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碧陽学園生徒会議事録~•In the hill where the setting sun is beatiful~夕日の綺麗なその丘で~

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On Winter one day  ~冬のある日に~







20XX年12月――






とある少年がか弱い少女に救われた時、同時刻に全く違う場所でも似たような事かあった。



それは物語には入っていなかったもしかしたらの話。




本来なら交わる事のなかった一人の少年が織り成すもう一つの物語――


二人の主人公は、一体どのような物語(じんせい)を描いていくのだろうか?






これは原作とはちょっと違ったお話





















――某公園










「はは、寒いな…」



夜の誰もいない公園で俺はそう一人呟いた。









此処まで来る時はがむしゃらに走って来たのでそこまで寒さを感じなかったが、さっきから滑り台にもたれかかるようにしてずっと横たわっていたので今はとても寒く感じる。



ぶるぶると体を震わせながらも俺は、その場を動こうとはしなかった。
頭や服には雪が軽く積もっており、みた感じでも、随分前からずっとこうしているのが想像出来る。




少年の身なりは黒のジャケットに襟付きシャツを着こなしており、胸ポケットには赤いチーフをさしている。
見る限りに「パーティーにでも行くの?」と聞いてしまいそうだが、その考えも間違いではない。





そんな時、遠くの家から家族の笑い声が聞こえてきた。


今日は12月――一般的にクリスマスと呼ばれる日だ。
普通の家族だったら、わいわいと食卓を囲みながら美味しい料理を食べ、家族と話をして過ごすのだろう。そう、普通だったら…





「…っ」



気が付けば俺は、強く手を握りしめていた。
手からは血が出ており、雪の積もった白い地面に垂れている。















俺はとある大手電気メーカーの社長の子として産まれた。



元々両親はなかなか子供が出来なかったらしく、俺は長男――つまるところ跡取りとして育てられた。


代々古くから続いてきた名家であり、俺はそこの跡取りだ。
なので俺は、普通の家庭とは違う世界で生きてきた。



二才の頃から専属の家庭教師に英才教育を受け、朝の七時から夜の十一時まで必要最低限の食事やトイレ、風呂等以外は全て勉強に当ててきた。


勿論唯の勉強から、習い事等はひと通りやらされた。
習い事といっても運動等もあったので、別に引きこもって勉強ばっかりという訳ではなくて体もすくすく育っていった。






そして自分でいうのも何だが、元々俺にはあらゆる才能があったらしく数々の分野で頭角を表していった。




小学生に上がる頃には、東京大学生でも難しい問題をすらすら解けるようになっていたし、またスポーツ面でも優れており、こちらも小学生に上がる頃には同学年は勿論の事今まで教えてきた専属のトレーナーさえ相手になるものは殆んどいなかった。



周りからは麒麟児として恐れられ、それと同時に羨ましがられた。
同時に俺は、この家の人間ということに小さい頃ながらも誇りに想っていた。









そしてなにより、この頃の俺は親に褒められる事か大好きだった。



自分が何か新しく物事が出来るようになると、母親はまるで自分の事のように喜んで俺の頭を撫でてくれた。

父親も、何かと『頑張れ!!!』といって励ましてくれていた。





『もっと褒めてもらえるように頑張らなくちゃ!!』



唯その一心で俺は勉学やスポーツに打ち込んでいった。














そしてこの頃から、俺にある特殊な能力が目覚めだした。



なんと、相手の考えている事がわかるようになってしまったのだ。
これに気付いたのは、屋敷の中で起きたある出来事がきっかけだった。









――――






「ぼっちゃん、朝ですよ~!」



「……うみゅぅ…」



重たい瞼を開きながらも俺は体を起こした。


昨日は10時までずっと勉強の日だったからな…

なんてことを思いながら、少しの間ぼーとしていると


…ちゃん、よだれが…


そう言われ俺は口の周りを手で拭うと、言われた通りよだれがついていた。


俺は起こしに来てくれた家政婦さんに『教えてくれてありがとう!!』と言った。このまま食堂に行ってたら母様達に笑われちゃうからね…



そう思っていると、家政婦さんはえっ?という顔をしてこちらを見ている。
え?どうしたの?もしかしてまだ変だったりするのかな?


何てことを思いながら、取り敢えず理由を聞いてみた。


「どうしたの?そんな驚いたような顔して…?」



「え!?いや……、今何でお礼を言ってきたんですか?」



「なんでって……そりゃあ僕がよだれ垂れてたのを教えてくれたからに決ってるじゃない」



そう言うと家政婦は、大変驚いた顔をしながらも


「……!?……あの……すいませんけど……」



「ん?どうしたの?」



「私ぼっちゃんに朝ですよーとしか言っていないのですが……」



………え?








そしてその時俺は一つの仮説を立てた。
決してありえないと思うが、現状これくらいしか思いつかない。
そう思い、俺は取り敢えず家政婦に言ってみた。



「すいません、いきなりですけど今から何でもいいので一つの事だけを頭の中に思い浮かべてください」



「…どうしたんですか?一体?」



「いいから早くお願いします!」

そう言うと家政婦さんは疑問に満ちた顔をしていたが、取り敢えずといった感じで目を閉じ考えてくれたようだ。














……今日掃除終わったら、昨日貰ったバームクーヘンを紅茶でも入れながら食べようかな…



「『掃除終わったらバームクーヘンが食べたい』ってところか…」



「え…?」


『何でわかったの?』みたいな顔をしているから、取り敢えず「顔に出てたよ」と適当に返答しながらも俺は確信する。


何でかは知らないがどうやら俺は、『望まずにして相手の心を読む事が出来るようになった』んだと。
















最初のうちは良かった。

何でも人の心が読めるのだ。いいこともあれば、当然悪いことだってある。

俺は立場上、たまたま悪い事のほうが多かっただけにすぎない。人それぞれに大小差はあるはずだ。




今日俺がここ(こうえん)にいるのだってそうだ。


パーティで近づいてくるのは下心しかないような連中ばかり。
やれ玉の輿だとか、やれステータスがなんだとかともううんざりだ。









『醜い』




俺は素直にそう思った。
小さい頃にあんなに尊敬していた父親でさえ、裏では汚い事に手をだしていた。

母親も、俺の事を何かときにかけているような素振りをしていたが、
俺のいないところでは俺の自慢ばっかりで俺を宝石か何かのアクセサリーと勘違いしているようにしか見えない。

家の人達も一歩下がって接していて味気がない。


『俺も普通の家に産まれていれば……』


何度その言葉を口にし、何度願っただろうか。
今ではもう数えるのも馬鹿らしくなってきた。





少年は冷えきっていた。
この寒空の中外にずっといるので、体は当然雪塗れで顔も心なしか蒼白い。


そして、親にも周りの人達からも『本当の自分』をずっと見てもらえず、一人周りの偽りの言葉に耳を塞いでいた少年はとうとうここで思った。


「もう……どうでもいいや…」


自然と口から出た言葉と共に少年は、開いていた瞼をゆっくりと閉じていった。




どうせ生きている限り、この苦しみは続いていくのだろう。

ならば……そうならばもういい……もういいよ……


もう……楽になってもいいよな……?



俺の意識はそこで途絶え、深い暗闇の中へと吸い込まれていった。


















「~~♪~~…ん?」


携帯にイヤホンをさして音楽を聞きながら家に向かっていたあたしは、そこで不意に立ち止まった。




理由?うーん…何だろうな…何か立ち止まらないといけない気がした…からかな。


詳しい事はこう解らないけど、何て言えば言いのかな…そう、歌が聞こえたんだ。


イヤホンつけて音楽聞いていたのにそんなの聞こえる筈ないって?


まあ確かに普通ならそうだろうけどよ、こうなんていうか…ヒビッときたんだよ。








――悲しい歌だった。


日本語じゃなかったから何ていっているか全然わからなかったけど、それでも悲しいということは十分に理解できた。









あたしは自然と公園内に歩き出していた。



何で自分が公園の前で止まったのか、そして何で公園の中に入っていっているかなんてどうでもいい。


あたしは入り口から入って辺りを見渡した。



辺り一面真っ白だ。雪が積もっていていつもの公園とはまた違った景色のように見える。


そんな中、ある場所だけ色が違ったのであたしは、なんのきなしそちらに向かう。そして……






「…え?」


なんとそこには人が倒れてたって、ええぇぇぇぇぇぇぇ!?




ちょ何で普通に人倒れてんの?こんな冬の日に?


そんな事になるのは漫画の中の某不幸執事だけで十分だぜ!!


と、某不幸体質な執事に失礼極まりないことを言いながらあたしは、取り敢えず生きているのか確認するために首筋を触り、脈があるか確かめる。


……おし、生きてるな。


思わずあたしは「よかったー」と言って肩を撫で下ろした。


「……こんなクリスマスに死体見るなんてマジ勘弁だぜ……」


クリスマスじゃなかったらいいのかよ!?というつっこみはスルーして……


「それにしても……」




この状況どうする?


思わずあたしはそう自問自答した。

流石にこのまま放置していたら明日にはかっちかちの冷凍食品のようになってしまうのでそれでは寝覚めが悪い。


近くに病院があるわけでもないし、今すぐにどこか寒さを凌げる場所といったら……












――――


「やっぱりウチ(ここ)しかないか……」


結局そのまま放っておく訳にもいかず、しょうがなくあたしの家にこうして運んできたという訳だ。





チクショー、これほど公園から家が近い事を悔やんだ事はないぜ!!



と感傷(?)に浸りながらも、取り敢えずあたしは家のカギを開けて中にかついで入った。






「真冬ー!おーい真冬ー!」


呼んでみるが、家の中からは人がいる気配がしない。きっとあたしが外に出てい間にどこか出掛けたのだろう。ていうか……


「出掛けるんだったら始めから自分で行けよな!!」


思わずあたしはそう叫んでいた。

あたしが外に出てたのだって、真冬が


『お姉ちゃん、ごめんだけど夜ご飯の当番変わって欲しいんだけど…』というからだ。
いくら可愛い妹だとはいえ、そこら辺を甘やかすのは良くないと思い反論したが、

「真冬は今月に発売した新作RPGのレベル上げで忙しいんですよ!!」

と鬼気迫る顔で言われ、思わず


「お、おう……」

となかば納得したようになっちまったからな……




そんな事を考えていると、どうやら男が起きそううだ。


『さっきからしきりに唸っていたが、本当に大丈夫なんだろうか…?』


そう思いつつも、あたしはさっきから別の事で引っかかっていた。






じっじじっ……



……ちゃん、ほらおいでよ!!



……待って!……くんっ!














「あれ、…あたしこいつとあった事ある……?」
今頭の中で一瞬ノイズが走っていった。



何かどでかい原っぱで二人で遊ぶ一対の少年と少女。

互いを追いかけあうようにきゃっきゃっ言いながら走りまわっていた。



何でだろう……今初めて見た影像なのに、何かどことなく懐かしさをあたしは感じていた。
まるで自分が経験したことがあるかのように……。




「……う、うぅぅぅぅぅぅん、……ここは……?」


どうやら本格的に起きたようだ。



『……まあ、後で聞いてみればいいか…』






そう自分で納得しつつもあたしはその男のほうに振り替えった。




 
 

 
後書き
はい、というわけで中途半端ながら切らせてもらいました。

これ以上書くと区切りが悪くなるもので…

感想・評価・ご指摘などお待ちしております!! 
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