ハイスクールD×D 新訳 更新停止
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第4章
停止教室のヴァンパイア
第86話 白と対面です!
前書き
ついにヴァーリとの対面です。
夕暮れ頃、プールを満喫した(途中からはイッセーが原因で起こった騒動尽くしだったが)俺達は現在、オカ研の部室にいた。
んで、イッセーは床に正座をさせられていた。
「まったく、どうしてイッセーはそんなにエッチなのかしら」
「いや、違うんだ。イッセーはただ、私と子作りをしようと…」
「いいから、黙っとれ!」
姉貴が言うには、どうやら、ゼノヴィアがイッセーに子作りを迫り、スケベ過ぎるイッセーはゼノヴィアの勢いと色気と状況に乗せられそうになり、寸前で部長達が止めに入ったと言った感じらしい。
まあ、こいつのスケベ過ぎる所を指摘するなんて今さら過ぎるし、どうこうするのも、もう、手遅れだろうがな。
「ずいぶんと賑やかだね。何かのイベントかい?」
背後から気さくに話し掛けられ、俺達は後ろを振り替えると、紅髪の男性と銀髪のメイドが魔方陣で転移してきていた。
「お、お兄様!?」
現れた男性は部長の兄であり、現魔王の一人のサーゼクス・ルシファーとグレモリー家のメイドのグレイフィア・ルキフグスだった。
即座に礼を取るグレモリー眷属。
取っていないのは、初めて会うアーシアとゼノヴィア、兄兼魔王の登場に困惑している部長だ。
「また会ったね、士騎明日夏君」
「パーティー乱入の件ではどうも」
「なに、私も存分に楽しませてもらったからね」
部長の婚約パーティーの際、この人にパーティーを盛り上げてほしいと言う名目で乱入の手助けをしてもらったのだ。
魔王が今度はアーシアの方に向く。
「アーシア・アルジェントだね?」
「は、はい」
「リアスが世話になっている。優秀な僧侶(ビショップ)だと聞いているよ」
「そ、そんな!」
「寛いでくれたまえ。今日はプライベートで来ているのだから」
「はいぃ…」
アーシアはすっかり、畏まってしまっていた。
「プライベート?」
部長が疑問の声を出す中、ゼノヴィアが一歩前へ出る。
「貴方が魔王か。初めまして、ゼノヴィアと言う者だ」
「ごきげんよう、ゼノヴィア。デュランダルの使い手が我が妹の眷属になるとは、最初に聞いた時、耳を疑ったよ」
「私も悪魔になるとは、我ながら大胆な事をしたと、今でもたまに後悔している。……うん、そうだ、どうして悪魔になったんだろう?ヤケクソ?いや、だが、あの時は……あれ?ええと…」
「はっはは、妹の眷属は楽しい者が多くて良い。ゼノヴィア、どうか、リアスの眷属として、グレモリーを支えてほしい」
「伝説の魔王ルシファーにそこまで言われては、私も後には引けないな。やれる所までやらせてもらう」
「ありがとう」
ゼノヴィアと魔王の会話が終わる頃合いを見計らって、部長が魔王に問い掛ける。
「それより、お兄様、どうしてここへ?」
「何を言ってるんだ。公開授業が近いのだろう?」
「なっ!?まさか!?」
「是非とも、妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」
「グ、グレイフィアね!?お兄様に伝えたのは!!」
どうやら、部長は兄に公開授業の事を黙っていようとしていたみたいだ。
まあ、結局、メイドであるグレイフィアさんから伝わってしまったようだ。
「安心しなさい。父上もちゃんと来る」
たぶん、そう言う問題じゃないんだと思う。
「お兄様は魔王なのですよ!……仕事を放り出してくるなんて…」
「いやいや、これは仕事でもあるんだよ」
「え!?」
「三大勢力のトップ会談をこの学園で執り行おうと思っていてね」
「こ、この駒王学園で!?」
その事に、付き人のグレイフィアさん、事をよく分かっていない鶇、呑気そうにしている兄貴と姉貴を除いてこの場にいる全員が驚いた。
「妹がご迷惑をお掛けしていなくて安心しました」
「そんな、お兄さん!リアスさんはとっても良い娘ですわよ!」
「ええ!イッセーにはもったいないくらい、素敵なお嬢さんです!」
現在、我が兵藤家でうちの両親と魔王様が楽しく談笑していた。
「さっ、もう一杯」
「ふふ、これはこれは」
「はっはっは、お兄さん、なかなかいける口ですね♪」
……父さん、魔王相手に…。
「な、何もご存知無いんですし」
アーシアが苦笑いで言う。
……っと言うか、魔王様も魔王様でかなりフレンドリーだなぁ…。
「……イッセー、どうして自分の家に泊まってなんて言うのよ…」
「良いじゃないですか。明日、ちゃんとしたホテルを探すそうですし」
「……もう、決まり悪いったらないわ…」
(へえ、部長もこんな顔するんだ)
珍しい部長の表情を見て、かわいいと思ってしまった。
「……あの、すみません」
「何がだい?」
「魔王様をこんな所で」
魔王様は俺の部屋に布団を敷いて、それに寝ていた。
「ふふ、むしろ、お礼が言いたいくらいさ」
「え?」
「こうして、ごく普通に客扱いしてくれるなんて、向こうでは有り得ないし、あってはならないからね。どんな高級なもてなしより、気持ちが安らぐ」
そう言うもんなのかな?
「あんな、楽しそうなリアスは冥界でもそうは見られなかったしね。君のお陰だよ」
「あ、い、いえ!?俺なんて別に!?」
「兵藤一誠君」
「は、はい!」
「リアスをこれからも頼むよ」
「もちろんです!俺…いえ、自分は部長の…リアス・グレモリーの兵士(ポーン)ですから!」
「ありがとう。そうだ、私もイッセー君と呼んで良いかな?」
「も、もちろんです!光栄です!」
「では、イッセー君、私の事も名前で呼んでくれないかな?」
「ええ!?」
「お義兄さんでも良いんだが♪」
「さ、さすがに…そ、それは…で、では、サーゼクス様とお呼びしてよいですか!?」
「では、そう言う事にしよう♪」
……さすがにそれは恐れ多いですよ…。
「そう言えば、イッセー君はアザゼルに会ったそうだね?」
「はい。俺の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を狙ってたんじゃないかって…」
「確かに、アザゼルは神器(セイクリッド・ギア)に強い興味を持っているが、コカビエルの様な戦好きではない。過去の大戦で、最初に手を引いたのは堕天使だったしね。コカビエルはアザゼルの手で永久冷凍の刑に処された様だ」
って事は、コカビエルはもう、出て来れないって訳か!
「……じゃあ、何で……まさか!?俺を下僕にしたいとか!?」
強引に洗脳とかされたら、俺どうすりゃあ!?
「安心なさい。私が君の身を保証するよ」
「ッ!ありがとうございます!」
魔王様が保証してくれるのなら安心だぁ!
「せっかく、伝説のドラゴンが悪魔側に来てくれたんだからね。ところで、話が変わるが」
「え?」
「君は女性の大きな乳がお好みの様だね?」
「え?は、はい!大好きであります!」
「リアスの胸は兄の私から見ても豊かな物だと思う」
「ええ!部長の…主様のお乳様は最高の物だと思います!」
「これは可能性の話なんだが…」
「はい!」
「君の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で高めた力をリアスの胸に譲渡したら、どうなるのだろうねぇ?」
「ッ!?」
「いや、ただの戯れ言だ。気にしないでくれたまえ。それでは、お休み」
そう言って、サーゼクス様は床に就いてしまう!?
部長のおっぱいに赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を使う!?そんな発想は無かった!一体、どんな事が起きると言うんだ!?大きさが増すのか?まさか、あの美しい胸がさらに丸みを帯びて…いやいや、張りや照りが輝くとか!ダメだ!?分からない!?
バカな!?欲望の権化、性欲の塊とまで言われたこの俺が!?……妄想…できないなんて…!?
結局、気になり過ぎて、ほとんど寝る事ができなかった。
「ふわぁ~…」
「イッセー君、眠いの?」
欠伸しながら通学路を歩いていると、鶇さんが問い掛けてきた。
「昨日の夜、サーゼクス様とちょっと話し込んじゃってね…」
もっとも、話したのは本当にちょっとで、実際はサーゼクス様の部長のおっぱいに譲渡すると言う問いの答えを考え込んでいた。
考え抜いた末、結局、答えを出せず、ほとんど寝る事ができなかった。
ちなみに何時もと違い、登校メンバーに部長とアーシアがいない。
部長はサーゼクス様の案内の為に遅刻するそうだ。
アーシアはゼノヴィアの迎えに途中で別れた。
それにしても、アーシアとゼノヴィアが仲良くなって、ホントによかったな。
そんな事を考えながら、千秋達と談笑している内に、校門の近くまでに着いていた。
「あれ、明日夏?」
先に行っているはずの明日夏が校門の近くで誰かと話していた。
銀髪で、俺らと同い年ぐらいの青年だった。
「あだっ!?」
な、なんだ、急に腕が!?
明日夏と話している青年を見た瞬間に腕が焼けるようにうずきだした!?
「ふぅ」
校門の近くまで来た所で、日課の走り込みをやめ、スポーツドリンクを呷りながら校門に向けて歩き出す。
「ん?」
校門の近くに見馴れない銀髪の青年がいた。
(新しい留学生か?)
青年がこちらに気付き、歩み寄ってくる。
その歩みを見て、俺は警戒する。
一見、普通に歩いているが、そこから、強者故の身のこなしと隙の無さが見て取れたからだ。
つまり、こいつは普通の一般人ではなく、異能の存在を知る者、さらに、かなりの手練れだ。
それに、こいつとは一度会っている気がする。
「良い学校だな」
「ッ!……それはどうも…」
会ってる!俺はこいつとどこかで会っている!
こいつの声と口調に覚えがあったからだ。
『イッセー(兄)(君)(さん)!?』
「ッ!」
背後から突然聞こえてきた叫び声に慌てて振り向くと、左腕を握りながら顔を歪ませているイッセーとそんなイッセーに心配そうににじり寄っている千秋達がいた。
「どうした、イッセー!?」
「分かんねえよ!そいつを見た瞬間、急に腕が……!?」
青年の方に向き直ると、青年がイッセーに向き直り、イッセーに話し掛けていた。
「ここで会うのは二度目だな」
「……何?」
「赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)、赤龍帝、兵藤一誠」
『ッ!』
「俺はヴァーリ。白龍皇、白い龍(バニシング・ドラゴン)だ」
「お前が……!」
白い龍(バニシング・ドラゴン)!?
そうだ、この男の声と口調、あの鎧の男と同じだ!
あの鎧と白龍皇と言う事が衝撃的過ぎだったせいで、すぐに気付けなかった。
「無防備だな」
『っ!?』
白龍皇、ヴァーリと名乗った男が視界から消えたと思った瞬間、背後から声が聞こえ、振り替えると、イッセーの額に人指し指を突きつけているヴァーリがいた!?
「例えば、俺がここで、君に魔術的な物を掛けたり…」
「チッ!」
『ッ!』
「ブーステッド…」
ガチャ!
「……冗談が過ぎるんじゃないか?」
「……ここで赤龍帝との対決を始めさせる訳にはいかないんだ、白龍皇!」
俺達が行動を起こそうとした瞬間、木場とゼノヴィアが現れ、ヴァーリの首筋にそれぞれの剣を突きつけていた。
「フッ、やめておいた方が良い。コカビエルごときに勝てなかった君達では、俺に勝てないよ」
チッ、悔しいが正論だな。
コカビエルをごときで済ませてしまう程の実力がこいつにはあり、集団で攻めたにも関わらず、これと言ったダメージを与えられなかった俺達では、こいつに敵う道理が無かった。
「人目を気にしないなら、そうしていてもらっても構わないよ」
『………』
そう言われ、木場とゼノヴィアは自身の剣をしまう。
俺も懐のナイフを握っていた手を放し、木場とゼノヴィアと一緒にイッセーの傍まで移動する。
イッセーの後ろには、ゼノヴィアと一緒に来たであろう、アーシアがいた。
「兵藤一誠、君はこの世界で何番目に強いと思う?」
「……何?」
「君の禁手(バランス・ブレイカー)…まあ、未完成な状態だが、上から数えると四桁、千から千五百の間くらいだ。いや、宿主のスペック的にはもっと下だ」
「何が言いたいッ!」
「兵藤一誠は貴重な存在だ。十分に育てた方が良い、リアス・グレモリー」
いつの間にか、部長を筆頭に残りのオカ研メンバーが来ていた。
「白龍皇、何のつもりかしら?貴方は堕天使と繋がりを持っている者、必要以上の接触は…」
「フッ」
ヴァーリは部長の言葉を鼻笑いで遮る。
「二天龍と称された赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)と白い龍(バニシング・ドラゴン)と関わった者は過去、ろくな生き方をしていない。貴女はどうなるのだろうな?」
そう言いうと、ヴァーリは歩き出す。
「今日は戦いに来た訳じゃない。俺もやる事の多い身の上でね」
そう言いながら、俺達の横を通り過ぎる。
「そう言えば」
突然立ち止まり、俺の方に向き直る。
「君と君の兄弟は親を事故で亡くしたそうだね?」
「……だったら、なんだよ?」
俺と千秋は視線を鋭くする。
「そして、兵藤一誠とは幼少の頃からの付き合い」
「……それが、どうした?」
「過去の赤龍帝の周りでは不幸になった者が多く存在した。案外、君達の両親の事故も…」
「オイ…!」
奴のふざけた言動を俺は殺気を飛ばして黙らせる!
「それ以上、ふざけた戯れ言をぬかしてみろ?殺すぞ?」
千秋も周りが震え上がる程の濃密な殺気を放っていた。
俺達の殺気を受けても、奴は不敵な態度を崩さず、飄々としていた。
「フッ、悪いね、ただの戯れ言さ。謝るよ」
謝意が全く感じない詫びを言い、奴は今度こそ、この場から立ち去った。
後書き
最後、ちょっと殺伐とした感じで終わらせてしまいました。
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