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大陸の妖精

作者:sinの妖精
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休息


週ソラの取材が終了して数日たったある日の夜


肩を落とし、落ち込んでいるルーシィは星霊のプルーと共に帰路を歩いていた



「あーあ、いい仕事見つからなかったなー・・・」


ルーシィは昼間の出来事を思い出しながら呟く


今日は運悪く、ルーシィと仕事に出かける仲間が全員不在であった


アルトはしばらくジュビアの面倒をみる為二人だけで仕事に出かけ、エルザは新調した鎧に不具合があったらしく、ハートクロイツ社へ抗議しに行った


グレイは氷の魔導士専門の仕事を受け一人で仕事に向かい、ナツとハッピーは週ソラの取材の後、ハッピーが選んだ低額報酬のクエストへ行ってしまったらしい



「このままじゃ今月の家賃払えないよぉ・・・明日、アルトに仕事行こうって誘ってみようかな・・・」


前向きに事を考えるルーシィだが、途中である事に気づく



「あ、でもアルトはジュビアの面倒を見なきゃいけないからしばらく空いてないのかぁ・・・」


「プーン」


大きめ溜め息をつき、頭を悩ませるルーシィ


プルーは自分の頬に手を当てて初々しいものを見る目でルーシィを見ていた



「だ、だけどまぁ・・別にアルトじゃなきゃ駄目ってわけじゃないし/////」


「プーン?」


「チームの中では一番頼りになりそうってだけよ!!本当にそれだけ!!」


「プンプーン♪」


「本当だってばぁ!!/////」


プルーの意味深な仕草に気づいたルーシィは必死に自己弁護していた


そうしている内にルーシィは自分の家へと到着した




家の鍵を開け、警戒しながらそっと部屋の中を覗く


辺りを見渡し、誰もいないことを確認して初めて部屋の中へと入る




「誰もいない・・・か、何で自分ん家帰るのにこんなドキドキするのかしら」


ルーシィは自分の行いに呆れつつ、『仕方ない』と自分に言い聞かせる


アルトやナツの度重なる不法侵入のせいで、今となっては警戒する『癖』がついてしまったのだ



「さーて、お風呂入ろー!!」


「プーン!!」


誰もいない事を確認して安心したルーシィは風呂に入る


そして、いつものようにやりたい事を一通り終えた後、歯を磨き、寝る支度を進めた



「ふぁー」


大きなあくびを漏らし、ベッドに潜り込み目を瞑るルーシィ



「おやすみなさーい」


誰もいない部屋で一人呟き、寝ている自分の隣にある大きな物体に抱きつく



「(・・・ん?あたし抱き枕なんて持ってたっけ?)」


両手いっぱいに広がる人肌の感触に違和感を持ったルーシィはそーっと瞑っていた目を開く


そして徐々に視線を上へと上げる



「ぎゃあーーーーーっ!!!!」


そこには安らかな寝息を立てているアルトの顔があった



「な、なな何してんのよこんなとこで!!/////」


「ん・・・何って、ただ寝てただけだよ」


「ここあたしん家ー!!てかあたしのベッド!!」


意識を覚醒させ起き上がるアルトに対し、ルーシィが大声で叫ぶ



「何でアルトがここで寝てるの!?」


「ジュビアと仕事に行ったら疲れちゃってさ・・・」


「・・・想像できるかも」


ルーシィの脳内には仕事中、片時もアルトから離れないジュビアの姿が映った



「ここから俺の家まで遠いから近くのルーシィん家で泊めてもらおうと思って」


「超勝手!!」


ルーシィがベッドから離れ、近くのソファに座りこむ


そしてアルトの方に視線を向けると、両腕に巻かれている包帯に意識が集中した



「その両腕、まだ治ってないんだ・・・大丈夫なの?」


「あぁ、魔法が出せるくらいまで回復した!まだ少し腫れてるから包帯巻いてるだけでもう痛くも何ともないよ」


アルトが腕を振り回しながら元気そうに言う


その姿を見たルーシィがアルトに気づかれないよう、良かったと呟いた



「ナツがラクサスの雷を食べた時よりは軽傷だ」


「ラクサスって・・あのS級魔導士!?」


「うん、あの時のナツはそりゃあもう大変だったよー、食欲なくなって炎も食べないし、無気力になって仕事も行かなかったし・・・」


昔を思い出し、溜め息をつくアルト



「てか、何でラクサスの雷を?」


「昔、ナツがラクサスに勝負を挑んだんだ・・・結果は瞬殺されて、ナツの完敗だったけど」


「そ・・そんなに強いの?ラクサスって・・・」


ナツが瞬殺されたと聞き、怯えて体を震わせるルーシィ



「多分、ギルダーツさんを抜かせばラクサスがフェアリーテイル最強じゃないかな・・・あ、ギルダーツさんって皆が『オヤジ』って言ってる人ね」


そう言ったアルトが再び考え出す



「あー・・でもエルザも十分強いしなぁ・・ミストガンもあんなに凄い眠りの魔法使えるんだから間違いなく強いし・・」


「そういえばフェアリーテイルのS級って5人いるはずよね?ラクサスとエルザとミストガンとギルダーツって人・・・あと一人は誰?」


ルーシィが何気ない質問をアルトにぶつける


アルトは体を小刻みに震わせ、額から冷や汗を流しながら言う



「ミラさんだ・・・昔は『魔人』って言われるくらい強くて、絶対怒らせちゃいけない人だったんだ」


「ま、魔人!?あのミラさんが・・・!?」


アルトの一言に驚きを隠せずにいるルーシィ


するとアルトは話題を逸らそうと、ポケットの中の紙を取り出す



「そういえばナブに聞いたんだけどルーシィ今、金欠なんだって?」


「そうなのよ!アルト、明日もジュビアとクエスト行くならあたしも連れてって!!」


「あぁ、それはもちろん良いけど、それよりもうまい話があるんだ」


そう言ったアルトが取り出した紙をルーシィに渡す



「仕事?」


「・・・じゃないんだけど。来週マグノリアの収穫祭があってフェアリーテイルも祭りに参加するんだ。右下の方を見て」


そう言われたルーシィはチラシの右下へと視線を向ける



「ミス・フェアリーテイル!!?」


「うん、フェアリーテイルの女のコたちの美人コンテストで優勝賞金は50万J」


「50万J!!?家賃七カ月分!!!そしてなんてあたし向き!!!」


「ジュビアは出るって言ってたし、恐らくミラさんやカナも出場するだろうけど、ルーシィも十分対抗できるよ」


「えーーーっ!!?ミラさんも!!?だって週ソラのグラビアやってる人よ!!!」


「でもルーシィだってこの前の週ソラの取材で少し有名になったじゃないか」


元気づけるように言うアルト


するとルーシィがアルトに視線を向けて言う



「そういえばアルト・・このコンテスト見に来るの?」


「見に行くよ、ジュビアに絶対見に来てほしいって言われた事だし」


その一言を聞いたルーシィが気合の入った笑みを浮かべる



「よし!ミス・フェアリーテイル絶対優勝してやるんだからっ!!」


アルトが見に来るのを知り、より一層やる気になったルーシィ


さっそく鏡の前に立ち、ポーズの練習をしていた



「ふわあぁ・・とにかく俺は寝る、おやすみー」


そう言って再びルーシィのベッドの上に寝転がるアルト



「ちょっと!!寝るんだったらせめて床に寝てー!!」


「もー・・分かったよルーシィ、ほら」


面倒くさそうな表情を浮かべるアルトは、ベッドの端に身をよせ、空いたスペースをポンポンと叩く


ここで寝ろと言う意味らしい・・・



「ふざけないでっ!!/////」


「痛っ、ごめん!!」


結局アルトはルーシィの部屋のソファで眠った


すぐ傍にいるアルトの寝息を聞き、緊張したルーシィはその夜よく眠れなかったらしい

 
 

 
後書き
アルトは基本、天然たらしの鈍感少年

しかしいざ攻められると照れてしまうよく分からない性格です 
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