オズのベッツイ
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第三幕その十
「そんなことはね」
「そうよね、けれどね」
「お空の旅もね」
「楽しかったわ」
「少しの間だったけれど」
山脈を越えるまでのです。
「それだけのものだったけれど」
「それでもね」
「楽しかったわ」
空の旅は少しだけだったにしても、というのです。
「とてもね」
「ええ、そうよね」
「だからね」
ナターシャは恵里香にこうも言いました。
「また機会があれば」
「楽しみたいわね」
「じゃあオークに乗る?」
ハンクがこう二人に言いました。
「それなら」
「ああ、あの鳥ね」
「物凄い速さでお空を飛ぶ」
「そう、あの鳥に乗ってみる?」
笑って二人に言うのでした。
「だったら」
「あの鳥は」
ナターシャは少し苦笑いになってハンクに答えました。
「少し」
「乗りにくい?」
「まだ見ていないし」
「乗ってもいないからなんだ」
「ええ、乗るとなるとね」
それはというのです。
「苦労しそうだから」
「それでなんだ」
「うん、あまりね」
乗りたくないというのです。
「トロットさん達のお話を聞いてても大変だったみたいだし」
「じゃあオークでお空は飛びたくないかな」
「そうした時が来るかも知れないけれど」
「今はね」
どうかというのです、そしてでした。
ベッツイがです、皆に言いました。
「さて、今からね」
「はい、今度はですね」
「薊の国と巨人の国でしたね」
「その二国でしたね」
「その二国に行くことになるけれど」
それで、とです。ベッツイは五人に尋ねるのでした。
「いいわね」
「はい、私達だけでしたら不安ですけれど」
ナターシャがベッツイのその問いに答えます。
「はじめて行く場所ですから」
「メリーゴーランド山脈もそうだったけれどはじめての場所はね」
「それだけで、ですからね」
「はい、心配になりますから」
「知っていることは大きいわよ」
その場所、その人がどういったものかということをです。
「それだけで全く違うわ」
「だからベッツイさん達がいてくれたら」
「有り難いって言ってくれるのね」
「それだけで安心出来ます、それじゃあ」
「行きましょう」
その巨人の国、そして薊の国にというのです。
「是非ね」
「はい、それじゃあ」
こうお話してでした、メリーゴーランド山脈を越えた一行はさらに先に進むのでした。一行の旅はまだこれからでした。
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