僕のお母さんは冥界の女王さまです。
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拝啓お母さん。久しぶりにママが遊びにきました。
前書き
久しぶりに更新します
その日は久しぶりに訪れました。
病室で僕は音楽を聴きながら小さくウトウトとしていました。姉がわりの三人は日本での資金を稼ぎに働きに出ており、ひかりさんは平日の昼間ということもあって今は学校に行っていることだろう。
窓から差す火の光がとても心地好く、次第に眠気がしてくるのを感じた。
それに身を任せて寝てしまおうと意識を手離した直後。
「・・・・・・」
僕は真っ黒い空間にいました。
真っ黒い空間に存在するのは大きな玉座が一つと一回り小さく玉座が一つ、そしてひときわ小さい玉座の合わせて三つの玉座があるだけ。僕はその小さい玉座に座っていた。
見えないはずの視界が開けておりその空間の様子が見て取れる。
ということは・・・。
「・・・久しぶりにここにきたなぁ」
苦笑しながら視線を前に向けるとそこには量膝をつきながら僕の手を取って顔を除き込んでいる一人の少女。
「こんばんは殿下」
彼女はパンドラ。僕を含むのカンピオーネを産み出した母。ここは彼女が僕を招いた夢と現実の狭間。
「突然呼び出してごめんなさいね。」
「うん。僕は気にしてないよ。僕もママに会えて嬉しいから」
「殿下、私のことはパンドラと呼んでって言ってるでしょ?。あなたのお母様はコレー様ですよ?」
「僕にとってはお母さんはお母さん。ママはママだから」
「もう。嬉しいこと言ってくれるわねぇ♪」
「ママも元気そうでよかった」
「うん、ルカも元気そうね。コレー様の権能でカンピオーネとしての力を抑えてるから正直心配だったけど安心したわ」
ママは立ち上がると僕が座っている玉座のひじ掛けに腰掛けて優しく頭をなで始めた。
「今日はどうしたの? 兄さん達が会いに来てくれないから寂しくなったの?」
僕の言う“兄さん達”というのは世界に散らばる同胞、人にして神を殺した王と女王達。
顔も見たことはないがママが息子達と呼んでいるから僕も自然と兄さん、姉さんと呼ぶようになった。
そんな事を聞いてきた僕にママは嬉しそうに笑うと首を横に降った。
「今日は貴方にまた一人兄弟ができた事を教えにきたの」
ママは言った。
地中海でゾロアスター教、常勝不敗の軍神を殺した若き少年の事を。彼は日本人で近々帰ってくる事を。
「あなたの例を除けば最年少の魔王。カンピオーネの経験をいえばルカがお兄ちゃんだけど年齢的にはあっちがお兄ちゃんね」
「じゃぁお兄さんだね。どんな人なんだろ」
会って見たいが僕がお兄さんに会ったらナタ達が危険な目に会ってしまう。それは他の兄さん達にもいえることで彼等に会いにいったら間違いなくナタ達を殺そうとするだろう。彼女達を守りたいしその力もあるけどお父さんの部下である四姉妹や番犬お母さんの従姉妹である死者達の女王、何よりお母さんからもらった権能を争い事に使いたくない。
「本当に優しい子」
ママが優しい笑顔を浮かべた。
「そういえばあなたはまつろわぬ神を倒したあとはいつも泣いていたわね。ごめんなさい、ごめんなさいって」
僕は神々が大好きだった。けれど同じぐらい人間が好きで人の命を尊さを姉たちから教えられた。
だからまつろわぬ神と出会った時は戦った放っておけば沢山の人が悲しんだから。
「あの四姉妹もあの方も消え行くときはほんと困った顔をなされてた。わんちゃんなんて必死に貴方の頬を嘗めて慰めてたじゃない。当時まだ9歳の男の子に倒されて悔しかったでしょうけど同時にあなたには生きて勝ってほしいと思ったそうよ? コレー様だってそう。あなたがカンピオーネになった時にこう言ったの」
生きなさい。何者にも負けず生きなさい。
「あなたはコレー様からすべてを受け継いだ冥界の皇子にして、人類の頂点に立つ八人の魔王の一人。今はまだ気持ちの整理がつくまで隠れてていいけど。表舞台にでたらお父様とお母様に恥じない生き方しないとね? あ、泣いてもいいけどあんまり泣いてるとお二人が心配するから時には我慢、男の子だものね?」
ママは頑張れと言って僕の頭をなで続ける。
僕はいつの間にか泣いていたようで必死に笑顔をつくりしきりに頷く。
まだモヤモヤするけど僕はお母さんの言葉を、何者にも負けず生きるという言葉を噛み締めて涙を拭った。
拝啓、お母さん。
僕は頑張って生きます。
王として
「ところでひかりちゃんについてママにも紹介してほしいな♪噂ではルカのお嫁さんになる娘なんでしょ?」
「ちょっと!誰から聞いたの!?」
後書き
久しぶりの更新。
いろんなツッコミは勘弁してください!(;´_ゝ`)
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