橙色に輝く女

今まで愛しいほど好きだったあの人は。

ちょっとしたことで私の元を離れていった。

泣くことも喚くこともできず。

その場で立ち尽くすしかなかった。 

「もう、無理だ。俺たちが続くとは思えない。」
そう、言い放つ彼はどこか儚げな顔をしていた。新しく好きな人でもできたんだろう。彼はそういう人だ。儚げな顔の先には早く別れてあの子の元へ行きたいという欲望が滲み出ている。

私が大人じゃないということだけで。いろんなことを制限された。
それに彼はうんざりしたんだろう。
私のことを愛というフィルタで見ずに。心の埋め合わせというフィルタで見たんだ。

心の埋め合わせ程度の女が制限された不良品だったらもういらないだろう。
生きてきたこの18年間で1番愛したとも断言できるあの人を手放すのだ。

そう簡単に忘れることはできない。
でも、彼がそう望むなら私は潔く別れる。愛しいからこそ彼の願いに背くことはできない。
男に熱中しすぎて学業を疎かにし、反省という名目で元々厳しかった家から追い出された身だ。

帰るところも迎えてくれる家族もいない。全て失くしたんだ。
自立しなきゃいけないんだ。彼にも家族にも頼らず。

賑やかなこの街は私にはうるさい。
どこか、遠い遠い場所へ。誰もいない場所へ。もはや彼の存在を眼中にも入れずそそくさと江戸を後にしたー。


歩き迷いまた歩きまた迷い。そう困難を乗り越えてついたのが丸1日後。人身買収や子供の売り飛ばしで黒い噂が絶えない吉原町
にだ。
正直、気が進まなかったが人身買収の噂がある町に好んで近づく人なんてそうそういないだろう。
私には無くすものがないから。どこかに売り飛ばされようが殺されようが。

何の未練もない。ただ、自分で生きてみたいんだ。
ただただ風が吹き荒れるだけで人なんていない。建物はところどころ崩壊して街として成り立っているのが不思議なこの街で。 

駄文ですね。読み通して思いました。
とりあえず、主人公が自分の命を捨てたも同然に思っているように見えたら幸いです。
私がこの話で1番強調し、伝えたかったことなので。

ここまでよんでいただきありがとうございます。