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エターナルトラベラー

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第十五話 【NARUTO編】

 
前書き
今回からはNARUTO編になります。 

 


今、私、うちはチカゲは自分の子供に暗示をかけている。

この私を殺せと。



私には可愛い双子の子供がいる。

男の子が「アオ」で女の子が「ソラ」

父親は居ない。

死んでいるのではなくて所謂不倫。

不義の子供。

私が住んでいるこの木の葉隠れの里は所謂忍の里だ。

五大国中でも大きな火の国にありその影響力は大きな物だった。

しかし5年前に里を襲った九尾の狐によって里は壊滅的な被害を受けた。

その時の私はアオとソラを出産して間もない時だったが、木の葉の里の忍であり上忍であった私は九尾を迎え撃つ部隊に組み込まれ、何とか生き残る事は出来たものの、その時の怪我が深いもので、傷が治った後も様々な合併症を引き起こし既に体はボロボロ。

良く5年も生きられた物だ。

そんな私の子供であるアオとソラ。

この2人の忍としての才能は目を見張る物があった。

3歳の時にはうちは一族でも一部の家系にしか現れない写輪眼を開眼し、その目で私が戯れで使った忍術なんかを瞬時にコピーし真似をする。

末恐ろしい子達だ。

私はそれを見て、私が生きている内に出来るだけの事は教えようと思い、実践してきた。

それは幼い子供には酷なことかもしれなかったが、死に行く私が、子供がこの世界で生きていけるようにするために精一杯の愛情。

忍術を教え始めてから二年。

最早私の体は限界だった。

気力を振り絞り、子供達の忍術の指導をしているが、後二月も保たないだろう。

だから私は、私に出来る子供達への最後のプレゼントをあげる事にした。

万華鏡写輪眼。

写輪眼を開眼したものが自身の一番大事な人をその手で殺す事によって開眼すると言われる写輪眼を超えた瞳術。

写輪眼を開眼した私が血眼になって探し、ようやく探り当てた開眼方法。

私自身は試した事はない。

だって私は大事な物を作らないように生きてきたのだから。

何処か冷めていた私では、恐らくこの子達の父親を殺して居たとしても開眼はすまい。

だけど今は私はこの子達がいとおしい。

この子達が立派に成人した姿を見れないのが口惜しいほどに。

今の私達、忍術を教え始めてからの2年は山に篭り、他者との接触はほぼ皆無と言った生活を送っていた。

故に子供である彼らの一番大事は恐らく母である私を置いて他に無いだろう。

今のこの世の中は力のない者は生きづらい。

だから私はこの子達に絶対の力を残してあげるのだ。

生い先短い私の最後のプレゼント。

一応この子達の父親には手紙を出している。

恐らく私は死ぬだろうからこの子達をよろしくと。

うちはの家は頼れない。

この子達の異常性を見つければその力を一族のために利用しようと考えるだろう。

それに私はそんなうちはの家は好きではないのだ。

権力に執着し、里を牛耳ろうと考えてるような連中。

私の親もそんな人間の一人だった。

結局私も力を求め続ける愚か者だったわけだが。

忍として優秀だった私は、一族の者達にどれほど利用されてきたものだろうか。

それが嫌でうちはの名を捨て、九尾事件の混乱で身をくらまし今は神咲を名乗っているのだが。

この苗字が子供達を守ってくれると良い。

この苗字でうちはから遠ざかってくれる事を祈る。

さて、そろそろ現世との別れの時間だ。

私は自分の子供達を呼び出し、私を殺すように暗示をかける。

暗示に掛かった子供達は躊躇い無く私を殺すだろう。

子供達がそれぞれクナイをその手に持ち私の心臓目掛けて振り下ろす。

胸に強烈な痛みを感じる。

ああ、子供達よ強く生きておくれ。

そして愛しているよ。





いったいどういう状況なんだ?

俺は確かジンがどこかの遺跡から拾ってきた石を左手でつかんだ後いきなり全身が光り出して意識を失った。

しかし、気が付いてみると全く知らないところでしかも目の前には女性の死体。

「な!?え?どういう状況!?」
「何よ!これ!」

困惑する俺の隣りからも困惑の声が上がる。

「いや、いや!いやぁぁぁぁぁ!」

目の前の血まみれで倒れている女性を見て我を忘れる隣の女の子。

その目が大きく見開かれたと思ったらその両目に現れるんは三つ巴の模様。

それが収束し変化したと思ったら別の形に変わっていた。

万華鏡写輪眼。

「熱っ!」

それを見ていた俺の目も熱を帯び、体のオーラが目元に集まっていく。

「何だ!?」

開いた俺の双眸にも浮かび上がる万華鏡写輪眼。

「くっ!大量の情報が頭に流れ込んでくる!」

一瞬後、女の子の恐慌も収まる。

「はぁ、はぁ」
「う、っく」

深呼吸して呼吸を整えると、未だ発動状態の万華鏡写輪眼へのオーラの供給を絶ち、発動を止める。

隣りを見ると女の子も発動を解いたようだ。

俺は女の子に話しかける。

「ねえ、君はだれ?」

「え?」

困惑の女の子。

その体は5歳ほどだろうか。

かく言う俺も体が縮んでいるし髪の色も黒に変色していたり、解らない事だらけだ。

「えっと、私はソラフィア」

「え!?ソラなのか?」

「え!?」

「俺だ!アイオリアだ」

「え?でもその姿は!?」

「そんな事言ったらソラだって変わっているぞ」

「ええ!?」

2人して困惑する。

だってさっきまで俺達はジンと一緒にいた筈なんだ。

それが今、見知らぬ場所で全く別人といってもいい姿でここに居る。

『マスターですか?』

「え?」

突然何処からか掛けられた聞き覚えのある声。

「ソルか!?」

『ここです』

近くの棚のうえに二つの宝石が並べて置いてあった。

ソルとルナである。

俺とソラは彼女らに駆け寄ると問いかけた。

「ルナ!」

『マスター』

ルナもソラを見つけ声を上げた。

「ソル、これは一体どういうことか解るか?」

『良かった記憶が戻られたのですね』

そう言ってからソル達は今のこの状況を説明した。

彼女達は気が付いたら女性の胎盤で腹の中にいた俺達の手に握られていたらしい。

その後俺達はソル達をそれぞれ握り締めたまま出産。

母親であるうちはチカゲはそんな不思議な彼女らを守り石としてずっと捨てずに居てくれたようだ。

彼女の意識が俺達に向いてないうちに何度か俺達に話しかけてみたが自分たちを知っている様子は無く、愕然としたらしい。

それから俺達の安否は確認されずに心配していたが。今まで喋る事なく目の前の子供(俺達だが)を見守ってきてくれたそうだ。

ソル達の話では、此処は火の国、木の葉隠れの里の近くにある森の中にある家で、この世界には忍者と言われる者達がいるらしい。

母であるチカゲが5年ほど前に大怪我を負い、合併症を引き起こし、いつ死んでもおかしくない状況だった事。

最近では死期を悟って俺達に厳しく忍術修行を施していた事。

そして最後に俺達を操り、万華鏡写輪眼を開眼させる為に自身を殺させる計画を実行した事。

棚の上に置かれていたソル達は、彼女の独り言のような計画をその耳で聞いていたそうだ。

「つまり倒れている彼女が俺達の母親だという事か?」

『はい』

ソルの返事に俺達は女性に近づき手を取った。


「死んでる…」
「そんな!」

『彼女はその身を賭してマスター達に万華鏡写輪眼なるものの開眼を望みました』

「うん」

さっきのあれが万華鏡写輪眼だったのだろう。

もう一度使おうと思えば開眼できるだろう。

なんとなくだが体が覚えている。

我が身に起きている事を未だに総て理解しているわけでは無いが、とりあえず。

「埋めてあげようか」

「うん」

俺とソラは家の外を見渡し、見晴らしのいいところに家の中から見つけてきたシャベルで穴を掘り、母親の亡骸を埋めた。

子供の体では大変な作業だと思われたが、全身の精孔はすでに開かれており、オーラを使うことで比較的簡単に埋葬する事が出来た。

最後にソルから教えてもらった事だが、俺の名前は『神咲アオ』と言うらしい。

ソラフィアの名前は『神咲ソラ』

双子だそうだ。

しかしまさか此処で前世の名前を名づけられるとは…

その点についてはソラも驚いていた。

ソラフィアの前世の名前も『ソラ』だったのだから…

俺とソラは、今の日本人のような黒い髪、黒い瞳、黄色い肌で外国人風の名前では似合わない事、それから生んでくれた母への感謝を込めて『アオ』『ソラ』と言う名前を頂く事にした。

母の名前は神咲チカゲ、旧姓をうちはと言うらしい。

忍者、火の国、木の葉隠れの里、うちは、万華鏡写輪眼などのキーワードで俺は気づいた。

恐らくここはNARUTOの世界であろうと。

とりあえずソラにその事を伝える。

と言うか、この体はうちはですか。

今の時間系列が原作前なのか、原作のかなり後なのかはっきりしない今、今後の事を決めかねていた。

うちはの家系は原作開始以前にうちはイタチによる虐殺にあい、イタチの弟であるサスケとイタチを残して一族は全滅したはずだ。

それでなくても面倒なうちはの家系。

…なんでこんな死亡フラグが高そうな家系に転生するかな?

しかも万華鏡写輪眼の開眼。

やばいって!

絶対やばいって!

テンプレなのか?そうなのか!?

しかもこの身は5歳。

普通に働ける年ではなく、普通は親の庇護のもと成長する時期だ。

…どうしよう。

コネも知り合いもいない上に、年齢まで…

このままでは野垂れ死にするしかない。

そんな事を話し合っていると家の扉がノックされた。

ドンドンドン

「すまない、ここはチカゲさんの家で間違いないであろうか」

男の人の声だ。

チカゲはソルから聞いた母の名だ。

俺は扉に近づき扉を開けた。

ガラッ

「どちらさまでしょう」

俺は男に問いかける。

顔を見ればその眼球は真っ白だ。

人間か!?

なんて失礼な事を考えていたら男から声を掛けられた。

「私は日向ヒアシと申す。チカゲさんに用事があるのだが」

「母は死にました」

俺にとっては母と言えるかどうかもわからない。

母であった記憶が無いのだ。

どうやら生まれてからの5年の記憶を総て忘れてアイオリアであった頃の俺に上書きされた様だ。

「そ…そうか」

顔を伏せるヒアシさん。

しばらく黙祷をしていたヒアシさんが俺達に問いかけてきた。

「君達はチカゲさんの子供か?」

「はい」

「見たところ、君達以外の人の気配が無いが、誰か一緒に住んでいる人は?」

ん?何が言いたい?

「妹だけです」

これはソルにも確認した事だ。

ここには俺達と母親しか住んでいなかったと。

「ふむ、子供2人で生き抜く術はあるか?」

いやいやいや、普通無理でしょ?

「ありません」

俺は正直に答える。

「そうか。ならば家に来るがいい」

「は?」
「え?」

余りの衝撃に固まる俺とソラ。

「使用人見習いと言う事になるが、衣食住の提供は保障しよう。どうだ?」

そう問われ、俺とソラはしばらく話し合った後、

「ご迷惑でなければ」

と、その申し出を受け入れた。

ここに居ても生きていける保障が無い以上、使用人としてでも雇ってもらって、食べていかなければならない。

その後、ヒアシさんを先ほど埋葬した母の墓に案内して御参りをし、ソルとルナだけ持って、俺とソラはヒアシさんに連れられて山を降りた。

ヒアシさんに連れられてやって来た木の葉隠れの里。

その門のでかさにビックリし、さらに案内されたヒアシさんの家の大きさにビックリ。

ヒアシさんに連れられて家の中に入る。

ヒアシさんの家は所謂旧家でその敷地面積は物凄く広い。

屋敷の置くから黒髪のおかっぱの同じくらいの年の女の子がこちらに走ってきた。

「お父様、お帰りなさいませ」

「ヒナタか」

「あの」

父親の影からこちらを見る女の子、ヒナタと言うらしい。

この子も目が白いなぁ。

白い目、ヒナタ……ああっ!

日向ヒナタ!?

白眼の!?

ああ、本当に白眼って虹彩が白いんだ…じゃ無くて!

思いっきり原作キャラじゃん!

これはヤバイか?

「この子達は今日から家で面倒を見ることになった。仲良くするように」

「はい、お父様」

いや、俺達使用人見習いですよね?

俺達はその後使用人達に使用人見習いとして紹介され、日向本家に一室もらえる事になった。

これで一応生きていく基盤の確保は出来た。

後は仕事を覚えるだけだ。



まあ、子供の俺達にとって仕事といってもそんな大層な仕事が振られるわけも無い。

せいぜいがお膳の上げ下げとか屋敷の掃除とか位だ。

最初の頃は慣れるのに忙しかったが、一月もすれば流石に慣れる。

すると自由になる時間が多く取れるようになった。

俺とソラはその自由になった時間を現状の確認と念や魔法の修行、あるいは覚えこまされた忍術の確認に当てている。

この世界に生まれ落ちてからの能力的変化は実は余り無かった。

この体は一度分解され、母親の胎内で再構成されたものではなかろうか?

なぜそんな予想を立てたかというと、魔法が使えるのである。

それも資質は変わらず風のトライアングル。

ソルとの契約も切れてなかったしね。

後は念。

精孔が最初から開かれているので纏や練、絶、発といった四大行も普通に行えた。

念によるカートリッジの作成も。

変身能力もそのままで、猫やドラゴンに変身は今でも可能。

まあ、便利だから無くなってなくて良かったといったところか?

無くなったといえばガンダールヴ(偽)のルーンだ。

どうやら転生した時に死んだと認識されたのか、ルーンが綺麗さっぱりなくなっている。

試しにソルを握ってみたところ、全く反応は無かった。

身体強化と武器を操る能力が消えたことは良いことなのか悪い事なのか…

まあ、戦闘中にルーンにオーラを消費される事が無いから戦闘時間は伸びるだろうけれど、身体強化の恩恵が無いのが悔やまれる。

忍術。

どうやら俺達は母親から写輪眼を使用させての術の習得をさせられていたらしい。

記憶はなくなっても覚えているのである。

火遁豪火球の術をはじめ、火遁豪龍火の術に到るまでの火遁が中心だが、その中に禁術である影分身の術が刷り込まれていたのには驚きだ。

母親はどこでこの術を覚え、何を思って俺達に教えたのか。

まあ、この術の有用性は凄まじいと記憶にあるので嬉しい誤算なのだが。

だって、影分身の経験値が自分に還ってって卑怯だろう!

修行時間の短縮にも繋がる便利な術だ。

是非とも有効活用させてもらおう。

この世界の忍術で使うチャクラというエネルギー。

どうもこれはオーラと同質の物だというのが俺の見解だ。

細胞から集められたエネルギーを爆発させて、外側に放出するのが念。

内側に練りこみ、印を組み、意味を与えて行使するのが忍術。

念の発のように千差万別な力ではなく、先人達がその技術を後世につかえるように印によって画一的効果をもたらすのが忍術と言った所か。

例外は多々あるが。

念の修行でオーラを自在に操る修行をしていた俺達にはチャクラ(=オーラ)を練るのはそんなに難しい事ではないようだ。

ソル達が言うには記憶が無い状態でもチャクラを練る技術はずば抜けて高いと母親が言っていたと言った。

恐らく記憶が戻る前の俺達も、魂の何処かで覚えていたのだろう。

それが母親には類まれなる才能に映っただけだろう。

写輪眼にしてもそうだ。

写輪眼の行使も、転生前に移植された左目で発動の訓練をしたものだ。

その名残で幼くして開眼してしまったのだろう。

それが母親殺しに繋がるとは思いもよらない事だったが。

あらかたの確認を終え、最後は万華鏡写輪眼だ。

これには困ったデメリットがあることを生前の知識で覚えていたが、それでも能力の把握はした方がいいだろう。

おれはソラと共に屋敷を抜け出し、人気の無い森の中に移動する。

「それじゃソラ。今日は万華鏡写輪眼の能力把握をするから」

「万華鏡?」

「ああ、ソラは知らなかったか。写輪眼は知っているよね」

「そりゃね、開眼の訓練もしたし、使いこなす訓練もしたじゃない」

「そりゃ前世でね。だけど今回は本家本元、本物の写輪眼」

「うん?」

「写輪眼はこの世界のうちは一族が持っている瞳術だ」

「でも私達は神咲だよ?」

「だが母親の旧姓はうちは。つまり俺達の体は正真正銘のうちはの体だ」

「う、うん」

「そんなうちは一族の中でも写輪眼を開眼出来る者は少ない。だが写輪眼には更にその先がある」

「それが万華鏡写輪眼?」

「そうだ。その開眼方法は秘匿されている。どうやって母親が知ったのかは定かではないが…」

「どんな方法?」

その質問に俺は少し詰まってしまう。

「……一番親しい者の死」

「え?」

「母親は俺達に万華鏡写輪眼を開眼させるために俺達に自らを殺させたんだ」

「……そう」

複雑そうな表情で目を閉じるソラ。

そして開いた眼には万華鏡写輪眼が。

ソラの万華鏡写輪眼の能力はこうだ。

思兼(おもいかね)
その能力は目を合わせた者の思考を誘導する力。

八意(やごころ)
目を合わせた者の知識を盗み取る力。



そして俺の万華鏡写輪眼の能力。

志那都比古(シナツヒコ)
視界に映った空間の空気を支配する力。

建御雷(タケミカズチ)
視界に映った任意の空間にプラズマを発生させて敵を焼き尽くす。

あれ?

天照と月読は? 
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