極短編集
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短編10「冷たいんだよ」
トゥルルル……
「もしもし?」
受話器の向こうに、久しぶりの声。
「どうしたの、お婆ちゃん?」
「いやね、爺さんが冷たくなってんだけど、どうすればいいかと思って?」
「なに?ケンカ?ほっとけば良くなるって!!」
「婆ちゃんもそう思っていたんだけどね。でもそのあとね。爺さんが冷たいんだよ」
「わかったわかった!仲直りの手伝いにいけばいいんだね。次の休みは……」
「いやだから、そうじゃなくてね。爺さんが冷たいんだよ!どうしたらいい?」
「わかった!今度の日曜日に行くよ」
「いやだから、そうじゃなくてね。爺さんを花瓶で叩いたら、動かなくなって……
冷たくなっちゃったんだよ」
おしまい
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