連邦の朝
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第40話再構成
ブリティッシュ商会の攻勢は、ガリア北部の七割を制圧していたが南部貴族の集まり南部貴族連合は、強固だった。
温暖な気候とワイン等の特産物、鉱山や林業などを持ち強力な地盤であり、ブリティッシュ商会は苦戦を強いられていた。
しかも、地球の相当地にするとガリアの首都のリュティスはカオールにあり、距離やその間の貴族領の関税により、鉄壁と言われるほどだった。
が、人口がハルケギニア1のガリアにおいて、トリステインの急成長により、石炭や木材等の資材需要が高まると皆鉱山や山に出稼ぎに出かけて、貴族も領土内の林業や鉱山を推奨して農業や漁業従事者が減っていた。
その結果元々、人口に対しての食料生産量がギリギリだったので、ソバや栗などの救済作物が売られるほどになり、食料品の値段が上がりつつあった。
そこに塩の密売にあわせてトリステインの穀物が密売されるようになると値段は安定していった。
安定する前の一時に、穀物の買い占めと農家への買い叩きで儲けた貴族が多数おり、ガリア北部宮廷勢力の争いは、水面下で熱を帯び始めていたのだ。
他国からの流民が、トリステインの社会問題になり始めると表の議会も裏の議会も議題にした。
国土開発計画にはトリステインの民衆よりも安く済む労働者の流民たちを必要としていた為に貧救法が可決された。
流民の税の未納が増えて、他国の奴隷が基本的には解放されるトリステインでは、税金を払えなくても奴隷に落とされる訳でも逆に言えば非課税の奴隷に自ら身を落とせないので、人頭税を払えない時には徴兵を受けるか公共事業に動員されると言う。
税制に改正後に国税局を設置し徴税官を設置従来の競りで権利を買った人間が取り立てるのではなく完全なる国家公務員の徴税官にした。
流民や農家の三男以下などが都市に出てきて出来たスラムが増えて、治安が悪化しつつあった。
それに伴い都市部武器持ち歩き禁止令を発令し、更にそれに合わせて警備兵などを動員した。
更に政策や様々な研究や開発計画が山積みになっていた。
予算や人材をこの問題に付ける余裕は無かったが、犯罪率の増加と大都市にばかり若者が集まり、急激な発展は農村の空洞化等を招いていた。
ワイアットはこの問題を重く見た。
国民生活扶助法をこの時代に合うように改変し議会に通すのと貧救院の待遇改善と農村への流民を割り振りと国家運営の集合住宅の建設をしたのだった。
金がなければ、食べるものが無くては生きていけないと農奴、市民、奴隷になる筈だった子供達、浮浪児や孤児がトリステインで夢を勝ち取る為に……最悪でも貧救院に駆け込む為に警備が薄い危険な海岸線、山林を通ったり、トリステインへの密入国業者が横行していた。
国境部では、治安が悪化して貧救院に雪崩れ込んだガリア民やゲルマニア民が、独自に相互扶助組織を作った。
主な目的は、自警と相互援助だが後にトリステインと周辺国の闇社会を二つに分けるマクシミリアン連合とルドルフ同盟が誕生した。
一方で、茶と紙の生産が軌道に乗るとワイアットはロバ・アル・カリイエとの交易から薔薇園を作りあげていた。
薔薇から科学的に香水を作ると魔法よりも低コストの為に飛ぶように売れると踏み、産業研究機関に渡した。
ワイアットは香水市場の下地を作る為に、自分達夫婦が二人から香水を使い、暇な貴族や巨大な商会の商人達を集めて次々に香水を広めていった。
トリステインでは、商人や金持ちになった者から薔薇の香水を着けていた。
そして、門閥や派閥と商会ごとに香りを少しずつ変えて所属を分かりやすくしていった。
香水愛用者は、すぐに金持ちと分かるために貧困層に強盗されるようになり、それによりトリステインでは魔法が使えない階級の金持ち等や用心棒は、ステッキによる棒術と仕込み杖が、瞬く間に広がっていった。
元々、戦争や警備などに駆り出されたり、村ごとに自衛の為に訓練を受けた村人や徴兵制を受けた兵士などで棒術や投石術はお手の物だった。
町や村の駐屯所等で自警の為により、訓練していた者も多く彼らが集い自警団が各地に結成され、地域が安定したのと同時に地盤が安定した。
不正蓄財をしていた役人や担当官、関係者の中で摘発しても波風が立たないものを不正蓄財の罪でチェルノボーグ行きが決定され、ギルド解体の折に権益を握ったままだった者の何人かが逃げた。
それにより、一旦流通が混乱と落ち込んだ後に、需要と供給の関係により馬や鉄、木材などの流通が活発化したのとトリステイン政府に大蔵省と運輸省、教育省が創設されたが、予算不足のため主要計画以外の開発計画と技術開発を一時凍結させた。
直轄地が大きくなったので国内の領地を区画整理し、新たに地方、州、市、町、村に区画を分けて市以上の規模の行政区画にはワイアット派貴族を置き、補佐官にワイアット反対派とリッシュモンの部下を入れた。
沿岸部では、海の怪物と戦いつつ開墾や開発で出た土を馬車で沿岸部に運び、昔ながらな風車を使い干拓をしていた。
貴族はと言うとあいも変わらず次男三男は王立騎士団に入り、何だかんだで貴族は元領地の運営を任され名目上の直轄領運営をしたり、議会で可決された貸し土地法により市民に法定で示された貸し土地代を回収したり、都市部になった貴族は国立の集合住宅を真似たものを作ったり、特産品を開発してみたりと資本家として動いていたのだった。
後書き
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