ものがあっても
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第四章
「同性愛を楽しまれても」
「結婚してもですね」
「いいのではと思いますが」
「お母様と同じ考えですね」
「そうなるでしょうか」
自分でもこう言うのだった。
「やはり」
「そうですか」
「はい、ただ」
「ただ?」
「私ならです」
ここでだ、自分から言ったモモカだった。
「構いませんので」
「といいますと」
「アンジェリーゼ様さえ宜しければ」
モモカはアンジェリーゼに微笑んで言った。
「私が」
「モモカがですか」
「はい、お相手させて頂きますが」
「では私とキスをしたり」
アンジェリーゼは自分の緑の目をじっと見て来たモモカのその目を見返しつつ言った。
「そして」
「あの、デートも」
「そうしたこともですね」
「ご一緒に」
モモカも言うのだった。
「如何でしょうか」
「いきなりそう言われましても」
アンジェリーゼはモモカの申し出に戸惑いつつ返した。
「その」
「困りますか」
「はい、モモカは私の友達です」
アンジェリーゼはこう思っている、幼い頃より同じ学校に通い寝食を共にしている。モモカは平民の出だが代々公爵家に仕えている家の娘であるからその様に思っているのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい、友達ですが」
「恋人とはですか」
「どうにもです」
首を傾げさせての言葉だった。
「思えないので」
「そうですか」
「はい、ですから」
モモカとは、というのだ。
「同性愛がよくとも」
「それでもですね」
「そうしたお相手がいればいいですが」
「探しますか」
「そうしてみます」
こうしてアンジェリーゼは恋愛の相手を探すことにした、とはいっても実は恋愛がどういったものかもわかっていない。
その中でアンジェリーゼは妹のシルヴィアを見た、自分によく似ているがより明るい顔立ちで髪は左右で短めのテールにしていて残った分をその左右でウクライナの女性の様にリングにしている。そのシルヴィアにだ。
アンジェリーゼはモモカを傍に置いて共にティータイムを楽しんでいる時にこう問うた。
「シルヴィアは恋愛は知っていますか?」
「恋愛ですか」
妹は自分の前に座る姉の言葉にティーセットの中のエクレアから姉に視線を移してその言葉を返してきた。
「小説とかにある」
「そうです、そうしたことについては」
「あまり、ただ」
「ただ?」
「不潔な人、乱暴な人は嫌です」
こう答えたのだった。
「特に」
「そうですか」
「はい、お姉様は恋愛は」
「今考えていまして」
それで、とだ。アンジェリーゼはそのシルヴィアに答えた。
「果たして誰とするべきか」
「そうなのですね」
「男性の方は旦那様だけですが」
それでもとだ、ここでまた言ったアンジェリーゼだった。
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