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ドリトル先生と学園の動物達

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第十二幕その四

「それと苺もオレンジも」
「そちらもですね」
「普通にイギリスのもの以上よ」
「どれも普通にスーパーで売っているものです」
「ここまでのものが普通に食べられるなんてね」
 それこそとです、サラは感嘆の言葉で述べました。
「日本人は何と幸せなのかしら」
「ティーセットはイギリスものだけれど」
 先生も言います。
「日本のものの方が美味しいね」
「お茶やお菓子だけでなくてね」
「お水が違うね」
「それが一番大きいわね」
 そのお茶を飲みながらの言葉です。
「日本のお水はいいわ」
「特にこの神戸はね」
「六甲ね」
「知ってるんだ」
「何度も日本に来ているからね」
 六甲のお水のことも聞いているというのです。
「聞いてるしね」
「飲んでもみたのかな、実際に」
「美味しいわね」 
 これがサラの返答でした。
「確かに」
「うん、それに日本だと硬水もね」
 こちらのお水もです、イギリスのお水はこちらです。
「味が違うね」
「日本のお水は違うわ」
「質がね」
「お茶も結局はお水なのよ」
 それ次第というのです。
「味がね」
「それで日本のお茶はだね」
「イギリスのものよりも美味しいのよ」
「そういうことになるね」
「だから私いつも楽しみにしてるのよ」
「日本に来た時は?」
「ええ、日本のお茶を飲むことをね」
 まさにです、このことをというのです。
「楽しみにしてるのよ」
「ティーセットもだしね」
「主人の会社日本茶も扱ってるでしょ」
「最近そっちも売れているんだね」
「ええ、ただイギリスのお水に合わせてね」 
 その日本茶をというのです。
「ちゃんと変えているわ」
「さもないと売れないんだね」
「イギリスのお水にはそれに合うお茶があるのよ」
 日本茶でもというのです。
「だからそのことを考えてね」
「そうしてなんだ」
「ちゃんと売ってるのよ」
「それで売れてるんだね」
「そうなのよ、ビジネスはそこまで考えないとね」
「そういえば日本の製品が売れるのは」
「そこよ」
 まさにそこにあるというのです、サラはお兄さんにはっきりと言いました。
「日本人はものを売る先のこともちゃんと調べてね」
「そのうえでものを売ってるからだね」
「ここまでになったのよ」
「今じゃイギリス以上の豊かさだね」
「多分最盛期の我が国以上じゃないかしら」
 日本の豊かさはというのです。
「今の日本のそれはね」
「そうなったのもだね」
「売り先のことを調べてね」
「それからそこに合うものを売ってきたからだね」
「それでものが売れてね」 
 そうしてというのです。
「ここまでになったのよ」
「頭がいいね、日本人は」
「ちょっと発想が違うわね」
「ただいいものを売るだけじゃないんだね
「そのことを学んだのよ、私達も」
 サラもご主人もというのです。
「日本人のビジネスの仕方をね」
「現地調査かな」
「それって学者さんの言い方ね」
「うん、やっぱり僕は学者なんだね」
「ええ、ビジネスの世界ではまた違う言い方だから」
「マーケット調査かな」
「そうなるわね」
 実際にというのです。 
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