天上の大空を目指して
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2.仮想世界へ
無事に授業を終え、学校から出る。部活には入っていないからそのまま帰る。俺は今日ばかりは急いで家に帰った。早く行きたくて走る。家について、自分お部屋に行き着替える。いつもより断然速い。
準備を終えて、頭にナーヴギア――SAOをプレイする為の次世代のゲーム機――をかぶる。ナーヴギアはVR、仮想世界にダイブし自分で体を動かしてゲームをプレイできる、全く新しい機械だ。
「早速やんのか。あんま長時間やるんじゃねーぞ。あとで宿題はちゃんとやれよ」
「分かってるって。ご飯までには戻るから!」
いきなり現れたリボーンに応え、ナーヴギアのスイッチを入れる。そして、仮想の現実に行くための言葉を――
「わかってんならいいんだ。気をつけろよ、ダメツナ」
最後に聞こえたのは、リボーンの馬鹿にしたような声だった。
「リンクスタート!」
「ダメツナって久しぶりに聞いたきがする・・・・・・」
ゆっくりと目を開けると、そこにはいかにもゲームのキャラクターと言わんばかりの美男美女、美少女、美少年がいた。サービスが開始されたばかりだからか、青い光に包まれながら現れるたくさんのプレイヤー。俺は、その幻想的な光景とファンタジー風景に少し圧倒されていた。無意識に、おー、と声が出てしまっていた。
我に返って、自分を見下ろす。背中に吊ってある慣れない剣と思い通りに動く体。近くの店にあった鏡で確認すると、現実とはだいぶ違う顔になっていた。
重力を無視して跳ねていた明るい茶髪は、藍色の、耳くらいまである大人しめの猫っ毛に。明るいオレンジっぽかった目は黄色い猫目に。身長や体格はそこまで変化はなかったが、それなりに、まぁ自分と全く違う顔が思い通りに動くのは、少し違和感があるけど、面白い。
顔を確認したあと、ステータス画面の出し方やスキルの確認をする。ちなみにこの世界での名前は[firma]と書く。読みは、フィルマ、本来はfirmamentoと書き、意味は大空。最近はイタリア語も習わされ――もちろんリボーンにである――そこでこの名前を思いついた。読める人はいないだろうが、何となくここでもみんなと居られるような気がしてこの名前にした。大空である自分から取ったんだ。
何となく、最初にいた「はじまりの町」を見て回っていたが、戦闘に慣れるためにフィールドに出ることにした。ちなみに、ここまでずっと一人で行動している。周りの人のキラキラした雰囲気で近づきづらいからだ。
「一人でも大丈夫のはず・・・・・・。俺だってゲームでくらい一人で戦えるし・・・・・・」
とゲームだと分かっていても、少しだけ不安と心細さを感じて、行きがけのリボーンの言葉を思い出してそんなことを呟いていた。
そうして一人でフィールドにを駆けること数分。俺は最初の低レベルモンスターを見つけた。見たところ青イノシシみたいだ。リアルでおっかない人にたくさん会ってきたせいか、それなりに恐ろしい容姿のモンスターを見ても特に何とも思わなかった。これは喜んでいいのかどうか、と俺は内心で苦笑しながら敵に近づく。すると相手もこっちに気づいたのか頭を向けてきた。
突進してきたイノシシを咄嗟に剣でガードする。そのまま向きをそらして流す。一定の距離をとり構え直す。最初に使えるらしいソードスキルの構えに剣を持っていく、がなかなかモーションが検出されない。その間にまた突進してきた。落ち着いていればそんなに速くはなかったから、余裕をもって避ける。今度は通常攻撃で斬りつける。イノシシのHPゲージが一割程減る。避けて斬るを数回繰り返すと、相手の残りHPが三割程になった。さすがにソードスキルが使えないとこれから困るので、もう一度試してみる。今度はうまくいった。剣が青い光を放つ。そして体が自動的に動いて攻撃する。
「おおぉーっす、すごいっ」
敵がポリゴンの欠片となって四散する。その感覚がクセになるというかなんというか。とにかくソードスキルを使った時の快感にハマってしまった。でも、ちゃんと使えるようにならないといけない。
今まで剣を使ったことがないからかまだ慣れない。まずは、通常攻撃でも勝てるくらいになること。それから、ソードスキルの特訓だ。すぐに発動できるようにならないといけない。と、今後の予定を立てて、新しく湧き出てきた敵の動きに集中した。
この時にでも、一度戻っていれば、何か変わっていたかもしれない―――
後書き
はい、二話目終了です。最後はちょっと意味わからないですね。あと、セリフ少なめですがこれから増やしていこうと思ってます。ここから頑張ります。ゲーム始まってからが本番です。
by白月
2015/4/6 ルビ振り・少し修正しました。
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