ガンダムビルドファイターズ 〜閃光を纏う傭兵〜
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第3話 戦火のガンダム
前書き
どうも! レキュンです。
ついに主人公機がでる………‼︎! はず。
後、名前をカタカナに修正しました。原作の名前を出す時に同じ日本人でカタカナと漢字の名前が有るのは違和感あるかもしれませんので。(オリキャラと原作に出てくる人物を見分けるのにちょうど良かったかもしれないですけど………)
ではどうぞ!
「『黒い翼』と戦わなければ依頼は受けさせてもらえないんですかね?」
油断なくビルの裏に隠れ、思わず愚痴ってしまう。左脚の無い状態で戦うのは流石に厳しいものがある。
「まさか。ただ、僕が戦いたくなっただけだよ。一戦、ワルツを一緒に踊ってくれないかな? 『傭兵』くん」
キザな言い回しで本気を出せと言ってくる。ヒサメも元からそのつもりだったが。
(ガンダムウィング・カタストロフィーと互角に渡り合うには此方もガチでいかないと勝てない。………こいつはもう使いたくなかったけどな)
懐から深紅の機体を取り出す。一年間全く動かさなかった機体だが、手入れを怠っていたわけではない。
むしろあれ以来新たな改造を施している。
「分かりました。俺は本気であなたを倒します」
「ありがとう。マイギリ・ヒサメくん。全力で来るんだ!」
GPベースを操作して機体登録を変更し、長年の相棒をバトルフィールドに乗せる。
(俺も混ぜろよ? 相棒)
「分かってる」
頭の中から聞こえてくる声に頷く。幸いと言うべきか、サンジョウさんとサキには聞こえなかったようだ。
操縦コンソールが展開すると同時に、意識が切り替わる感覚が生じる。
ガンプラバトルを楽しむ感情が、純粋に戦いを愉しむものに変わっていく。
「アルケーガンダムツヴァイ。目標を破壊してやる‼︎」
▽
フィールドは中東と思われる街並みに変貌した。何処と無くアザディスタンを彷彿とさせるのは、ヒサメが使っている機体の所為か。
出撃したアルケーガンダムツヴァイには、目立つ形で武装が追加されていた。
GNバスターソードを二本持ち、左腕のGNシールドにはソードビットが装着されている。
三条はその出来栄えに思わず感嘆してしまう。
(かなり作り込まれている。それだけでも彼の力量が分かるな。………やはり噂は本当なのか)
知る人ぞ知る彼に関する噂は信じ難いものが多い。巨大MA八機を3分で撃破など幾ら何でも誇大広告が過ぎると一笑に付してしまうものもあるのだ。
(だが、対峙してみるとわかる。彼ならばあの子を託せる実力だと!)
『凶星』と揶揄される深紅の機体にエンドレスワルツ版のバスターライフルの照準を合わせ、粒子を開放する。
「見せてみろ! 君の実力を‼︎」
極太の熱線がアルケーを呑み込むために突き進む。一瞬で到達した熱線を氷雨は、
「………え?」
アルケーは躱す動作を見せず、そのまま光条に飲み込まれた。さらにアルケーの居た場所から爆煙が巻き起こる。
(まさか、マジで避けきれなかったのか………?)
些か拍子抜けした気持ちでバスターライフルのエネルギー交換をする為に熱線を終息させる。
刹那、背筋が凍るような怖気が走った。
「ライフル。いただき」
「何っ⁉︎」
いきなり目の前にアルケーが出現した。勢い良くGNバスターソードが振るわれ、左手に持っていたバスターライフルが叩き斬られる。
カタストロフィーはヘッドバルカンを牽制に放ち、追撃を躱す。
(どうやって気取らせずに近づいたんだ………。まさかミラージュコロイドか?)
熱センサーにはなんの反応も無かった。ステルス性の武装を追加したのかと一瞬考えたが、もう片方のバスターライフルを放った瞬間に理解した。
(まさか、ビームの下すれすれを通ってきたのか⁉︎)
確かに熱を発しているビームの下を通れば、センサーも反応せず相手の死角にも入り込める。
しかし、操作ミス一つで消し炭に変わるリスクが有るというのに、彼は躊躇わずに選んできたのだ。
(これは………本物だ‼︎)
喚起の笑みを浮かべ、ビームサーベルを抜き放つ。
二度、三度とぶつかり合い、互いの装甲を破壊していく。
「素晴らしいな! 『傭兵』くん‼︎」
アルケーの右脚部に着けられたファングの収納コンテナを破壊し、ウィングの黒く染まった片翼を切断される。
「はっ! それはどうも‼︎」
完全に口調が変わった氷雨は脚に隠されたビームサーベルを振るってウィングガンダムカタストロフィーの右腕を斬り飛ばす。
後退したウィングを追撃する為、残った左脚のコンテナからGNミサイルを放つ。
「まだ攻め手がぬるいな!」
片翼となった翼から粒子が放出され、ミサイルを撃ち落としていく。目の前まで来ていたアルケーと斬り結ぶ。
「まだ本気を出していないだろう⁉︎ 見せてみろ‼︎」
「はっ、上等だぁ‼︎ 出ろ、ソードビット!」
GNシールドに取り付けられたクアンタのソードビットが分離し、ウィングに襲い掛かる。
「ぐおおぉぉおお‼︎!」
二本のバスターソードに脚のビームサーベル、三つのソードビットによる斬撃の嵐に『黒い翼』も流石に耐えきれなくなっていき、戦闘不能まで追い込まれた。
しかし攻め続けていたアルケーも無傷とは程遠いものだった。
「流石は世界大会5年連続ベスト4か………。ここまでアルケーを傷つけた人は初めてだ」
右腕右脚を失い、残ったバスターソードも叩き折られた。ソードビットこそ三つとも健在だったが、粒子残量が尽きて力無く落下していく。
戦いによって火の海と化した街の上空で、深紅の機体が佇んでいた。
▽
「先程はすまなかったね。改めて自己紹介しよう。私はサンジョウ・ゴロウ。今回君を呼んだクライアントだよ」
「マイギリ・ヒサメです。酷い洗礼を受けましたよ」
机の上に置いてあるアルケーガンダムツヴァイを眺めながら愚痴る。ダメージレベルをCに設定していたらしく、先程の戦闘による損傷は消え去っていた。
「それで、『黒い翼』御本人の依頼とは何でしょうか?」
サキが淹れ直してくれた紅茶を啜り、サンジョウに視線を向ける。
「そうだね。手早く本件に入るよ。………君は、このガンプラを見たことがあるかね?」
一枚の写真を懐から取り出し、机の上に置く。
「な!?」
なんの気もなく覗き込んだヒサメだったが、それに写っていた機体を見て一瞬で表情を一変させ、思わずガタンと立ち上がってしまった。
「その機体は一体どこに⁉︎」
写真に写っていたのはガンダムナドレの改造型。知っているとかそういう次元ではない。この一年間をその在り処を探し続ける為だけに費やしていたのだ。
「これは今、とある縁で私の娘が預かっている。娘はガンプラバトルをしたことなど無いけどね」
「娘さんが………」
少し驚きつつも話を把握するために頭をフルで回転させる。取り敢えずは何かされる心配はないことに安堵する。
「譲って頂ける………とかそういう話ではないですよね?」
「勿論ただで渡す訳にはいかないよ。けど、依頼を受けてくれるなら譲渡することも考えよう」
一応、自分の手中に収まらなくても特に問題が有るわけではない。むしろガンプラバトルを知らない女性が部屋に飾っているだけの方が余程安全な筈だ。
しかし、あの機体が手許にある方が安心出来るのも確かだ。
「分かりました。それで、依頼内容はどの様なものですか?」
何かの大会に代理出場だろうか。それとも誰かのペアの相棒として戦うのかもしれない。
俺が依頼内容を尋ねると、サンジョウは嬉しそうな表情を浮かべた。
「それはだね………。娘をガンプラファイターにしてもらいたいのだよ」
「………………え? それはどういう………?」
思わず聞き返してしまう。何故か頭が理解しなかったのだ。
しかしサンジョウは笑みを浮かべて同じことを繰り返した。
「私の娘、アリサをガンプラバトルで戦えるように手助けして欲しいんだ」
瞬間、ヒサメの脳裏には自身が底なし沼に嵌っているビジョンが映し出されたのだった。
後書き
という訳で序章は終わりです。
世界大会ベスト4に普通に打ち勝つ設定にしちゃいましたけど今後大丈夫かな………?
今回の駄作ではタイマンなどは少なめにする予定で、中高生の大会公式ルールである3対3か、大規模戦闘(BFT第1話冒頭でフミナが参加していた戦闘?)を扱っていきたいと思います。
圧倒的不利を覆す主人公の活躍を楽しんで頂ければと思っています。
◆ガンダムアルケーツヴァイ◆
◇使用火器
GNバスターソード×2
GNビームサーベル×2
GNファング×5
GNソードビット×3
GNミサイルコンテナ×1
主人公、マイギリ・ヒサメが最も信頼する愛機。改修、改造を繰り返して8年ほど使い続けている。
1年ほど前の偉業と事件以来全く使っていなかったが、今回の『黒い翼』戦で勝利するために解禁した。
ガンダム00のアルケーガンダムがベースであり、その特徴的なフォルムを崩さずに武装を追加している。
ヒサメは両利きであるため、接近戦は二本のバスターソード、隠し武装のビームサーベルで白兵戦を戦う。
左脚部に取り付けられていたGNファングは取り外され、代わりにGNミサイルが格納されている。が、近接戦闘を仕掛けることの多いヒサメは序盤で使い切ってGNコンテナをパージする事も多い。
シールドに新たに増設したソードビットはクアンタのものを深紅に塗って流用したものであり、小さいながらもGNフィールドを張ることができ、またバスターソードを失った時の予備の近接兵器でもある。
いかがでしたか? なんか説明したようで説明しきれていない気がする………。
ま、まあ気になった点があれば指摘してもらえるとありがたいです。
感想を頂ければ幸いです。
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