戦国異伝
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第二百五話 支城攻略その七
「あの者達ともな」
「七将と、ですな」
「そういえば一時期かなり虎之助殿達が」
「佐吉殿を嫌っておられました」
「決闘も噂されるまでの」
「何度も言うが佐吉は悪気はない」
全てよかれと思って動いているのだ、そして言っているのだ。
「全くな」
「しかし、ですか」
「あの御仁は口が過ぎて」
「厳しいことを普通に言う」
「そのことがですな」
「しかも時と場所を弁えぬからさらに悪い」
その石田の欠点の為にというのだ。
「短気な虎之助達が起こるのも道理じゃ」
「だからですな」
「一時かなり危うかったですな」
「叉左殿も間に入られ」
「藤吉郎殿も七将と佐吉殿双方に話され」
「やっと収まった、権六殿や五郎左殿も動かれた」
織田家の重臣達も動いてだ、双方の衝突は何とか収まったのだ。信長も最後は自分が出るつもりだった。
「わしも双方の話を聞いたが」
「十二郎殿もですか」
「そうされていましたか」
「茶を用意してな」
荒木の得意なそれをというのだ。
「それでな」
「何とか、ですな」
「ことを収められ」
「そして今は普通にですが」
「お互い付き合っていますが」
「全く以て佐吉は引くことを知らぬ」
荒木はここで難しい顔をして言った。
「正しいと思えばな」
「相手が誰でもずけずけと言う」
「そして時と場所を選ばない」
「世渡りが、ですな」
「下手な御仁ですな」
「あれだけ頭がよいのに世渡りの才はない」
それが石田だ、とにかくそうしたことは石田は全く気に留めないのだ。それで荒木も難しい顔で言うのである。
「困ったことにな」
「そしてこの度のですな」
「忍城でも」
「切腹するまで言い」
「そのうえで」
「うむ、攻めると言った」
そしてそうすることになったというのだ。
「さて、どうなるか」
「一体忍城には誰がおるのか」
高山はこのことが気になって仕方なかった。
「気になりますな」
「うむ、成田氏長か」
「あの御仁でしょうか」
「出来物とのことじゃからな」
「兵達も強いのですか」
「娘がおったが」
荒木はここで成田の子のことも言った。
「しかしな」
「娘では」
「戦えぬであろうしな」
「左様でありますな」
「それで誰なのじゃ」
そこがわからないといった顔だった、荒木も。
「あの城におるのは」
「さて」
「まあとにかくじゃ」
荒木は忍城のことがどうしてもわからずそれでだった、考えを変えてそのうえで高山と小西に対して言った。
「城は攻め落とした」
「それで、ですな」
「次は」
「うむ、他の城も攻めるか」
こう言うのだった。
「囲んでな」
「ですな、それでは」
「これからも」
「城を次から次に攻め落としていけば」
そうしていけばどうなるか、荒木はよくわかっていた。それで高山と小西にも言うのだ。
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