小鳥のぬいぐるみ
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第三章
「それを作るわ」
「そうか、じゃあな」
「猫のぬいぐるみもなのね」
「やってみたらいいさ」
兄は妹に微笑んで言った。
「それならな」
「そうさせてもらうわね」
「まだ外は雪だしな」
それで容易に出られないのだ、学校は行き来しているがそれもかなり必死に外に出て登下校しているのだ。
「それだったらな」
「お家の中で遊ぶしかないから」
「まだ面白い本とかゲームは見付けてないだろ」
「ちょっとね」
「それならな」
勉強以外の時間は、というのだ。
「ぬいぐるみを作ってな」
「そうしてよね」
「時間を潰すしかないからな」
それで、というのだ。
「頑張れよ」
「そうするわね」
こうしてセーラは猫のぬいぐるみも作った、こちらは両親にも見せたが両親も彼女に対して笑顔で言った。
「ああ、セーラがか」
「ぬいぐるみ作ったのね」
「いいんじゃないか?」
「よく出来てるわ」
「面白いもの作ったな」
「可愛いじゃない」
そのぬいぐるみを褒めての言葉である。
「それじゃあな」
「他のものも作ってみたら?」
「冬だし外に出られないしな」
「丁渡いいじゃない」
こう言うのはヘルマンと同じだった、とにかくデンマークの冬は長く厳しい。それでセーラもぬいぐるみを作り続けた。
そうしているうちにだ、ぬいぐるみ作りが楽しくなってだ。セーラは読書やゲームよりもぬいぐるみを作る方に時間を割く様になり。
気付けば部屋の中はぬいぐるみだらけになっていた、それで部屋に掃除で入った母が彼女に驚いて言った。
「これはまたね」
「多過ぎるかしら」
「また随分作ったわね」
多いとは言わなかったがこう言うのだった。
「数えきれない位あるじゃない」
「何か作っていたら楽しくなって」
「それでなの」
「これだけになったのね」
母もそう言われて納得した。
「そうなのね」
「うん、いい時間潰しになるし」
セーラは微笑んで母に言った。
「それにこうして囲まれてると」
「気分がいいのね」
「可愛いから」
そのぬいぐるみ達がというのだ。
「それに自分が作った子供みたいなものだし」
「愛着も湧いているのね」
「だからこうしてね」
「お部屋に一杯置いてるのね」
「そうなの、ただね」
「ただ?」
「ちょっと作り過ぎたし。それにこれからもどんどん作るから」
それでだとだ、セーラは母に少し苦笑いになってこうも言った。
「近いうちにお部屋ぬいぐるみでもっと一杯になって」
「それでもっと増えて」
「もうお部屋に溢れるかも」
「そこまで作るのなら人にあげたら?」
母はそうしたことを言う娘にこう提案した。
「貴女さえよかったら」
「ううん、けれどね」
母のその提案を聞いてだ、セーラは難しい困った様な顔になった。そのうえで母にこうしたことを言った。
「どのぬいぐるみも大切に作ったから」
「さっき子供みたいって言ったわね」
「だからね」
「粗末に扱われたらなのね」
「嫌だから」
それで、というのだ。
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