転生特典をもらっても全て得になるとは限らない

　気がつくとそこは表現するならば、巨大な格納庫のような場所だった。
　そういえば、さっきまで神様と転生についての話をしていて……、ということはここは特典について貰った秘密基地の中か。

「しかし、よく考えるとここの使い方わからないんだよな。どうするか…。」
「ようこそ、転生者様。」

　どうするか考えようとしていた時、急に話しかけられ声のした方へ振り返るとそこには、ガンダムのマスコットロボのハロらしきものがあった。ちなみに色は薄い青色だ。

「わたしはこの基地に関しての説明とあなたのサポートを担当させていただくAIです。よろしくお願いします。」

　…さっきの声の主はこいつか。しかし今聞いた限りではかなり流暢に喋れるみたいだな。ハロの姿で普通に喋れるロボってどうなんだろ？
　まあ、ちゃんと意志疎通ができないとここの使い方もわからないままだからいいか。

「こちらこそよろしく。早速だけどここの使い方教えてもらえるか？」
「はい。まずこの基地の設備に関しての説明ですが…」

　このハロ(仮称)の説明をまとめるとこの秘密基地の設備は


食糧生産プラント (10人分の食糧一ヶ月分を資金1000P使うことで5日で生産可能)

特殊解析機 (入手した兵器や動力等を解析することが可能。)

特殊医療用設備 (あらゆる病気や怪我を資金1000P使うことで治せる。ただし、怪我の度合いや病状によっては必要な資金が100Ｐずつ増えていく)

兵器製造ライン (特殊解析機で解析した兵器や新しい兵器を製造できる。なお生産には資金が必要。)

研究施設 (様々な研究設備が揃っており、実験室も完備している。)

シミュレーター (兵器製造ラインで製造したり、入手してきた兵器の操縦の訓練をすることができる。これには、様々な地形のデータが入っており、シミュレーションのレベルも設定することができる。)

転移装置 (他の世界に転移することができる。ただし、基地とその世界との時間を同調させるためにはマーカーをその世界に設置する必要がある。ただし、コズミック・イラ世界に関してはこれに当てはまらない)

資金還元装置 (様々な世界の通貨を資金に還元することができる。資金を通貨に還元することも可能。)

資金 1000000Ｐ


等があるらしい。他にもあるらしいがその説明はまた今度に。居住区画や倉庫もあり、居住区画に関しては必要最低限の日常品は置いてあるようだ。
　この設備は資金を使えば、性能を上げたり、新しいものを増設することができるようだ。


「次はステータスについての説明です。スーパーロボット大戦にでてくるステータス画面を思い浮かべてください。なお、スキル等を覚える場合は敵を撃墜することで貯まるPPを使う必要があります。」

　なるほど、やっぱりスパロボとシステムは同じということか。じゃあ早速ステータスを見てみるか。



　　名前:天原　洸

　　Lv:1
　
　　PP:0

　　格闘:123

　　射撃:116

　　技量:112

　　防御:125

　　回避:145

　　命中:120

　　SP:113

　　エースボーナス:不明

　　空:Ａ

　　陸:Ａ

　　海:Ｃ

　　宇:Ａ

精神:直感(SP15)

　　　　 ???

???

???

???

　　スキル:???

　　　　　 精神耐性

　 ???

　 ???

　 ???

　 ???

　　撃墜数:０


　……このステータス、ツッコミどころが色々あるんだが。
　まずオレが頼んだ機体ストレイバードは射撃系の武器がメインなのに、なぜステータスが格闘振りになってんだ。ストレイバードの格闘武器って確かフェザントカッターだったか、それしかないのに。
　そして異様に回避が高いんだが、まあ回避は高くても特に支障はないか。
　SPはLv1にしては微妙に高いな。まあこれも得になるからよしとしよう。
　地形適応は海だけＣだ。海の中に入って戦うことなんて数えるほどしかこないかもしれないけどいくらなんでもＣはないだろ。
スキル欄にある精神耐性は二つ目の特典の影響か。一番上が空いているってことはレベルが上がれば何か特殊なスキルを覚えることができるのか？少なくともデメリットになるようなスキルはないはず。…多分。
　……仕方ないからこれでいくしかないだろうな。やり直しなんてないだろうし。

「はぁ………」
「何やら落ち込んでおられるようですが、神様から伝言を預かっております。お聞きになりますか。」
「(もしかしてステータス関連のことか？)…聞くよ。」
「わかりました。内容は「お主のことじゃから色々と気になることがあるじゃろうから、伝言をAIに伝えておく。ステータスのことじゃが格闘と回避が高くなっとるのは、お主の心の奥底で思っていたことを反映させただけじゃよ。お主はロボットもののアニメだと射撃主体の機体よりも格闘戦主体の機体を好んでおるのとあまり怪我を負いたくないという思いがあったからじゃ。機体はいずれ作る時に格闘戦向きの改造をすれば大丈夫じゃろ。海の地形適応がＣなのはあまりお主自身が泳げないからじゃの。スキル欄の一番上はレベルが上がっていけばいずれ発現するので頑張るんじゃぞ。」」

　全部オレが聞きたいことばかりだな。さっきのオレの心の中読んでたんじゃないだろうな。…もうツッコミを入れる気にもなれない。

「「次にお主の姿じゃがストレイバードのパイロットである悠凪・グライフの姿にしとるからの。」」

　そういった後ハロ(仮称)は体から手を生やしてどこから鏡を取り出すとオレの顔の位置まで持ってきた。
　鏡を覗き込んで見るとそこには悠凪・グライフを12歳位にしたらこうなんだろうという顔が映っていた。
　オイ待て。悠凪といえばオレの知ってる限りではネタキャラだのヒモだの呼ばれてる残念なやつじゃねーか!!! そりゃ機体はストレイバードでとは言ったけど、顔はこんなやつにしてくれとは言ってないぞ。いやだよネタキャラになるのなんて…。というか12歳位になっちゃてるし、なんかオレせっかく転生したのにろくな目にあってないような…。

「「最後じゃがお主にはAIの指導の下、みっちり修行してもらうからのー。死にはせんから頑張るんじゃぞー。」以上です。」
「……えっ、修行って?」
「はい。これから洸様には修行を受けてもらいます。生身での戦闘訓練にロボットの操縦訓練が主です。生身での戦闘訓練は様々な戦闘技術を身につけたアンドロイドを相手にしてもらい体に覚えこませます。なお、技術はどれも達人級のものをインプットしています。ロボットの操縦訓練はシミュレーターを使い基本的には多対1の戦闘訓練が主です。慣れてきたらレベルを上げていき、Gもかけていきます。大怪我を負っても医療設備を使えばすぐ直せますのでご安心を。大丈夫、死ぬことはありません。」


　…もう、ろくな目にあってないどころの問題じゃないわ、これ。
特典に戦闘関連のものはつけてなかったから特訓はしないといけないとは思ってたけど、死ぬことはありませんと言ってるが聞いた限りでは素人のオレが受けたら速攻死にそうなんだが…。
　………転生したのにまたすぐに死ぬことになるかもしれないな。