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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第七幕その五

「気をつけているんだ」
「最初から嘘を言わないことね」
「そうしているんだ」
「それはとても素晴らしいわ、やっぱり先生はね」
 どうした人かというのです。
「紳士よ」
「そう言ってくれるんだ」
「ええ、本当の紳士よ」
 お静さんは微笑んで先生に言いました。
「先生はね」
「だといいけれどね」
「ええ、やっぱり私の目に狂いはないわね」 
 お静さんは微笑んでまた言うのでした。
「先生は信頼出来て頼りになる人よ」
「そう、お静さんはいい目をしてるよ」
「よく先生を頼ってきたよ」
 動物の皆もお静さんに太鼓判を押しました。
「先生は何があっても信用出来る人だから」
「むしろね」
「騙されやすい人だから」
「世間のことには疎いからね」
「嘘吐きのことはわかっていてもね」
 そうしたことはわかっていてもです、先生は世間のことに疎いので。
 それで、です。嘘を言う相手にはです。
「すぐに騙されるから」
「それで詐欺に遭ったりするから」
「傍にいて心配になるんだよ」
「実際に騙されかけてね」
「大変なことになりかけたりしたし」
「僕達がいないとね」
 それこそ、です。
「心配で見ていられないよ」
「本当に先生お一人だと」
「どうなるのか」
「不安で仕方ないわ」
「そうね、先生ってね」
 お静さんも先生も見てお話しました。
「人をすぐに信じてしまう人ね」
「人を見る目はあるんだよ」
「けれど人が良過ぎるんだ」
「だからね」
「人を信じ過ぎてしまうんだ」
「悪い人もね」
「ついついね」
「そこが先生の困ったところね」
 お静さんは腕を組んで先生を考えるお顔で見ています。
「気をつけないとね」
「そう、けれどね」
「先生が頼りになる人であることは事実だよ」
「嘘は言わないし」
「誠実だからね」
 それでしっかりと動いてくれるからです、先生は頼りになる人なのです。そして動物の皆もいるからです。
 ホワイティとチープサイドの家族がまた言いました。
「じゃあね」
「僕達がね」
「暫く彼を見ていくから」
「大体一週間かな」
「それ位だね」
「うん、一週間ずっと見ているとね」
 どうかとです、先生も言います。
「どういった人かわかるから」
「だからだね」
「ここはだね」
「私達が一週間ずっと見て」
「そうしてね」
「どんな人か見極めるんだね」
「そうしてくれると有り難いよ」
 先生はこう言ってホワイティ達にお願いしました、そして
 トートーもです、先生に言うのでした。
「僕もね」
「トートーもだね」
「そう、夜は僕だよ」
 梟である彼もというのです。
「僕が見ると。それとね」
「うん、ホワイティ達は小さいからね」
「蛇とかが怖いじゃない」
 こうした生きものに襲われたらというのです。 
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