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ハロウィン

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5部分:第五章


第五章

「またどうしてなの?ここに」
「ここが好きだから」
「好きって!?」
「この世界が!?」
「うん、そうだよ」
 こう皆の問いに答えるのだった。
「楽しいからね」
「楽しいねえ」
「まあ確かにね」
「それはね」
 皆もジャックのその言葉には頷いた。何しろ今の今までハロウィンを心から楽しんでいるのだからその楽しみを堪能しきっているからであった。
「楽しいことは楽しいね」
「だから来たの」
「僕は笑顔が大好きなんだ」
 ジャックはこうも言った。
「笑顔がね」
「笑顔がなの」
「皆の笑顔が大好きなんだよ」
 また言ってきた。
「明るく楽しく笑う笑顔がね。だからここに来たんだよ」
「ハロウィンに!?」
「お祭りがあれば大抵ね」
「そうね。お祭りだとあんたの格好実際に見るし」
 サエコはジャックの姿を上から下までじっくりと見回したうえで彼に述べた。
「普通にいれば誰も気付かないわ」
「うん。だから僕も来るんだ」
 ばれないからであった。この辺りは意外としっかりしていた。
「この世界にね」
「それで楽しむのね」
「そういうこと。楽しいよ」
 声に笑いが入っていた。見れば顔もそんなふうに見えてきていた。
「この世界ってね」
「で、今日もずっと楽しみたいのね」
 サエコはここまで話を聞いたうえでジャックに尋ねてきた。
「ハロウィンを」
「駄目かな」
 ジャックは今のサエコの問いには言葉を曇らせた。
「それって。やっぱり」
「私は別に」
 だがサエコは彼に不安げな声にこう返すのであった。
「いいわよ」
「いいの!?」
「カボチャ頭のジャックは知ってるし」
 彼自体についてはもうアメリカどころか世界中でよく知られている。それこそ子供だけでなく大人までである。それだけオズの世界が知られているということだ。
「どんな性格なのかもね」
「そうなんだ」
「はっきり言って有名人よ」
 このことも言うサエコだった。
「だからね。私は知ってるから」
「いいんだね」
「私はね」
 何故かあえて自分に限定するのであった。
「けれど」
「けれど?」
「皆はどうなの?」
 ここでサエコは男の子達に対して問うのであった。
「皆は。どう考えてるの?」
「僕達はってことだよね」
「やっぱり」
「そうよ。皆はどうなの?」
 また彼等に問うてきた。
「ジャックと一緒にいていいかしら」
「ああ、そういうことなんだ」
「一緒にってことなんだね」
「そういうこと」
 彼女はこのことを重ねて言ってきた。
「それで皆はどうなの?」
「いいんじゃないの?」
 最初に答えてきたのはリンチェンだった。
「それで」
「あんたはそれでいいのね」
「僕オズシリーズの本大好きだし」
 これが彼の理由であった。
「だから。ジャックがいてもね」
「あんたは賛成ね」
「うん」
「他の皆は?」
「僕もまあ」
「それでいいよ」
 ビルとボブもであった。
「実はジャック好きだしね」
「僕も」
 二人もリンチェンと同じ理由であった。
「だから。一緒にいてくれるのならね」
「是非」
「これで四人ね」
「いや、五人だよ」
 最後にカルロスが手を挙げてきた。
 
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