インフィニット・ストラトス 乱れ撃つ者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
中vs一夏
で、どうしてこうなった
現在、織斑先生のISの授業ナウ。 そう、それはいい。 何故、俺と一夏が模擬戦をすることになった?
目の前には白式(ビャクシキ)を起動させ、手に雪片弐型を構える一夏
いや、理由は簡単だ。 クラスの女子が言い出したのだ
「御堂君は専用機持ちなんだよね!」と。
そして、続けて言ったのは「織斑君とどっちが強いの?」だった
あとはノリの良いクラスメイトたちだ。たちまちクラスがその雰囲気になり、助けを求めた織斑先生も、俺の実力を把握するのに丁度いい機会だといって今日の授業は俺vs一夏の模擬戦となったのだった
一応、他の生徒にIS同士の勝負を見せることで授業にはなるらしい
いやいや、こないだオルコットと一夏がやったんでしょうが
「中! 全力でいくぜ!」
おまけに、相手はやる気満々。 なにこれ。 俺、昨日の今日なんだよ?
(ダリィ……)
ちなみに、俺はサバーニャを展開しているが、ホルスタービットは展開していないし、両手にもつ2丁のピストルビット以外のビットも出していない
全部粒子化している。 よって、俺が使えるのは、ピストルビット2基とマイクロミサイル、GNフィールド、とTRANS-AMしかない
さらに、白式の単一仕様能力である零落白夜を使われるとエネルギー制の攻撃はその刃に触れるだけで無効化されてしまう
何が言いたいかと言えば、今の俺はかなりのハンデを持っている
「まぁ、ほどほどにはな」
アリーナのブザーが鳴った
「織斑君、大丈夫ですかね」
場所は一夏が出てきたハッチの中。 そこでは、試合の様子をモニターで見る山田先生と織斑先生、そして、篠ノ之とオルコットの姿もあった
「先生、一夏さんはこの私、セシリア・オルコットを追い詰めた御方ですわよ? 御堂さんがどの程度の実力を持っているかは知りませんが、心配ありませんわ」
心配そうな山田先生の呟きにオルコットは自信満々に答える。
「織斑先生…」
「どうした」
その傍ら、篠ノ之は一夏の姉である千冬に尋ねる
「御堂の実力はどうなんでしょうか」
「……そうだな。 はっきりしたことは分からない。 私も、奴の実戦を見たことがないからな」
「そうですか…」
「だが、御堂が昨日、うちの学園の生徒会長に勝ったという報告は受けている」
「なっ!? 更識さんにですか!? あの、ロシア代表の!?」
話の聞こえた山田先生が驚きの声をあげる
ロシア代表
それを聞いた篠ノ之とオルコットは信じられないものを見る目でモニターに映る人物を見た
緑のISを装着する男、御堂中
「まぁ、更識の方は本気ではなかったそうだがな」
「……一夏」
「……一夏さん」
「おらぁっ!!」
雪片弐型を構えて、一夏がこちらに向かってくる。
だが、動きが単調、一直線なため、俺はこれにむかって一発放った
だが、さすが主人公。 セシリアとの決闘で射撃系のISとの戦いかたが分かったのか、見事に交わした
その僅かな時間の間に俺は詰められた距離を開ける
「第3世代、サバーニャか……。セシリアと同じタイプか」
そんな一夏の呟きが聞こえた。
まぁ、そう思うならそう思えばいい
俺は2丁のピストルビットを絶え間なく打ち続ける。 ビーム兵器ではあるが、GN粒子の生成量を越えない限り、いくらでも撃てるのは大変便利だ
「くそっ、近づけねぇ…!」
「悪いが、近接武器で俺の相手は無理があるぜ?」
尚も俺は撃つのを止めない。 一夏は何かタイミングを狙っているのか、極力当たらないように上手く避けている
うーむ、やはり、2基だけだと、弾幕には程遠いか
だが、ときどきかすってはいるようで、一夏のシールドエネルギーが減っていることは確かだ
……あれか、瞬時加速(イグニッションブースト)を狙っているのか
一気に距離を詰めて零落白夜で決めるつもりなのだろう
「このっ!」
無理にISを動かして、弾幕(とはいかないが)を抜けてきた一夏
少々驚いたが、振り下ろされる雪片弐型をビットの下部に取り付けられたブレードを交差させて受けとめ、その際、“わざと”片方のピストルビットを落とし、焦った表情を浮かべて一夏から距離を取った
「よしっ! これで、なんとかなるぞ!」
「いいぞ、一夏!一気に行け!」
「ふふ、やはり、一夏さんはお強いですわ」
一夏が中の武器を落としたのを見て、篠ノ之とオルコットは喜んでいた。
だが、そんななか、浮かない顔をするものがいた
「どうかしましたか? 織斑先生 」
織斑千冬である
「これは、あの馬鹿の負けだな」
「え? どうしてですか?」
「あれは、御堂の演技だ。 しかも、演技だとバレないようにかなり巧妙にな。 さっき、武器を落としたのも何かの意図があるのだろう」
そんな織斑千冬の声を聞いて、先程とはうってかわって不安そうな顔を浮かべた篠ノ之とオルコットであった
「中、この勝負、俺が勝たせてもらうぜ!」
俺の演技を真に受けたのか、これなら勝てると確信している一夏
だが、甘い。 チョコレートパフェに蜂蜜とバニラアイスとアンコとシロップをかけてその上から生クリームを大量に乗っけたくらい甘い
「なぁ、そんな油断してたら危ないぞ?」
「油断なんかしねぇ……!?」
その時、白式を何かが襲った。
その一発は一夏の上空。 空高い位地にから放たれた
「だからいったろうに」
一夏はISに備え付けられたハイパーセンサーでそれを見た
「あれは…!? BT兵器だったのか!」
そんな驚きを余所に、上空から次々とビームが放たれる。
連射性に優れたピストルモード、それから遠距離用のバレルを装着してたライフルモード
いま、俺がビットとして使っているのはライフルモードの方だ
俺としては加賀さんとの訓練で何べんも使った方法だったが、相手は初心者も同然の一夏だ。
上手くいってよかったぜ
「でも、BT兵器なら……!!」
今もなお、ライフルの雨を掻い潜っている一夏の視線が一瞬、こちらを捉えた
来るっ!
瞬間、一夏の持つ、雪片弐型が変形し、中からエネルギーで構成された刃が展開される。
そして、予想通り、一夏は瞬時加速(イグニッションブースト)でその刃の一撃を決めにきた
「これでぇ!!」
「ところがぎっちょん!!!」
俺は前方から突っ込んでくる一夏に向かって機体の各所に取り付けられたミサイルポッドからマイクロミサイル全76発を叩き込んだ
だが、これだけなら、オルコットとほぼ同じになる
「おりゃぁっ!!」
これまた予想通りにミサイルを凪ぎ払った一夏は勢いそのまま俺に向かってきた
だが、その瞬間に隙ができる。 それで十分だ
「終わりだぁぁ!!」
「お前がな」
手持ちのピストルビットの一発を零落白夜で無効化した一夏だったが、同時に、その背後をビームが襲った
直撃
その一発は、俺に一夏の刃が届く前に試合のブザーを鳴らした
「……あ、ありえませんわ!! BT兵器を使いながら、自身も動けるなんて!!」
現にブルー・ティアーズを動かすのに、どれ程の集中力がいるのかオルコットは知っている
だご、画面に映る男はそれをやって見せた
「山田先生、どう見る」
「そうですね……とにかく、分からないことだらけですね。 BT兵器についても、本人の実力についても」
「……そうか」
そんな会話が繰り広げられるなか、少女は幼馴染みの名前を呟いた
「……一夏」
ページ上へ戻る