ドリトル先生と二本尻尾の猫
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三幕その四
「生徒を物凄い勢いで叩く人もいます」
「それはまた酷いですね」
「日本は学校の先生については」
「その質はですか」
「お恥ずかしい限りですが」
教授さんはお口を苦いものにさせて日本の恥ずかしいところをお話しました、お話せざるを得ないと言った方がいいでしょうか。
「そうなのです」
「そういえば奈良県には」
「先生もご存知でしたか」
「あそこは相当に酷い先生が多いそうですね」
「はい、あそこもかなり酷いです」
教授さんはその真実を否定しませんでした。
「もうとんでもない先生が何の処罰もされず勤務しています」
「生徒の子達が可哀想ですね」
「何しろ生徒を床で背負い投げをする先生がいますから」
「それは下手をすれば怪我では済みませんよ」
先生もそのお話にはびっくりです。
「それこそ」
「しかしです」
「それでもですか」
「そうした先生が普通にいるのです」
「奈良県は」
「関西は奈良県だけではないですがね」
「こちらもですね」
先生は今ご自身がおられる兵庫県のこともだと察しました。
「そうですね」
「そうです、そして」
「生徒の子達が迷惑をしているのですね」
「日本では暴力団と学校の先生は暴力を振るっても許されます」
つまりこの二つの職業は同じレベルである場合があるというのです。
「そうしたことをすれば普通の企業では」
「いられなくなりますね」
「背負投げは柔道の技です」
このことからお話する教授さんでした、そのお顔を先程までとは全く変えて顰めさせてのお言葉になっています。
「柔道は」
「はい、畳の上でするものですね」
「先生もそのことはご存知ですか」
「スポーツ、武道もそうですがしませんが」
それでもというのです。
「ある程度の知識はあるつもりです」
「それも文化ですからね」
スポーツ、武道もまた文化なのです。
「だからですね」
「そうです、それで」
「柔道のこともご存知ですね」
「柔道の投げ技は投げられた相手にかなりのダメージを与えます」
「そのダメージを軽減する為に畳を敷いてしますね」
「さもないと危険で仕方ありません」
だからこそ柔道に畳は必要なのです。
「床で柔道の技なぞ。ましてやまだ中学生やそうした子供にしては」
「危険極まりますね」
「これはもう普通の行動ではありませんね」
「はい、心からそう思います」
先生も嘆かわしいというお顔で答えました。
「とても」
「そうですね、ですが」
「日本ではですね」
「そうしたことがあるのです」
「そうしたことをする先生が普通にいるのですね」
「ましてその生徒は別に煙草を吸った訳でも無免許運転をしたとかではないです」
こうしたことはというので。
「そこまではしていない、ただ部活にあまり来なくなった」
「些細なことで」
「そうしたことをされました」
「無茶苦茶ですね」
「そうですね、ましてその生徒は柔道を知らなかったのですから」
「つまりそれは」
「受け身も知らなかったのです」
柔道の基本中の基本です、誰もが最初はこれを教えます。まずは投げられた時のことを考えてそうするのです。
ページ上へ戻る