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A型メランコリー

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第四章

「水着になるからな」
「だからなのね」
「そうだよ、俺達の今の格好だってな」
「確かにそうよね」
 言われてみればそうだった、今はそんなお互いにこれ以上はないまでに外してしまっている格好でもだ。
 水着になる、それならだった。
「一緒よね」
「そういうことだからな」
「いいわね」
「水着の方はな」
 彼は見ていろという顔で私に言って来た。
「安心しろよ」
「外してないのね」
「それでいて固定観念を打破してるからな」
「それは私もよ」
 私も私で彼に返す、にやりと笑って。
「楽しみにしていてね」
「ああ、楽しみだからな」
「今からね」
「行こうな、プール」 
 待ち合わせ場所は駅前なのでもうすぐそこに見えている、それでだった。
 歩いてプールまで行って着替えてだ、彼の目の前プールの入口に行った。するとそこにいた彼の格好はというと。
 競泳水着だった、腰から太腿の真ん中まであるそれだった。男子用の。
 その水着を見てだ、私は彼に言った。
「そう来たのね」
「似合うか?」
「結構ね」
「俺陸上部だろ」
「ええ」
「だからな」
 それでだというのだ。
「昔水泳部は冬プールが使えない時は陸上でトレーニングしてたらしいからな」
「それでなのね」
「この水着にしたんだよ」
 競泳水着にというのだ。
「似合ってるのならいいさ」
「そっちは外さなかったのね」
「そうみたいだな」
「それで私はどうかしら」 
 私は髪はキャップの中に入れてまとめている、そのうえで彼に尋ねた。
「似合ってる?」
「似合ってるも何もな」
「何もって?」
「一緒だろ」
 こう私に言って来た。
「俺と」
「競泳水着だからなのね」
「ああ、そうだよ」
 実は私は水着を新しく買った、黒地に青のラインが入ったシンプルな競泳水着だ。ビキニやワンピースを持っていたけれど。
 どれも普通に思えてだ、これの水着を新しく買ってここで着てきたのだ。彼は私のその競泳水着を見て言うのだ。
「そう来たか」
「色々考えたけれど」
「普段着ないものでか」
「水着にしたのよ」
「そういうことか」
「こっちは外してないわよね」
 彼を見詰めて尋ねた。
「流石に」
「ああ、そっちはな」
 彼はにこりと笑って私に答えてくれた。
「いい感じだよ」
「だったらいいけれどね」
「充分だよ。それじゃあな」
「プールで泳いで」
「スパにも行ってな」
「サウナもあるわよね、ここ」
「ああ、何でもあるよ」
 お風呂の設備もだ。
「だからここならって思ってな」
「それでよね」
「選んだんだよ、気に入ってもらったみたいだな」
「普段とは違うからね」
 いつものA型同士で選んだデートとはだ。
「本とか読んだりして考えてしてるのとは」
「冒険してみたかいがあったな」
「今のところはね、じゃあ」
「まずは一緒に泳いで」
「いや、それもありきたりだな」
「じゃあどうするの?」
「スパ行こうぜ」
 こう私に言って来た。 
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