ドリトル先生と学園の動物達
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第十二幕その二
「やっとそうした人と巡り会えたのね」
「何か凄い言い方だね」
「そうも思うわよ、妹の私が結婚してもね」
それでもというのです。
「兄さんは相変わらずで」
「一人だったからっていうんだね」
「アフリカ行ったりキャラバンだのサーカスだの。月にも行ったし」
「ははは、色々あったね」
「色々じゃないわよ、何時身を固めるのかって思ってたわよ」
サラから見ても心配だったのです」
「学生時代からそうした話がなかったし」
「付き合うとかそうとかね」
「誰かに告白されたりとかは」
「なかったよ」
「そうだったわね」
「僕から告白したこともね」
「それはないって思っていたわ」
最初からというのです。
「兄さんの場合は」
「信頼してくれていたのかな」
「わかっていたのよ」
そちらだというのです。
「兄さんにそうしたことは縁がないって」
「僕に自分からっていうのは」
「全然ね、一時期女の人に興味がないのかとも思ったわ」
「確かにあまりね」
興味はなかったとです、先生も自分で言います。
「なかったね」
「かといって同性愛でもないわね」
「そちらもね」
「興味ないわね」
「女の子以上にね」
つまり全くというのです。
「そうしたことはね」
「そうよね、そのことも安心していたけれど」
先生が同性愛者でないこともです。
「イギリスは最近そうした趣味の人も多いけれど」
「僕は同性愛は否定しないけれどね」
そうしたことをいちいち否定して批判する先生ではありません、同性愛はキリスト教では快く思われていないにしても。
「ましてやここは日本だからね」
「日本って同性愛に寛容だったわね」
「そうだよ、長い間至って普通だったよ」
「そのことは驚くことだけれど」
それでもと言うサラでした。
「とにかくね」
「僕の結婚のことはだね」
「同性愛でもないってわかっていたけれど」
それでもというのです。
「何時になるかって思っていたわ」
「ひょっとしてないかもとか?」
「真剣に思っていたわ」
実際にというのです。
「兄さんだから」
「それでなんだね」
「日笠さんって人が兄さんをまんざらと思わないのなら」
「それならだね」
「ええ、絶対によ」
強い声で言うサラでした、三段のティーセットを挟んでちゃぶ台に向かい合って座っている先生に対してです。
「結婚するのよ」
「そうしないと駄目なんだね」
「絶対に駄目よ、けれどね」
「今度は何かな」
「その人凄いわね」
その日笠さんがというのです。
「絶対に兄さんの人柄を見て好きになったのね」
「僕の性格をなんだ」
「だって。兄さんの外見だとね」
太っているうえに野暮ったいお顔です、そうした外見を見ているとというのです。
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