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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
  0939話

 レオンの手から渡された書類が何だったのかは、ボーゼスの言葉で知る事が出来た。
 なるほど、捕虜の名簿か。確かにあれだけの人数を捕虜にした以上、管理するという意味でも名簿を作っておくというのは大事だし、その辺に関しては以前に報告も上がっていた。
 そして、この状況で捕虜の名簿を出したのが何を意味しているのかとなると、それは考えるまでもないだろう。

「えげつない真似をするな。いや、向こうがやった事を考えれば寧ろ穏当か?」

 隣で水餃子を食べていたムウも俺と同じ結論に至ったのだろう。小さく溜息を吐きながらそう呟く。

「これは……人質、という訳か? 帝国が条件を呑まなければ……」
「いえいえ、私達シャドウミラーは帝国とは違いますからね。そこまで非道な真似はしませんよ」
「ぐっ」

 何かを言いかけようとしたピニャだったが、これ以上自分達の立場が悪くなるのを警戒したのだろう。言葉を無理矢理飲み込む。

「私達がしたいのは、捕虜の引き渡しに関してとなります」
「身代金が目当て、という訳か」
「それは多少人聞きが悪いですが……まぁ、概ね間違ってはいません」

 なるほど。身代金として金やら資源やらを奪えば、それだけ帝国軍は軍事力を回復するのが遅れる事になる。そうなれば、こっちの狙いでもある従属国の台頭がより早められるだろう。
 あるいは税金を重くして俺達に支払う分の身代金を回収するという手もあるが、それをすると民衆が帝国に対して不満を持ち、寧ろ従属国の反抗心がより高まる結果となる。
 そうなると、帝国としてのベストの選択肢は捕虜に関してはこのまま見捨てるというものだろうが……それをすると、今度は臣下から不満が出る。何しろ……

「なっ! これは……姫様、こちらを。確かこの方はマルティス家の……他にも見た名前が幾つもあります」
「何!?」

 ボーゼスが都合良く知り合いの名前を見つけたのか、そう呟く。
 そう、こちらに捕まっている者の中には貴族出身の者も多い。
 何しろ帝国にしてみれば、門の先にある場所を我が物顔で占領して略奪するつもりであった以上、傭兵や一般の兵隊だけにその旨味を渡すわけにはいかない。貴族であるからこそ、自分達が最初に……そう思うのも無理はないだろう。
 まぁ、人数的に見ればやっぱり貴族よりも一般人の方が圧倒的に多いんだが、それでも捕虜の人数が数万人ともなれば、当然貴族の数もそれなりにいる。
 勿論帝国軍に所属する以上は跡取りの長男とかではなく、次男以降の子供だろう。だが、それでも血が繋がっている以上見捨てるという選択肢を取る者は多くない筈だ。
 俺の勝手なイメージだと、貴族というのは血縁に対して冷たいところもあるっぽいから、見捨てるという判断をする者もそれなりには出る、か? いや、それだと自分の身内を見捨てたとか評判が立って、貴族としての面子を潰す事になる。
 それを思えば、やはり捕虜になっている貴族の肉親としては皇帝に対して人質に関しての交渉をするように要求するだろう。
 帝国軍の再建を遅らせるという意味では、こちらから要求するのは貴族が用意できる程度の身代金にはならないだろうし。
 その結果、帝国は色々な意味で詰んでいる訳だ。
 捕虜の名簿を見た時点で既にこっちの勝ちは決まっていたと言ってもいいだろう。

「さて、どうしますか? こちらとしてはいつまでも捕虜として捕らえていても無駄に物資が消費されるだけなのですが……あ、そうそう。ちなみにゴブリンやオークは消耗品扱いだという事らしいので、このような結果になったのですが……」

 レオンの言葉と共に部屋の中にある映像モニタが起動し、そこに映像が映し出される。

「これは……何だ? あの中に別の世界があるのか?」

 呆然と呟くピニャ。
 通信機の類も存在しない門世界の住人なんだから、戸惑うのも無理はない。
 だが、映像の中に置かれていたコンテナが開かれ、そこからゴブリンやオークが姿を現すとその戸惑いも消える。
 草木の類が存在しない荒涼とした場所に、戸惑いを見せるゴブリンとオーク。
 コンテナの周囲を歩き回るが、特に何があるわけでもない。
 そんな状態で映像が早送りされ、やがてその存在が現れる。

「なっ、何だあの気持ち悪いのは!」

 部屋の中に響くピニャの怒声、あるいは悲鳴。
 そう、地下から姿を現したのは兵士級や闘士級、戦車級を始めとした無数のBETA。
 あるいは突撃級や要撃級のような大型のBETAも存在している。
 それらのBETAが、ハイヴの近くに存在していたゴブリンやオークを排除すべくゲートから出てきたのだ。
 たちまち始まる血みどろの殺し合い。
 ゴブリンやオークは数が多くても、所詮BETAの物量には敵わない。
 ある程度のダメージを与える事には成功するが、次第に物量に押されてその数を減らしていく。

「うぷっ!」

 そんな光景を見ていたピニャが、思わずといった様子で口元を押さえる。
 BETAの外見に気持ち悪くなったのか、あるいは血みどろの殺し合いにか……いや、一応騎士団だと考えればそれはないか?
 ともあれ、折角の美味しい食事が台無しになってしまったのは事実だろう。
 BETAとの戦闘に慣れてしまった俺やムウにとっては、映像を見ながらでも特に問題なく食べる事が出来るが。
 1匹、また1匹とゴブリンやオークがBETAにより命を絶たれ……最後まで見る事なくレオンが映像を止める。

「さて。ご覧いただけたように、私達はとある世界であのような相手と戦っています。この映像ではゴブリンやオークといった存在が戦いましたが、どうしても捕虜に対する身代金を支払えないとなれば……最後まで言わなくても分かって頂けると思いますが?」
「それは……卑怯ではないのか?」

 未だに気持ち悪そうにしているボーゼスへと一瞬視線を向けて告げるピニャに、レオンは心外だとばかりに驚きの表情を浮かべていた。

「帝国のやってきた事に比べれば、全く問題ないと思いますが?」
「むぅ」
「レオン、少しやり過ぎよ」

 そう言葉を挟んだのはエザリア。
 そのまま、テーブルの上にあった杏仁豆腐を取り分けると、レンゲと共にピニャとボーゼスの前へと渡す。

「さ、食べて頂戴。確かにシャドウミラーと帝国の間には色々の不幸な出会いがあったけど、だからといって私達までもがそうなる必要はないでしょう?」
「……確かに」

 なるほど、飴と鞭か。取り調べとかで良く使われる手段だが、そんな手法を門世界の住人が知っている筈もないしな。
 いや。ファンタジー世界だけにその手の手法が発達している可能性は否定出来ないか? もっとも、それを皇女やボーゼスのような貴族が知っているというのは有り得ないだろうが。
 そんな俺の思いとは裏腹に、レンゲですくった杏仁豆腐を口へと運ぶ。
 次の瞬間、ピニャとボーゼスの口元に笑みが浮かぶのが分かった。
 その笑みを浮かべているピニャへと、エザリアがゆっくりと声を掛ける。

「このような重大な出来事を勝手に判断は出来ない……と思ってもいいのかしら?」
「ん? うむ、確かに。捕虜や身代金の扱いに関しては皇女であっても勝手に判断は出来ない。皇帝陛下の意向を聞かなければ」
「そう。では、取りあえずこちらの提案を持って帰って、それをどうするかを向こうで相談してみる……というのはどうかしら?」
「……ボーゼス、どう思う?」

 エザリアの言葉に、ピニャと同じく杏仁豆腐に舌鼓を打っていたボーゼスが我に返って口を開く。

「そうですね、その方がいいかと。帝国としましても迂闊に判断出来る事ではありませんから」
「お前もそう思うか。……分かった、エザリア殿。ではそちらからの提案については帝国に持ち帰らせて検討させて貰おう」

 結果的にはこうなったか。
 最初に大きな要求を出して衝撃を与え、最終的には納得させる。まぁ、これもある意味ではありふれた交渉術ではある。

「そうそう、どうせだからこの食事が済んだらホワイトスターの中を見ていってはどうですか? 私達がどのような生活をしているのかを知るのも、敵国である帝国の権力者としては必要な事でしょうし」

 微妙に棘の感じられるレオンの言葉に、ピニャも食べていた杏仁豆腐のレンゲを置いて数秒考える。
 それを見ながらムウに視線を向けると、そこでは自分はこのやり取りに関係ないと言わんばかりに、蒸籠から取り出した焼売を辛子醤油につけて口へと運んでいた。
 箸の使い方が上手いな。

「おい、一応お前もシャドウミラーの一員なんだから、交渉は見ておけよ」
「いや、俺は実働班だし」

 あっさりとそう告げてくるムウに呆れつつ、視線をピニャ達の方へと向けると、ホワイトスター内を見て回るという結果になったのだろう。エザリアとレオンの2人が笑みを浮かべてピニャやボーゼスと言葉を交わしている。
 チクチクと嫌な場所を攻めて来たレオンとも会話をする辺り、一応交渉に関しては慣れているのか。
 交渉に関しては殆どエザリア達に任せるか、砲艦外交モドキしか出来ない俺が言うのもなんだが。
 そんな風に考えていると、やがてエザリアの視線が俺の方へと向けられる。

「アクセル、案内をお願いね」
「……俺がか? 女が好むような場所は殆ど知らないぞ?」
「ああ、それなら大丈夫よ。……ほら」

 その視線を向けるとタイミングがいいのか悪いのか、スレイが部屋へと入ってくるのが見えた。
 いや、なんでスレイ?
 勿論スレイが類い希な程に魅力的な女だというのは理解している。
 門世界の中でもトップクラスに美形であるピニャやボーゼスと比べても一段、あるいは二段も上の美貌なのだから。
 ちなみに、スレイがそこまで魅力的になったのは俺という存在のおかげらしい。マリューが言うには、恋愛関係で充実している女は普段よりも美しくなるとかなんとか。
 ともあれ、そんな風に魅力的であるのは間違いないスレイだが、だからといって普通の女が好むようなファッションの類に詳しいかと聞かれれば、俺は迷わずNoと答えるだろう。
 寧ろ女の流行とかに関しては、シェリルやマリューといった面子の方が詳しい筈だ。
 ……そう考え、すぐに納得する。
 まず、マリューはG元素関連の研究でここのところレモン共々非常に忙しく過ごしているし、シェリルは歌手活動で忙しい。
 特にシェリルはマブラヴ世界で以前行ったライブを発端として、マクロス世界で作られた写真集がかなり売れている。
 マクロス世界だと電子書籍が一般的なんだが、やっぱりアイドルの写真集というのは紙媒体で売られているものが根強く残っているんだよな。
 そしてマクロス世界でも根強い人気を誇っているのは事実であり、歌手活動、写真集、プロモーションビデオの撮影等色々忙しい毎日を送っている。
 ……それでも毎日ホワイトスターに帰ってくる辺り、俺としては嬉しいのだが。
 そんな風に考えていると、スレイも俺の考えを悟ったのだろう。どこか不満そうな表情を浮かべてこちらに視線を向けてきた。

「む、何だアクセル。私では女が喜びそうな場所に案内出来ないとでも言いたげな顔をしているな」
「……顔? 特に表情が動いているようには見えないけど?」

 スレイの言葉を聞いたムウがそう告げるが、スレイは何を言っているんだとでも言いたげな視線をムウに向ける。

「思い切り表情に出ていただろう?」
「……いや、俺にはさっぱり」

 そう告げ、その部屋にいる他の面々にも視線を向けるが、エザリア、レオン、更にはピニャやボーゼスまでもが無言で首を横に振っていた。

「ふむ、これが恋人とそれ以外の差か」

 ポツリと呟いたその一言に、驚愕の表情を浮かべたのはピニャ。

「待って欲しい。つまり、それは……貴方がシャドウミラーの王妃となる、という事か?」

 ……ああ。確かに俺がシャドウミラーの代表である以上、そう認識してもおかしくはないな。もっとも、それはシャドウミラーが確固とした身分があればだが。
 いや、一応身分的なものはあるのだ。シャドウミラーの根幹を成すと言ってもいい技術班をレモンが、軍事力を司る実働班をコーネリアが、そして政治に関してはエザリアが統率している。
 その下にはシャドウミラーに所属している者達が幹部としており――スティングやアウルは例外だが――更に下には量産型Wや無人機が存在しているのを考えれば、ピニャの言葉は不自然ではない。
 だが、シャドウミラーのトップにいる俺が皇帝でも王でも、あるいは大統領や首相といった肩書きを名乗るのではなく、あくまでも代表と名乗っているのを見れば分かるように、身分については一応あるが、そこまで厳格なものではない。
 それに……

「王妃、か。さて、アクセルがその気になれば何人の王妃が出来ることやら。勿論私も第一王妃の座を他の者に渡すつもりはないがな」

 小さく、だが妖艶な笑みを浮かべるスレイに、ピニャやボーゼスは思わず目を奪われるも、すぐにこちらに視線を向けてくる。

「なるほど、権力者である以上複数の妻を持つのは当然か」
「ピニャ様、これは……」
「うむ、皇帝陛下に事情を話す必要はあるだろうが、もしかしたら……」

 そんな風に囁いている言葉を、デザートのごま団子を食べながら聞くのだった。





 ちなみに、何だかんだでピニャとボーゼスの2人はスレイの案内した交流区画を存分に楽しんでから門世界へと戻ったらしい。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167 
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