リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第百四十七話 ホーリーストーンを巡って
前書き
ホーリーストーンを巡って戦う子供達。
戦う前から勝敗が決している気がするけれど。
ゴールドブイドラモン[どりゃあああ!!]
ゴールドブイドラモンの拳がホーリーストーンのリングを粉砕した。
ベルグモン[ゾーンデリーター!!]
闇がホーリーストーンを包み込み、闇が消えた時にはホーリーストーンは異空間に飛ばされた。
すずか「ホーリーストーンの封印完了しました。」
パソコンでホーリーストーンの封印を確認したすずかは大輔に報告する。
大輔「分かった」
クロアグモン[むっ?]
ギンガ「どうしたのクロアグモン?」
クロアグモン[小さなパワーが近づいている。しかも複数だ。]
フェイト「もしかしなくても彼らだね。」
アリサ「また来たのあいつら?」
スバル「懲りない人達だね」
選ばれし子供達のメンバーで一番幼いスバルにまで言われてしまうとは少々哀れである。
大輔達は絡まれる前にスタコラサッサと逃亡した。
岩陰に隠れていたアルケニモンとマミーモンもスタコラサッサとバギーで逃亡した。
アルケニモン「3つ目のホーリーストーンも消えちまったよ」
マミーモン「あいつら何のためにホーリーストーンを消してんのかな?あいつら選ばれし子供なんだろ?」
アルケニモン「知らないよ。しばらくは様子を見た方がいいね。何考えてんだか分からない連中程、厄介なのはないしね」
マミーモン「そうだな」
バギーを吹かして、一気に駆け抜けるアルケニモンとマミーモン。
ヒカリ「ホーリーストーンが……」
タケル「間に合わなかったか……」
リングの破片を見つめ、タケルが唇を噛み締めた。
この様子から、大輔達かアルケニモン達がいたのはつい先刻なのだろう。
せめてもう少し早く行っていればという思いと、これだけ速く移動出来、尚且つ頑丈に守られている筈のホーリーストーンをいともあっさりと壊してしまう相手の強さへの絶望感が綯い交ぜになって、言いようの無い焦燥感が子供達の胸を焼く。
京「どうしよう……このままじゃ、ホーリーストーンが全部大輔達かアルケニモン達に壊されちゃう」
タケル「そうはさせない!!」
いつになく強い調子のタケルの言葉に、子供達は驚いて彼の方を振り向いた。
タケルは怒りに拳を震わせ、こう叫ぶ。
タケル「あんな奴らに負けてたまるか!!世界を破滅させようとする奴らに…何とか先回りして、ホーリーストーンを守ろう。他のデジモン達にも協力してもらって」
現実世界に戻るとタケルは目を見開いた。
タケル「あれ?」
同じマンション住まいの為、タケルと京、伊織は帰り道が一緒なのだが、当の伊織は2人と共に帰ろうとせず、ウパモンを抱えて横断歩道の前に佇んでいた。
タケル「伊織くん、今日は稽古?」
伊織「……あ、はい。失礼します」
タケルに一礼し、伊織は横断歩道を渡って走り出した。
そのランドセル越しの背中を、タケルはぼんやりと見送る。
ウパモン[伊織、どうしただきゃ?今日は稽古はないって言ってただぎゃ…]
伊織「…大輔さんに一乗寺さんのパイルドラモン。ヒカリさんと京さんのシルフィーモン。フェイトさん達は単体で超進化やワープ進化が出来るし、あの人達も…大輔さんや一乗寺さんの例外を除けば、次にジョグレスするのは僕とタケルさんということになりますよね?」
ウパモン[そうだぎゃ。それがどうかしたんきゃ?]
伊織「ウパモン、怒らないで欲しいんだけど。僕はタケルさんが分からないんだ。」
ウパモン[へ?]
伊織「確かにタケルさんの気持ちは分かります。でも、悪いのはデビモンであって全ての闇のデジモンが悪い訳じゃない。ダスクモンも僕を助けてくれたし…ブラックウォーグレイモンだって大輔さん達を殺さなかった」
ウパモン[伊織ぃ…]
伊織「きっと、大輔さん達がホーリーストーンを消すのは何か事情があるはずなんだ。大輔さん達と話したい。話せば分かり合えると思う。だって、僕達は同じ選ばれし子供だから」
ウパモン[伊織…そうだぎゃ。その気持ちがあれば大輔達と分かり合えるだぎゃ。]
伊織の気持ちを尊重して、ウパモンも頷いた。
伊織「はい。明日、皆さんに聞いてみましょう。」
ウパモン[だぎゃ!!]
そしてウパモンを抱いて、自宅に向かう。
大輔「…少しはマシになったな伊織」
物陰で静かに伊織を見つめていた大輔が優しげな表情で見つめていた。
ブイモン[大輔、伊織とヒカリくらいには教えてやらないか?]
大輔「駄目だ。不確定要素は出来るだけなくしておきたいんだ…。全てが終わったら話す。絶対に」
ブイモン[そうか、大輔がそう言うなら俺はそれで構わないよ]
大輔「サンキュー、ブイモン。」
大輔はブイモンと共に聖竜学園の寮へ向かう。
根元から失ってしまった左腕。
もう普通に暮らせるくらいには慣れてしまった。
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