ソードアート・オンライン ~Hero of the sorrow~
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アシムレイトロイド編 愛、覚えていますか 番外
手痛い一撃
前書き
いろいろ出ます。
過去編やりたかったので、Aceさんからサラとライクの二人をお借りしました。
扱いは本編の方で改善いたします。村雲さんも合わせてお二人に謝罪を。
申し訳ありませぇん!!
「あぁー、疲れた。ライク、ご飯食べに行きましょうか」
「う、ん」
ここは、未だどの世界とも繋がりのない世界。つまり、他に物語と交わったことのない世界である。
ここにいるのは二人組。
一人は全10種類の神器と呼ばれる武装になる、カーディナルに作られたプレイヤーサポートAIの一つ『モーニングスター』。通称ライク。
もう一人はその使用者であるジェイド、否、ライクが初めて会った時にその胸のまない……うん、なんか視線を感じたのでフツーに紹介するが、初めて会った時にサラと呼ばれたためにサラと名乗っている。
受注したクエストをクリアして上記の通りにご飯を食べようと思い、ライクにサラは聞いたのだが……
「どうしたの、顔真っ青よ?」
「ごめん、なんて、言ったらいいかわかんない……気持ち悪い……」
AIであるはずのライクが気持ち悪がっている。
そんなことがあり得るのだろうか?サラは思っていないが、ライクは作られた存在である。だから、気持ち悪いなどの感覚があるのはあり得ないのだ。
「とりあえず、主住区に戻りましょう」
ぐったりとしているライクをサラが背負った瞬間だった。
景色が暗転し、周囲が文字通り漆黒に包まれる。
「なにっ!?」
「あう、あああああああああああああああああああ!?!?!」
ライクから上がった悲鳴は、普段の眠たげな声からは想像のできぬものだった。
「サラ……早く私を持って……」
「でも、その体でやったら」
「いいから、早く!!」
あまりに切羽詰まったその叫びに、武器形態に変化させてその手に握ると。
暗闇からソレは現れた。
「また別世界からか」
「で、今回は誰だい?見た所初めて見る顔のようだが」
穏やかな声で話すソレは、こちらに向かって歩んでくる。
「あなた……誰かしら?」
「私か?私は器だよ。まぁ、そろそろ私の意識は消えるんだが……」
仮面を着けた器の容姿は置いといて、サラは聞いた。
「ここはなんなの?」
それは常人だったら絶対に聞くことであった。
「ほう、直線的……そういう子は嫌いではないよ。いいだろう、教えよう。ここは君たちがいる世界とは別の世界だ。哀しみ同士が互いを殺しあう世界さ」
哀しみ同士、という単語に引っかかったがサラはそのまま話を続けた。
「パラレルワールドのようなものかしら?」
「半分正解、半分不正解といったところかな。確かにこの世界の土台はSAOというものがある世界だ。しかしここには、戦士がいる。仮面ライダーという戦士が」
仮面ライダー。子どもの頃、確実に聞いたことがあるであろう日曜朝8時の戦士である。
「それがこの世界に存在すると……?ありえないわ」
「ならば聞くが存在しないと誰が決めた?そもそも、その世界に番組がある時点で彼らは存在しているだろう?」
「後ここには人が出る」
「へ?」
サラは背後からの気配にようやく気付いた。それは人の形をしているが、全身真っ黒で人と言えるかわからなかった。
「これが人ですって……」
「そう、人だ。憎悪の塊だよ」
「それが本当に人と言えると思って!?」
器は初めて仮面を外した。その瞳は青く、吸い込まれそうな瞳だった。
「ああ、思うが?なぜならここは人の負の感情全てが集まる場所だからだ。それは形を作ってこうなっている。感情もあれば、肉体もある。しかし……」
「ここにいる者たちは皆、死にかけの体だ。肉体もほとんど、心も死んでいるのさ。それらが形作ってこれがいる」
「心も死んで肉体も死んでいるのに生きている……?おかしいわ、そんなの」
「死人も『人』だよ」
「しばりつけているのは私だ。私の能力でここに呼び寄せている」
「解放する気は……?」
「ないよ。そもそも私の能力だが、使用しているのは別人だ」
器の言ってることが分からなくなっていく中、サラはココから出してと言った。
「済まんが私の力では返せない。しかもその子は此処にいると肉体の不具合でやがて消滅する」
「解放しなさい、さもないと……」
静寂がその場に満ちた。器はため息をつき、サラ達に背を向けると突然言い放った。
「一つ聞こう」
「彼らと違って」
「もし……心も体も完全に砕けた死人が生きていたら……それはもう」
穏やかな口調が突然何かを帯びて。
「『人』ではなくなっているのではないかな?」
その瞬間だった。器から得体の知れない何かを感じたのは。
「あんたは……ッ!!」
今のサラの声を聞けば、すべての人が怒っていると錯覚するだろう。だが違った。
サラは恐怖していた。
(比喩じゃない!)
(こいつが今言ったことは比喩なんかじゃない!人じゃないんだ。こいつは一体……何物なんだ……!?)
目の前にいるはずなのに、人と感じれない。いや、人である可能性に賭けたかったとも言える。だが、しかし。同じ空気を吸っているとは思えないのだ。そして、ある一つの考えがサラの頭を支配した。
(こいつは一体……この世界のどこで生まれたんだ……!!?)
「サラ、気を、しっかりぃ……」
ライクの言葉にサラはすぐ器に向かい直った。
「あーあ、お前はいらないよ。器。数分間でも俺の体を奪ったことは褒めてやるがね。さて、ダークの力を体に完全になじませたが……君は誰だい?どうやら一人は器のようだが」
きょろりとソレはサラ達を見た。
サラは皮膚に痛みを感じた。圧倒的すぎる差の証拠。絶対なるプレッシャー。
神を超え、負の器になった哀しみ。
サラは全力でモーニングスターを振るった。正真正銘、絶対なる本気から繰り出される破壊に特化した一撃。
だが、それを。哀しみは
「甘いね。そんな二人で来たところで俺には勝てねぇよ」
己の拳でモーニングスターを破壊し、ただのAIへと戻した。
哀しみの拳は見事にライクの腹部にめり込み、顔面を引っ掴むと一瞬、それすらも超えた動きでサラの後ろへ回って蹴り上げ、ライクを投げつける。
一気に吹き飛ばされた二人に向けて、哀しみは狂刃を向けた。
「さて、お試しだ」
「絶対勝利の剣」
歪んだ聖剣が出現し、その刀身を黄金に輝かせた。
「さて、ここに呼ばれてもいない他世界の『演者』は必要ないよ。突き返させてもらおう」
「それはさせませんよぉ、0」
空中へ放たれた黄金の光を消し飛ばした一つの影。
「む、『作者』からの刺客、分身か……?」
「ご名答、愛する博士が言うにはそのようですねぇ」
空中で二人を掴んで引き寄せて着地したhackは、その鞘から刀――――――骨喰を抜き放った。
「大丈夫ですかぁ、お二方?」
「あな、たは……」
「いやん、あなたドSですね?これは張り切ってやらせてもらいますねぇ。あ、助けるんで後でご褒美下さい、今日の気分は縄で亀甲縛りして鞭打ちです。いいですかぁ?まぁ、」
シャリンとその刀から音が響く。
「答えは聞いてないんですけど!!」
「ちっ、少し分が悪いな。だが」
「こっちも刀は使えるんだよ」
哀しみが呼び出した刀は《緋桜》。
それを鞘から抜くと、シャリィンという澄んだ音が響いた。
刀と刀が拮抗したようにサラとライクには見えた。が、しかし
「アウトですよぉ、0」
「な、にぃ!?」
緋桜は砕け、骨喰が哀しみの身を切り裂いたが、哀しみは骨喰の刀身を掴み、へし折った。
「一つ聞こう。どうやって緋桜を砕いた?あれは悪を浄化するんだぞ?」
「あんた、見た目と違って馬鹿ですねぇ。悪なんて所詮は人の定義。ていうか人それぞれでしょう?思い込めば、どうにでもなる。そんなものに縛られてる神を吸収して、何になるんです?哀しみ?」
「俺はただ取り戻すだけさ。それよりいい加減に親離れしたどうだ、浸食」
「嫌ですねぇ、哀しみ。私は博士を愛しているだけで「嘘だよ、それは」」
「所詮お前はあの開発者にとってただの玩具でしかない。色んな意味での処理道具だ。とんだお笑い草さ」
「うるさいぞ、哀しみ」
「ちんたら昔の女のことばっか引きずってんじゃねぇよ」
「態度が変わったな。つまり、お前はそれを自覚してるってこ」
「黙れよ、クソガキィ!!オスティナート!!」
オスティナート。意味は執拗。発動した瞬間に。世界は白く染まり。
まるで方眼紙のようにマス目が広がった。
「へぇ、この力はまずいな。じゃぁ、こっちは創造だ」
「やってみろよ、このクソガキがァ!」
創造と破壊がぶつかり合おうとした時、hackは気づいた。いや、夢中になりすぎていたというべきか。
異世界の人物を忘れていた。
拳、否、砲口を哀しみはサラとライクに向けた。
「させっか、このヤロォオオおおおおおおおおおおおお!!!!!」
砕けた刀の刀身を思い切り自身の右掌に突き刺したhackはそのままそれを握りしめ、オスティナートを纏わせて創造の力へぶつけて抗った。
「っ、うぅ!!!!」
力同士がぶつかり、後に残ったものは何もなかった。
「…………あぁ、過去に飛んじまったか。少しまずいな」
哀しみは再び闇に消えた。そして、三人は。
「っ痛た……」
サラは起き上がると周囲を確認してライクを引きよせた。
(ここは…………どこだ?周囲には何もない)
あそこから……帰って来たのか?
そう思ったがそれも違った。感覚がリアルすぎるのだ。
あの世界に風の匂いなどあったろうか?床は芝生の様だが、どうもリアルすぎて帰って来れたとは思えなかった。
「あ、起きましたか?」
サラは背後を振り向くと、hackの姿があったけれど。
「あなた…………大丈夫なの!?」
その体はボロボロで、スーツもボロボロ、右腕はちぎれかかっていた。
「すみ、ませんねぇ……あなたを忘れてしまってました。どうも、自分のことになると怒って、しまうんですよ。申し訳ないんですけど、右腕持ってくれますか?」
サラはおとなしく右腕を持って、断面へ持って行った。
「ありがと、ございます……もう大丈夫です」
「嘘でしょ!?あの怪我がもう!?」
「あー……なんて言ったらいいんですかねぇ。私、アシムレイトロイドのhackっていうんですけど、アシムレイトロイド達は再生能力を全員標準装備として実装しているんです。だからですよ」
「じゃあ、あなた……人間じゃ」
「ありませんねぇ。アイツが言ってた通り、私は処理道具ですから」
サラは事実、そんなことは思えなかった。
自信を助けた存在が、道具とは思えなかった。そう、ライクのように。
「さて、じゃあ、今度はそっちの番です。お願いできますか?」
サラは今まであったすべての事象を放した。hackは納得した様子でそれを聞くと、すぐに立ち上がった。
「じゃあ、サラさん?まずはライクちゃんを治すとこから始めましょうか。見た所バグが発生してるんですねぇ。自分不器用で、そういうのが苦手だから時間がかかるかもしれませんけど……資材があれば何とかなりますねぇ。ま、その間は武器形態は使用しない方がいいです。なので……」
hackは自身の緊急用リュックサックを呼び出すと、二つのクナイ型の何かをさらに手渡した。
「なに、コレ?」
「それはねぇ、ビームジャベリン。遠近用兵装です。伸縮式の実体剣でもありますが、連結型の双頭槍です。表面にビームを展開してビームサーベルとして使えますし、高速回転させて擬似的な傘型ビームシールドとしても使えます。あ、それビームワイヤーってのも入ってるらしくて、鞭みたいに振れますけど、元は使い捨ての特高用兵装ですから、いざとなったら投げてください」
「万能ねぇ……じゃあ、早速使わせてもらおうかしら?」
「へ?」
サラはジャベリンのワイヤーを、自身の背後へ向けた。
「でてらっしゃい?盗み聞きは良くないわよ?」
「ほう?…………よくわかったな」
近場の岩陰から、長髪の女が出てきて銃を三人へ向けた。
「じゃあ、自己紹介からお願いするわ」
「私は、ショッカーの技術顧問の」
「花笠花凜だ」
後書き
うーむ、これで良かったろうか。
なんかねぇ、ミヤビさんとかぜっったいキャラ崩壊しそうで怖いわぁ。
感想等いっぱいお待ちしております!!ではでは!!
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