転生とらぶる
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マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0954話
「アクセル、そろそろ起きた方がいいんじゃない?」
眠っていると耳元でそんな声が聞こえてきて、次第に意識が覚醒していく。
そして開けた目に映ったのは、すぐ間近に存在するシェリルの顔と、身体に触れている柔らかい感触。
そこまでならいつも通りの光景なのだが、違和感がある。
まず顕著なのは、ベッドには俺とシェリルの2人しか存在していないという事か。いつもであれば、レモン、コーネリア、マリュー、スレイの4人もいる筈なのだが。
そして何より、ベッドが狭い。いや、サイズ的にはダブルより若干大きめといった広さなのだが、それでもホワイトスターで使っている物とは比べものにならない。
他にも部屋の匂いとでも言うべきものは……いやまぁ、これに関しては昨夜の件があるから……そこまで考え、ようやくここがどこなのかを思い出す。
そう、ここは門世界にある帝国の帝都、ピニャの用意してくれた離宮の寝室だ。
「アクセル、目が覚めたかしら?」
「ああ、おかげさまでな」
腕に触れているシェリルの柔らかな身体を抱きしめつつ、そう言葉を返す。
朝の挨拶とばかりに軽く唇を交わし、用意されたガウンのような物を身に纏う。
ちなみに、昨夜シェリルと共に夜を過ごす前にしっかりとこの部屋に覗き穴や盗聴用の細工の類が何もないというのは、スライムにより確認している。
というか、そうでもしなければさすがにこの状況でシェリルと夜を共にするなんて事が出来る筈もない。
「確かこの世界にも風呂の類はあったよな?」
「ええ。一般市民にまでは広まってないようだけど、昨日メイドに確認したらあるって言ってたわ」
前もって風呂があるかどうかを確認している辺り、色々と計算ずくだった訳か。
いやまぁ、その辺はシェリル的に色々と重要なのは事実なんだろう。幾ら何でも、昨夜の匂いをさせたまま停戦交渉に参加する訳にもいかないしな。
本来なら俺が気にすべき事なんだろうが。
ともあれ、さすがにホワイトスターでならともかく、この離宮でシェリルと共に風呂に入るというのは色々と不味いので、シェリルを寝室に残したまま隣の部屋、本来であれば誰か尋ねてきた時に会談をしたりする為の部屋へと移動して、用意してあった鈴を鳴らす。
鈴特有の甲高い音が周囲に響き、やがて30秒としないうちに部屋の扉がノックされた。
入るように言うと、昨日の夜に俺付きだと紹介された20代程の、大体俺と同年代のメイドが部屋に入ってくる。
「失礼します、アクセル様。お呼びになりましたでしょうか?」
「ああ。朝早くから悪いが、風呂の用意を頼む」
「それでしたら既に準備は出来ております」
「すぐに入れるのか?」
「はい、幸い今はまだ誰も入っていませんので」
その言葉を聞き、俺は早速風呂へと入るのだった。
「アクセル代表、昨夜は良く眠れたか?」
風呂に入って身支度を済ませ、今回の交渉要因として帝都に来ていた者達が全員集まったところ――当然ながら一番遅かったのはシェリルだった――で、ピニャが姿を現す。
俺達の前にはそれなりに量のある朝食が用意されているのだが、何故かピニャの前に用意されたのは葡萄のように見える果実が一房だけ。
足りるのか?
そんな俺の疑問を感じ取ったのだろう。ピニャは果実を摘まみつつ苦笑を浮かべて口を開く。
「午餐や晩餐が続けてあるのでな。どうしても胃袋が幾つあっても足りん」
うげぇ。そんな声が聞こえ、そちらに視線を向けると他の者達も軒並み食事をする手を止めていた。
いやまぁ、確かにパーティのような食事を2食続けてって事になれば、普通なら厳しいだろう。
何より厄介なのは、この世界の料理があまり美味くないという事だ。
「その、ピニャ皇女殿下。今の話を聞く限りですと、停戦交渉に関しては午餐や晩餐といった場でやる事になる、とも聞き取れるのですが……」
恐る恐るといった風に尋ねたレオンに、ピニャは何を当たり前の事をとばかりにあっさりと頷く。
「当然だろう? これでも昨日の件で一応根回しの類は大分済ませているし、それ程時間は掛からないから安心してもいい」
「いえ、そういう訳ではなく……」
目に見えてダメージを受けた様子のレオン。
見て分かる通り、レオンは細身の体格だ。痩身とまではいかないが、それでも食べる方ではない。そんなレオンへパーティ2つに連続して参加しろというのは、色々と厳しいものがあるのだろう。
特に交渉の担当者として、料理を勧められれば断る事も出来ない。
……胃薬辺りを用意しておいた方がいいのかもしれないな。
そんな風に考えながら、俺は食事の手を止めた他の面子とは裏腹に皿の上に乗っているパンへと手を伸ばす。
俺の場合、食事は完全に趣味だ。食べた物はすぐに分解されて体内に魔力として吸収される。
つまり、この場合最大の問題とされている満腹感といったものは全く無意味であると言ってもいい。
いっそ食事を大量に消費しまくって帝国に対して地味なダメージを与えるというのは面白いかもしれない。
うんざりとしたレオンや、苦笑を浮かべている高畑やムウ、特に気にする様子もないまま食事を続けるアウルといった面々を見ながらも、食事を続けるのだった。
「キケロ卿、紹介する。この方が我等帝国が現在敵対している国の代表でもあるアクセル・アルマー殿だ。アクセル殿、こちらはキケロ・ラー・マルトゥス卿。帝国の中でも名門と呼ばれている貴族だ」
午餐の合間を縫って紹介されたのは、50代、いや60代か? ともあれ初老と言ってもいい男だった。
「初めまして、アクセル代表。この度はこちらからの停戦交渉に応じて頂き、感謝しております。特に捕虜の件に関しては私の甥がまだ生きていると知り、非常に嬉しく思っています」
この言葉を聞けば分かるように、このキケロとかいう男の甥はホワイトスターに侵攻してきた時に捕虜となったらしく、以前ホワイトスターに来た時にピニャに渡した捕虜の名簿の中にその名前があったとか。
本来は主戦派だったこの男がピニャに協力する事になったのは、そこが大きいらしい。
正直、攻め込んだ国の代表に対して謝罪の一つもないというのは色々と思うところもあるが……その辺に関しては、レオンが後で十分に帝国に対しての行動を起こしてくれるだろう。
昨日のゾルザルの件もあるしな。
「そうか。色々と言いたい事はあるが、この場では止めておこう」
そう告げ、レオンに視線を向けるとレオンが前に出てきて一礼し、口を開く。
「初めまして、キケロ卿。私は、今回そちらが求めて来た停戦交渉に関しての交渉担当でもあるレオン・三島と申します」
言葉では謙っているようにも聞こえるが、その内容はなかなかに辛辣だ。
何しろ現状でそちらがどうしようもなくなった為に、泣きついてきたから停戦交渉に応じてやったと言っているのも同然なのだから。
キケロにしてもレオンの言いたい事は理解したのだろう。一瞬だが、ピクリと頬を歪ませ、それでも怒りを押さえて言葉を返す。
「いやいや、帝国としても現状は確かに多少は苦しいが、力を十全に発揮出来ればある程度はどうとでもなる。ただ、その際に色々と手間が掛かるからこその停戦協定なのだよ。それに、捕虜の件もあるだろう?」
本気を出せばどうとでもなると言いたいのだろうが、その言葉は俺達には虚勢にしか聞こえない。
実際、現状でも帝国の戦力的にはギリギリ……いや、寧ろ足が出ているといってもいいような状況なのだから。
向こうにしても、こっちにその辺を気が付かれているとは思っていないんだろうが。
実際に、反旗を翻した従属国に向かって戦力を派遣しているからこそ分かっている事なんだよな。ああ、それと竜騎兵では上がる事が出来ない高度にいるメギロートの偵察もあるか。
「ふふっ、そうですね。確かに捕虜に関しては色々と考えがあるでしょう。その辺の話に関してもきちんとしなければいけないですね。特にキケロ卿も含めて身内が大勢こちらに捕まっているのを考えれば、出来るだけ早く停戦したいというそちらの考えも分かりますし」
「ほう? 随分と大きい事を言うな。だが、帝国軍の軍備が再編すれば今周辺で騒いでいる有象無象を片づけるのはそう難しくはない。そうなれば困るのはそちらではないか?」
「はて? 帝国軍を相手にする程度の事で私達が困るような事があるとでも? 実際、そちらが用意万端で攻め込んできた結果が現在の帝国軍の惨状なのでは?」
「確かに一度は大きな被害を受けたというのは認めよう。だが、それはそちらの戦力を知らなかったからだ。それを知ったのだから、同じ過ちは二度と繰り返さんよ」
「一度や二度戦った程度で私達の戦力を知った気になられても困りますね。いえ、帝国側がそのように認識してくれるというのは、寧ろ私達にとっては幸運なのかもしれませんが」
レオンとキケロが、お互いに会話を交わしながら相手を自分の言葉の鋭い棘で刺さんとする。
言葉の裏に何重もの意味を含めているのだろうやり取りだったが、それに待ったを掛けたのは、この場の責任者でもあるピニャだった。
「2人ともそのくらいで。今回行われるのはあくまでも停戦交渉だ。お互い我を通すだけでは何の意味もない」
「……ピニャ殿下がそう言われるのであれば、大人しく引き下がりましょう」
「そうですね、そうさせて……」
そこまで告げた、その時。突然怒声が周囲に響き渡る。
「何だと貴様ぁっ! 私を誰だと思っている!」
「へっ、知るかよ。どうせ落ち目の帝国の中でもろくに存在感を発揮出来ないような三流貴族だろ。自分の力だけじゃなくて、家柄しか取り柄のない」
「ぬぐっ。貴様、許さん……許さんぞ! この私に対してそのような無礼!」
周囲で午餐を楽しんでいた人々もまた、声の聞こえて来た方へと視線を向けている。
そこにいたのは、20代程の若い貴族に……アウル。
その2人がお互いに睨み合い、いつ殴り合いになってもおかしくない雰囲気だ。
貴族の方はいつでも腰の鞘から剣を抜けるように手を伸ばしており、アウルも相手が攻撃しようとした場合にはすぐさま反撃出来るように準備を整えている。
まさに一触即発。
「大体帝国を相手にして貴様等のような田舎者が我が物顔で振る舞うとは何事か!」
「はっ、よく言うぜ。文明的に時代遅れも甚だしい蛮族国家が。帝国だって? もしも俺がお前達なら、力の差も弁えずにそんな風に名乗るなんて事はまず出来ないけどな」
アウル……言いたい事は分かるが、幾ら何でも正直に言いすぎだ。
ついさっきまでやり取りをしていたレオンやキケロ、ピニャですらも唖然としているぞ。
傍で見ている俺達からしてそうだったのだから、当の本人でもある貴族が我慢出来る訳がなく……
「決闘だ!」
顔を真っ赤にしながら、アウルへと指先を突きつけて叫ぶ。
あー……やっぱり。貴族として育ってきて、帝国に対する忠誠心とかプライドとかがあるんだから、その帝国を公の場で蛮族国家とか罵られて、我慢出来る筈がないよな。
更にこの場は帝国が用意した場所であり、アウルに決闘を挑んだ貴族と同様のメンタリティの持ち主が殆どだ。
あるいは帝国の現状を正確に把握していたとしても、それを表に出せる程に素直な者もいない。
その代表格が、今回の主役でもあるキケロだろう。
「あの、馬鹿者めが」
苛立たしげに呟くキケロの声が聞こえてくる。
面目を潰されたも同然なんだから、分からないでもない。
だが……そうだな、ある意味これは丁度いいともいえる、か?
何しろ、ここにいるのは全てが貴族達だ。それもただの貴族ではなく、俺達の力を実感として知らない貴族。
つまり、こちらの力をその目で確認させ、どちらの立場が上なのかをはっきりとさせるという教育をする為の場としてだ。
そうすれば、レオンがこれから交渉をする上でも間違いなく役立つだろう。
そう思ってレオンの方へと視線を向けると、向こうにしても同意見だったのか無言で頷く。
よし、なら話は決まりだな。
「ピニャ、提案だがこのままだとそっちもこっちも収まらないだろう? なら、いっその事、あの2人で決闘でもさせてみてはどうだ?」
「なっ!? そ、そんな……」
言い淀むのは、俺が素手でどれ程の実力を持つのかを、イタリカでの戦いで知っているからこそだろう。つまり、俺と同じシャドウミラーのメンバーでもあるアウルの強さも自分の常識を超えたものである、と。
「安心しろ、アウルはシャドウミラーの実働班の中でも実力的にはかなり下の方だ」
「……それは……」
再び言い淀むピニャ。
嘘は言っていない。少なくても実働班でアウルより明確に生身での戦闘能力が低いと言える人物は誰もいない。スティングにしろ、アウルと同程度だしな。
ただし、他の……つまり、アウルより上の人物がどれだけの実力を持っているのかを口にはしていないだけだが。
「それとも、帝国の貴族というのは10代の子供相手に尻尾を巻いて逃げるのか?」
その言葉が決定的だった。
ピニャではなく……その周辺で俺の話を聞いていた他の貴族達がいきり立ち、キケロにしてもそこまで侮辱されては引く事も出来ず……結局中庭で貴族とアウルの決闘が行われる事になるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1167
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