんなに小さかった子がね、驚いたよ」

賢「?僕はお前なんか知らないぞ」

「酷いな、お兄さんの葬式で会ったじゃないか」

賢「兄さんの?そう言えば…見覚えが…」

「葬式で君に会った時、ピンと来たんだよ……君には暗黒の種が埋え付けられているって」

かつてワームモンと遼と共にデジタルワールドを冒険した時、2人で倒した暗黒デジモンが最後の力を振り絞って放った攻撃。
ウィルスのように刺を持った球体、あれが暗黒の種。

賢「それが狙いでこんなことをしたのか?暗黒の種のために」

「……まあ、色々と役に立つ物だからさ。欲しくなるのは当然さ」

暗黒という名が付き、過去の自分の人格をも歪め、デーモン達が欲するそれが、ただ能力を上げるものであるはずが無い。
恐らく、これは常人が興味本位で触れていいものではない。

賢「……何をするつもりだ」

「苗を貰って、みんなに移植するよ……いいだろう?なあに、痛くなんかないよ……種と言ってもデジタルなデータなんだから。」

拘束された賢の後ろにしゃがみ込み、彼のやや長めの黒髪を掻き分けて首筋に機械を翳す。
悔しさにより、賢は唇を噛み締めた。

賢「ぐっ…!!子供達さえ人質に取られていなければ…」

容易く叩き潰せるというのに。

「それじゃ、スキャンさせてもらうよ……」

真紅の光が、薄暗闇にぼんやりと浮かび上がっている。
ピッと軽い電子音が聞こえた瞬間、賢は身体から力が抜けるのを自覚した。
痛みは無いと言っても、やはり無理にデータをコピーされると何らかの異常があるようだった。

賢「ぐっ…」

意識が朦朧とする中、トラックの中に光が。

アリシア「賢!!」

リイン「とーさま!!」

エンジェウーモンとレディーデビモンがトラックの荷台の扉を強引に開けて雪崩込んでくる。

アルケニモン「ボス!!?」

レディーデビモン[ナイトメアウェーブ!!]

エンジェウーモン[ホーリーアロー!!]

本来なら犬猿の仲の2体の必殺技がアルケニモンに炸裂する。
男から賢をエンジェウーモンが奪い返すと治癒を始める。
身体に力が戻っていく感覚に賢は笑みを浮かべた。

賢「リイン」

リイン「とーさま、大丈夫ですか?」

賢「ありがとう…まさか娘に助けられる日が来るとは思わなかったよ」

レディーデビモン[何かされた?]

賢「ああ、暗黒の種とやらをスキャンされてしまった…。」

はやて「賢兄…」

賢「大丈夫だよはやて。それよりデーモンは?」

ルカ「大輔さんが抑えてくれています」

賢「そうか…急ごう。大輔が負けるとは思えないけど万が一ということも有り得るからね」

アリサ「あいつらはいいの?」

アリサが指差すのは、このまま走り去るトラック。

賢「…今は、デーモンの撃破を優先すべきだと思う。あの子達の命は大丈夫だ。」

今は脅威の排除を優先すべきだと賢は思う。
フェイト達もそれが分かるためにトラックは後回しにしてデーモンの元に。































マグナモン[そらっ!!]

デーモン[がはっ!?己!!]

蹴りを腹部に入れられたデーモンは仰け反るが、すぐさま反撃に転じるが、マグナモンは最小限の動きでかわしていく。
マグナモンは既にデーモンの動きを完全に見切れていた。

マグナモン[単調な攻撃だな]

マグナムパンチがデーモンの頬に突き刺さる。
度重なる戦いの経験と特訓により、多少戦えば相手の動きを読めるようになるため、回避しながらの攻撃で腹部を重点的に狙い、ダメージを確実に蓄積させていく。
デーモンの顔面に蹴りが入り、地面に転がるように倒れる。

デーモン[ぐっ…己…]

完全に動きを読まれてしまい、デーモンの攻撃は当たらなくなってしまった。
しかもこちらはダメージを受けすぎたせいでスタミナが落ちている。
このままでは敗北は確実。
何かいい手はないかと辺りを見回すと、そこには一台の自動車。
ニヤリと笑うとデーモンは自動車に必殺技を放った。

マグナモン[!!?しまった!!]

ブースターを吹かして、自動車を庇う。
運転手は恐怖に引きつった表情で逃げ出した。

デーモン[スラッシュネイル!!]

マグナモン[ぐはっ!?]

マグナモンの隙を突いて、攻撃を喰らわせる。

デーモン[フレイムインフェルノ!!]

マグナモン[ぐあああああああ!!!?]

直撃を受けたマグナモンが倒れる。

デーモン[ククク…これで貴様は終わりだ。手間取らせおって…]

マグナモン[ぐっ…卑怯者…]

デーモン[卑怯か…貴様等の最大の弱点は精神的な甘さにある。非情になり切れん奴が悪に勝てるわけがなかろう]

賢「それはどうかな?」

デーモン[一乗寺賢か…]

賢「少しだけだけど戦いは見せてもらった。キメラモンカオス程の化け物じゃなくてほっとしたよ」

デーモン[一乗寺賢、私と共に来い。暗黒の種を渡して貰おう]

賢「断る。僕はお前のような奴に大人しく従うような奴じゃなくてね…」

デーモン[ならば死体にして奪えばいいだけのこと]

賢「やってみるといいよ。そのザマで何が出来るのか知らないけどね…」

ワームモン[ワームモンブラスト進化!ベルゼブモン!!]

デーモン[何!?ベルゼブモンだと!?]

同じ七大魔王の出現にデーモンは驚愕する。
しかもベルゼブモンはモードチェンジでブラストモードに。

ベルゼブモン・BM[さて、お前の最期の時だなデーモン]

デーモン[ぐっ…ほ、ほざくなあ!!]

暗黒波動がベルゼブモン・ブラストモードに炸裂する。
しかし、疲弊し、パワーが落ちているデーモンの攻撃ではベルゼブモン・ブラストモードに大したダメージは与えられない。
陽電子砲を粒子化して、一気に肉薄すると左のストレートがデーモンの鳩尾に炸裂。

デーモン[がふっ!?]

ベルゼブモン・ブラストモードはデーモンの頭を鷲掴み、顔面に膝を入れる。

ベルゼブモン・BM[はあっ!!]

そして回し蹴りを繰り出し、デーモンを岩壁にめり込ませると、前方に魔法陣を展開。
陽電子砲をデーモンに向ける。

ベルゼブモン・BM[カオスフレア!!]

魔法陣を介して凄まじい砲撃が放たれた。
直撃を受けたデーモン。
身体のアチコチが焼け焦げ、最早半死半生の状態。
拳を握り締め、とどめを刺そうとした瞬間。

ドシュ。

突如鈍い痛みがデーモンを襲った。
それから異物を確認する。
そこにあるのは異形の手。
ただ妙なのは、それが自身の胸から突き出て、体内にあったはずのデジコアを握っていることだった。

デーモン[な、何者だ…!?]

大輔達は知っている。
かつて世界を遊びで破滅させようとしたキメラモンカオスよりある意味厄介な悪魔。

フェイト「ディアボロモン…?」

馬鹿な。
クラモンは確かに母の元にいた。
いや待て。
もしかしたら、僅かに残っていたクラモンのデータが自己再生し、復活したのかもしれない。

ディアボロモン[マダ、遊ビ足リナイ。アイツラト遊ブノニハ、力ガ必要。オ前ノデジコアガ欲シイ]

ズプッ…。

ディアボロモンはデーモンのデジコアを抜き取ると、ガブリとデジコアを噛み砕き、己の糧にしてしまった。

ディアボロモン[ガアアアア…]

どす黒いエネルギーを纏い、全身を真っ黒に染めたディアボロモン…否、ディアボロモン・ルインモードがいた。

 
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