科学と魔術の輪廻転生
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異世界だと知った今日この頃。
うーん、どうやら俺は転生したらしい、ということがその一ヶ月後位に分かった。
何故分かったかというと、俺を黒髪の男性が軽々と持ち上げていたからだ。
いや、それだけじゃ判断は難しいかもしれないが、他にも色々とある。
特に、茶髪の女性が急に胸を曝け出した時は驚いた。
めちゃビックリした。
というか恥ずい。
マジで恥ずいので出来るだけ早めに食事を終えている。
うん、こればっかりは何回やっても慣れないな。
……とにかく、俺は転生したらしいということは分かった。
だが、特に何かやることも無い。
取り敢えず筋トレとかしてた方が良いのかな、とも思った。
だが、赤ちゃんの頃はデリケートだということを知ってたので、何もしないことにした。
いや、まさか子育ての知識がこんな所で役に立つとは。
……どうでも良いな。というか、役に立ってない。
そんなことを考えながら、俺は日々悶々と過ごしている。
────
転生して二ヶ月位経ったかな?
身体が結構自由に動く様になった。
ジタバタ位ならお手の物。
後、言葉も断片的になら理解できるようになった。
固有名詞とか以外の単語位なら理解できる。
────
転生してから半月後。
日常会話なら完全に理解出来るようになった。
流石にまだ固有名詞は無理だが。
まだ声帯が発達していないせいか、言葉を発することはまだできない。
後、言葉が分かるようになって俺の名が判明した。
アルフレート。
それが俺の名前らしい。
ちなみに母さんの名前はリーシャで、父さんの名前はラインというらしい。
二人共俺のこと略称で呼ぶから、本名を聞き出すのに時間がかかった。
うーん、苗字とか無いのか?
今度話せるようになったら聞いてみよう。
そんなある日、突然母さんが無色透明な水晶玉の様な物を持って来た。
「アル、コレに触ってみて」
「ああう」
ちなみに『アル』というのは、もちろん俺の略称だ。
両親が言うには、アルフレートという名前には、色々と略称があるらしく、アルはその中の一つらしい。
というかそれ、俺でも大体予想できそうだな。
『アルフ』とか、『フレート』とか。
俺は脳内でそんなことを考えながら、水晶玉に手を伸ばし、触った。
その瞬間、水晶の核らしき物が一瞬キラリと光った気がした。
そして直ぐに……砕け散った。
「ばぶぅ!?」
まさか砕け散るなんて思っていなかった俺は、その破片が当たってしまった。
主に触れてた手に当たり、その手から赤いものが滴り落ちた。
手を見てみると、紅に染まっていた。
死ぬのは怖い……死にたくない……
トラックに轢かれた時の痛みが、苦しみが、蘇ってくる。
「えっ……!?」
母の声で我に返った。
どうやらあの日のことを思い出していたみたいだ。
血があの日の記憶のトリガーになるのかもしれないな。
というか手が地味に痛い。
「たっ、大変! 『傷付きしものに聖なる力を分け与えん。回復』」
!?
えっと……。
中二?
心は中二なのかな?
なんて思っていたら、突然俺の右手が謎の発光を始めた。
ピンク色の、幻想的な優しい光。
俺は思わず見惚れてしまった。
その光に触れていると、なんだか気分が少しだけ高揚した気がした。
なんか不思議な気分だ。
謎発光は数秒で消えた。
俺は光が消えた後すぐに、手の痛みが消えていることに気づいた。
すぐさま手を見ると……血塗れ。
……やっぱり流れた血は落ちませんよねー。
まあ、傷は塞がってるっぽい。
でもこれって……。
「よし、治ったぁ。ごめんね、アルくん」
「キャッキャッ」
……俺はいよいよ此処が異世界だということを認めなければならないらしい。
いや、ある程度予測はしてたが……。
此処が地球だと思いたかったがもうどうしようもない。
妻に会いたい。
でも、俺は此処が何処だとしても一生懸命生きて行くよ。
もう死にたくないしね。
本当、死ぬのって怖いし、苦しい。
できることなら次は老衰で死にたい。
俺は生きる決意を固めた。
というか、あの水晶玉って何だったの?
爆発物?
その母さんが驚いた顔をしながら部屋を出たことを俺は知らなかった。
────
一歳になった。
父さんは仕事で家にいないことが多い。
なんの仕事をしてるのかは知らない。
一年経って知ったのだが、この世界でも一年の日数はあまり変わらないらしい。
そして誕生日は地球のものよりか重要視されていない。
拍手で終わる誕生日。
少し寂しいな。
あと、俺はついにハイハイが出来るようになった。
これでやっと俺にも念願の移動手段が出来たんだ。
やった、やったよ俺。
さあ、何をしよう。
ハイハイでなんて行けるとこが限られてるしな。
うーん、家を探索でもするか。
取り敢えず母さんに許可を求める。
「ままぁ、いえ! たんけん! いこ?」
と、俺は上目遣いで言う。
……俺の身体的年齢は一歳。
一歳なのだ。
こんな感じでいいと思う。
「えっと、うん! 行きましょ!」
「やったぁ」
俺は母さんに抱き上げられた。
そんな感じで、俺は初めてこの部屋の外に出た。
「はいはい、がいい!」
「いいよ。でも気を付けて」
「うん!」
俺は母さんの後ろを付いて行った。
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