戦国異伝
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第二百九話 もう一人の龍その四
「まさにのう」
「左様、色ですな」
「何故我等は皆色を使っておるか」
「それは何故でありましょうか」
「わしは好きだからじゃ」
それでと答える信長だった。
「青がな」
「だからですか」
「全て青とした」
その服も具足もというのだ。
「それにな」
「左様ですか」
「他の家もな」
武田なり上杉もというのだ。
「やはりな」
「好みで」
「そうした色にしておる」
こう言うのだった。
「ただな」
「ですか」
「そうじゃ、しかしな」
「しかしとは」
「それでいてじゃ」
考える顔での言葉だった。
「わしはこうも思う」
「こうも、とは」
「わしが青にしたことはじゃ」
織田家のその色をだ。
「運命だったのではとな」
「運命ですか」
「そうも思う」
まさにというのだ。
「わしとしては好きだったのだがな」
「青という色が」
「赤も好きじゃがな」
それでもというのだ。
「青はな、織田家全体の色として相応しいと思った」
「それで青にされたのですか」
「うむ、しかしな」
「その色がですな」
「他の色とも合わせてな」
武田の赤や上杉の黒にしてもだ。
「そうした色が集まると」
「何かがあると」
「そうも思えてきた」
実際にと言う信長だった。
「どうもな」
「左様ですか」
「そして伊達もじゃな」
「左様ですな、あの家も色があり」
水色だ、それが伊達の色だ。
「当家に入れば」
「また一つ色となり」
「そして最後には」
「島津家じゃな」
九州の薩摩のこの家であるというのだ。
「あの家になるな」
「ですな、今九州の南で戦を大いにしていますが」
「あのままいけばな」
ここでだ、信長はその目を鋭くさせて言った。
「数年後には九州の南をほぼ手中に収め」
「そして、です」
黒田が言って来た。
「そのうえで」
「九州の北もじゃな」
「攻め入ってです」
そうしてというのだ。
「己の手にするでしょう」
「そうなるであろうな」
「確かに大友と龍造寺も強いですが」
九州の北に大きな力を持つ両家だ、大友は東にいて龍造寺は西にいる。
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