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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第五幕その八

「何かと」
「そうかな」
「英語の訛りが全然ないわ」
「日本人の日本語になっているんだ」
「それも関西のね」
「関西弁じゃないけれどね」
「言葉のニュアンスがね」
 そこがというのです。
「そうなっているわ」
「そうなんだね」
「ええ、それで阪神好きになったでしょ」
「阪神タイガースだね」
「そう、好きになったでしょ」
「あのチームはいいね」
 先生は目を暖かくさせてお静さんに答えました。
「華があるよ」
「そうそう、阪神はそうなのよ」
 お静さんは机をばんばんと左手で叩きつつ言うのでした。
「何があっても絵になるチームなのよ」
「そんなチームは阪神だけかも知れないね」
「あの華があるのがいいのよ」
「お静さん相当阪神好きなんだね」
「愛しているわ」
 お静さんも目を輝かせています、きらきらと。
「また優勝して欲しいわ」
「優勝だね」
「阪神の十連覇とかね」
 こうも言うお静さんでした。
「夢が適って欲しいわね」
「阪神の十連覇ね」
「先生もそうなって欲しいでしょ」
「いやいや、スポーツは楽しめばいいんじゃないから」
「あら、大人な考えね」
「スポーツは楽しんで何よりもスポーツマンシップを守って」
 そうしてというのです。
「正々堂々とすべきだよ」
「勝っても負けても」
「確かに勝てばそれに越したことはないけれど」
 それでもというのです。
「まずはスポーツマンシップだよ」
「真面目な考えね」
「僕はスポーツは苦手だけれどね」
 それでもというのです。
「スポーツマンシップ第一だよ」
「ううん、そう言われると弱いわね」
 お静さんは先生のそのお考えにちょっと困ったお顔になりました、そのうえでこうしたことを言ったのでした。
「私結構応援のマナー悪いから」
「そうなの?」
「お静さんマナー悪いの」
「自覚してるわ、よく阪神負けて暴れるから」
 こう動物の皆にも答えます。
「特に巨人に負けると」
「暴れるんだ」
「そうなんだ」
「何かっていうと」
「そうなんだね」
「阪神が勝ったら飲んで」
 そしてというのです。
「そして負けても飲むのよ」
「その飲み方が問題だね」
「負けた時にもう自棄酒とかだとね」
「それで暴れたら」
「ちょっと駄目だね」
「日本シリーズの時は暴れたわ」
 お静さんは少し遠い目になっています、そのうえでの言葉です。
「ロッテに惨敗してね」
「千葉ロッテマリーンズだね」
「いや、焼酎ラッパ飲みして騒いでご主人にこっぴどく叱られたわ」
「何処でそうしたのかな」
「甲子園の一塁側でよ」
 まさに阪神の本拠地のしかも阪神側です。
「負けたその瞬間にね」
「四連敗したんだったね」
「向こうは三十三点も取ってこっちは四点しか取れなくてね」
 四試合合わせてです。 
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