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インフィニット・ストラトス 乱れ撃つ者

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現実

「おぁ! よく見えるよく見える!」


フィールドを見下ろしている俺がいるのは、本来なら、人が立てないような場所。 アリーナのオープンになっている天井の縁だ。
ISのハイパーセンサーに感知される可能性もあるため、気配遮断は今も続けて入るが



「いや、しかしほんと。 ここって一番の特等席なんじゃね? 」



ここからだと、下のフィールドで動く3機のISの動き方がよくわかる。 てき、乱入者の方はビームぶっぱなしてるだけだけどな! 他2機、一夏と凰はビームをかわしつつ、攻撃するが、効果は今一つのようだ


一夏に限っては近接武装のみなため、近づこうとしているがそれも叶わず。 零落白夜さえ当てれば何とかなるのだろう



「お、出てきた出てきた」


さすがアサシン。 よく見える
俺が見たのは、アリーナの待機場所に出てきた箒さん。 生憎だが、俺は今ISを展開していないため、さすがにアサシンの能力はあってもこの距離では何を言っているのか分からない


すると、箒さんに気付いた無人機が砲身を箒さんに向けた



そうだ。 それで、一夏が瞬時加速(イグニッションブースト)を凰の龍咆で強化して零落白夜を決めるのだ


いつくるいつくる?


だけど……



俺は気づいてしまう。


















「おい……あれ、確実に間に合わないぞ……!?」


どうなっている!? 原作じゃ、間に合うはずだろうが!?


俺は下でもたついている一夏達の様子を見て焦りを覚えた。



「何でだ……!? 早くしろって!!」


俺の叫びは届かない。
だが、そうしている間にも無人機は動き続ける。 もう間もなく、ビームは箒さんに向かって射出される


原作の流れから外れている。
何故こんなことが……いや、わかってはいるのだ


「俺の……俺のせいなのか……!」


この世界のイレギュラーである俺の存在。 それが何かしらの異変を起こしているのかもしれない。
俺は、少しいや、かなりだ。 考え方が浅はかだったのだろう



「ここは……現実だ……」

俺の知っている本の世界じゃない。 全てが、一夏たちの存在もISもこの世界も全てが現実。 虚構ではない


ちょっと、浮かれすぎていた。 いや、なめてかかっていたのかもしれない。 この世界は俺の知る世界であり、物語の世界なのだと。
皆がみんな、嘘の存在なのだと、頭の何処かでそう思っていたのかもしれない。 無意識に、でもだ


「ここは現実。 ……物語の世界なんかじゃない…」


感じる風、握りしめた手の中で爪が皮膚にくい込んだ。 痛い


俺は多分、間違っていたのだろう。 いや、間違えたんだ


「……一回、加賀さんにも相談してみるか…。でも……」


迷っている暇何てない。 すでにビームは照射一歩前。 意地でも間に合わせる!!


「サバーニャ!! 起動!!」


首にかかったネックレスが強く光る。 緑の装甲を持つ俺の愛機


展開されると同時に、俺の目の前のモニターに表示されるTRANS-AMの文字


「トランザムッ!!!」


赤く輝く機体ですぐさま降下を開始。 もう目の前だ


『箒!! 逃げろ!!』


一夏の声をハイパーセンサーで拾った。 だが、箒さんは逃げるつもりがないのか、その場から動く様子を見せない


絶対に間に合わせる!!


そしてついに



無人機からビームが放たれた


「届けぇぇぇぇ!!!」


ホルスタービットを箒さんの前に展開させ、俺自身もGNフィールドで割ってはいる


『あ、中!?』


「いいから!! お前は自分の仕事をしろ!!」


『わ、分かった!! 助かったぜ!』


通信が切れる。 と、同時に、ビームの照射が終わった。


ホルスタービットとGNフィールドも解除し、敵を見る


原作通りの無人機。 だが、ここは現実。物語の通りとは限らない


「み、御堂なのか?」


「そうだよ。 ほら、こっから早く離れろ。 身をもって危険だってわかっだろ」


「し、しかし…」


「早くしろ!!」


俺の怒号に一瞬体を震わせた箒さんはそのままいそいそと開場を去っていく。 織斑先生の所にでもいってくれればいい



「……こんなとこで、誰一人かけてもらっちゃ後味悪ぃんだよ……」


償い。 そんな表現が近いのかもしれない

これは俺に対する罰なのかもしれない。 この世界を現実と受け止めずにどこか軽い気持ちで考えていた俺の…



「……なら、ちゃんと償わなきゃな…」


ホルスタービットを◇の形に3つ並べ、そこにピストルビットを配置していく。
トランザム状態の今だ。 かなりの威力は出せるはずだ


オルコットが仕留められるか俺は分からないが、一夏が零落白夜で敵のシールドを斬り裂き、スターライトmk3で決める


だが、うまくいくかは分からない。


『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』


凰の砲撃でさらに速くなった一夏が零落白夜を発動。 エネルギーの刃が敵のシールドを斬り裂く。


その直後、上空から襲うビームが無人機を撃ち抜いた




「……終わったのか…」


もう動かなくなった無人機を見て、俺は機体の展開を解いた。


「……よかった 」


結末を見届け、喜んでいる一夏達を遠くから見る。
今の俺では、罪悪感で一緒になって喜べそうにない。
教師たちが来る前に、俺は気配遮断で一人、部屋に戻っていった








夜、コンコンと、部屋のドアがノックされる。


「……?誰だ…」


丁度、風呂から上がったばかりだった俺は急いで寝巻きに着替えると、部屋のドアを開けた


「よお、中。 今、いいか?」


「……ああ。 構わない」



部屋に訪ねてきたのは一夏だった


「とりあえず、どっかに座ってくれ」


キッチンへいって、緑茶を2つ用意する。 一夏は俺に促されて、デスクの椅子に座った
俺も運んできた緑茶を近くにあったテーブルに置き、自分のベッドの上に座った


「…今日はありがとうな。 お前がいなかったら、あのとき、箒が危険な目に遭っていた」


そう言って頭を下げる一夏。 やめてほしい。 全て、俺のせいで起きたことなのかもしれなかったのだから


「頭上げろって。 俺も、反省すべきことはあるからな」


「中が?」


「ああ。 ……そりゃ、な」


「そうか…中でも、あるのか…」


「おいおい、俺も人間だ。 そんくらいあるだろうに」


多分だが、何かを察して詮索しないのだろう。 いいやつだ、ほんとに
……何故女子の好意に気付かないのか不思議になるくらいに


「俺も、もっと強くならないとな」


「せめて、俺を越えるくらいにはなれよ?」


冗談混じりに言ってみたが、そんな俺の顔を見て一夏はふっと笑った


「な、何で笑うんだよ」


「いや、何かな。 変わったなと思ってさ」


「は?」


「なんか、前までの中は、ちゃんと俺や箒のことを見てくれていなかったような気がしてたんだ。 でも、今はちゃんとこうして対等になってくれた気がしてさ」


言われて、はっとした


そんな風になってたんだな……俺。


「でも、今のお前となら、仲良くなれる気がするぜ」


「そうか……なら、改めて宜しくな一夏」


「こっちこそ、よろしく!」


そういわれ、俺はなんだか前よりも、この世界が好きになった 
 

 
後書き
すみません、3が変換できませんでしたので、これでご勘弁ください 
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