| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

明日の日記

作者:PC眼鏡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

神(しん)生活スタート
  決まり手は『諸手突き』

 
前書き
前話を少し改変しました 

 
○月△日! みなさんおはよございます!

今日は清々しいまでに澄み渡ってますね~空が。
というわけで早速いってみましょう! 占い担当の林さ~ん!?

はいはーい! では、早速皆さんの今日の運勢を占っていきたいと思いま~す


( 順位発表中 )


・・・そして今日最も運勢が悪いのは~?

    ・・・ごめんなさ~い、うお座のあなた!
今日は何をやってもうまくいきません!うん!こんな日もあるYO!
でも大丈夫! そんなあなたの運気を回復させるラッキーアイテムは(ピッ)←チャンネル変えた


・・・今日の運勢はこちら! 1位はO型、そして最下位はA型という結果に(ピッ)


・・・1位は5月、最下位は2月生まれの(ピッ)



最悪だ。自分のステータスが憎らしい。
朝の占いなんて番組が変われば結果も変わるし、いつもは自分に都合のいい結果だけを見て出勤しているが  ・・・しかしだ。 今日は全敗である。0勝3敗。こんな結果では予選リーグさえ突破できない。目標はあくまで決勝トーナメントであり・・・いや、話を戻そう。

つまり今日は強烈に運気が低いらしい。いつもは視聴率という数字を奪い合っている民放三社の意見が一致したのである。それだけ間違いない確固とした事実なのだろう。うお座A型2月23日生まれの私に、何かしらの試練が待っているとでも言うのだろうか。うーむ。

あ、そういえばまだN○Kの占い見てないわ

闇に差し込んだ光明、地獄に垂らされた蜘蛛の糸にすがる思いで私はチャンネルを変えた  ・・・が、そこで気付く

「 N○Kって占いやってなくね? 」

絶望だ。この世は私から全ての希望を奪い去っていった(今日限定)

しかし、つけっぱなしだったN○Kの画面の中で禍々しい姿をした相撲解説者が発した一言が私を救う

『 いやー今のは運が良かったですね 』
『 あそこで諸手突きが出ますからね 』

・・・諸手突き? 運がいい?

絶望に打ちひしがれた私の耳に、その2つの言葉が吸い込まれてきた。まだ道は残されていたのだ。というか朝から相撲解説の番組なんて誰得だよ・・・という突っ込みは置いといて、今日の行動指針は決まった。

《 今日中に 誰かにやろう 諸手突き 》

うむ、完璧な一句だ。

スーツに着替えて鏡の前でフォームを入念にチェックしてから私は部屋を出た






-----10分後------


駅のホームでフォームの最終確認を行う。他人の視線なんて気にしません勝つまでは。そして両手を前に突き出すと、視界が歪んだ

目の前に居る男性を線路に突き落として、男性の姿が目の前から消えた

・・・と思ったら、いつの間にか自分の両手は突き落としたはずの男性に掴まれていた。・・・え?どういうこと?


「 人にするって事は、自分がされても文句言えないですよね? 」

「 ・・・・ッ!? 」


あれ?何でこの人生きてるの?そこまで電車来てて私が突き落としてその後きっと電車に轢かれたと思ったのになぜかまだホームに居て落ちたはずなのにここにいて両手を掴まれてて今から仕返しされようとしててそしたら私が死んじゃうかもしれなくて私まだ死にたくなくて・・・・

自分の思考が整理できない。

今の自分にあるのは死にたくないという本能のみ。

そして私は彼にしがみついた。思いっきり。


「 あの・・・ 」

「 ごめんなさい!ごめんなさい!・・・・ 」


彼は心底迷惑そうな顔をしているに違いない。こんな見ず知らずの女が抱きついた上に腹部に顔をうずめて泣いているのだ。いい迷惑だ。

周りからカメラのシャッター音が聞こえてくる。こんな醜態を画像に残されてはたまらないが、いかんせん自分の体は小刻みに震えており彼を掴んだ手も岩のように動かない。ああ、やだなぁ

「 そういうの迷惑なんでやめてもらえますか? 」

不意に聞こえた声に驚く。声の主はおそらく私が掴んでいる服を着ている男性だと思う。そして明らかに機嫌が悪い、きっと私のせいだろう。恥ずかしいのと男性から睨まれるのが怖くて顔を上げることが出来ない。

すると再び男性の声。しかし今度はさっきみたいな不機嫌な声ではなく、私の耳元で囁くように

「 この電車乗りますよね? 」

私は無言で頷く

彼と彼のスーツにしがみついたままの半べそかいた私は丁度到着した電車に乗ると、2人掛けの座席に2人で座った。なんだかもう訳が分からない。なんで初対面の男性と一緒の席に座って通勤しているんだろう。そして何故私は少し安心してしまっているのだろう。

そんな私の心の声を知る由も無い彼は、数分の沈黙の後にこう尋ねてきた

「 あなたは誰の使徒なんですか 」



・・・え?


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧