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戦国異伝

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第二百八話 小田原開城その三

「まさに明日にでもな」
「そしてそれが来て、ですな」
「それから降るぞ、わかったな」
「さすれば」
 こうしたことを宴の夜に話した、そして実際にその次の日にだった。信長は文を書いてそれを幸村に渡して言った。
「これをじゃ」
「小田原にいる北条氏康殿に」
「渡して来るのじゃ」
 こう言うのだった。
「わかったな」
「はい、さすれば」
「御主も行くのじゃ」
 信長は兼続にも告げた。
「よいな」
「それがしもですか」
「二人で行くのじゃ」
「そして、ですか」
「返事を聞いて参れ」
 こう二人に言ってだった、その文を持って行かせた。そして小田原城の中でだ。二人は氏康と面会してだった。
 その文を手渡した、氏康は二人に文を受け取ってから問うた。
「この文を読んでからじゃな」
「はい、是非」
「お願いします」
「それでなのですが」
「まことに申し訳ありませんが」
 それでもと返す二人だった。
「お返事をです」
「頂きたいと思っています」
「それがし達は待たせて頂きます」
「その時まで」
「あいわかった」
 これが氏康の返事だった、そうして。
 彼はその場で文を開きそのうえで読んでだった。
 それからあえて暫く時を置いてだ、こう二人に答えた。
「ではな」
「はい、お返事をですか」
「今から」
「伝えてもらう」
 信長にというのだ。
「是非な」
「それではお返事は」
「一体」
「こちらから行かせてもらうとじゃ」
 笑みを浮かべてだ、氏康は二人に言うのだった。
「そう伝えてくれるか」
「左様ですか」
「その様にですか」
「うむ、伝えて欲しい」
 是非にというのだ。
「そうしてくれるか」
「はい、わかりました」
「それではです」
「その様に」
「これより伝えさせて頂きます」
「その様にな」
 氏康もこう二人に頼む、そうして二人は信長の下に戻り実際に氏康の言葉を伝えた、すると信長は笑みを浮かべてこう言った。
「勝ったわ、そしてじゃ」
「北条氏もですか」
「遂に」
「うむ、織田家に降ってじゃ」
 そして、というのだ。
「北条氏康もな」
「そうなりますか」
「ようやく」
「戦が終わった」 
 関東のそれがというのだ。
「ここでな」
「ですか、遂に」
「そうなりましたか」
「そして後は」
「いよいよ」
「さて、その伊達じゃが」
 伊達政宗についてもだ、信長は言った。 
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