ガンダムビルドファイターズ 〜閃光を纏う傭兵〜
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第2話 摩天楼の熱線
前書き
第2話です。バトル回です。エアマスターが活躍するはずです。きっと。多分。
と、取り敢えずどうぞ!
市街地に火線が交叉する。林立するビルを盾にした攻防により、戦いは接戦へと陥っていた。
「っ! 速い⁉︎」
「ビルが邪魔だな………」
地を駆けて火線を放つガイアと、ビルの隙間を縫うように低空飛行を続ける可変機のエアマスター。両者の攻撃は相手を捉えきることが出来ずにいた。
ガイアの高出力ビームライフルが正確にエアマスターを貫こうと放たれる。しかし、ビルの間で行われたバレルロールによって紙一重で回避された。
「ビルの隙間でなんて動きを………」
ギリギリの回避に唖然としつつも、ビームライフルを放ち続ける。変形時の都合上、正面にしか撃つことが出来ないため常に敵の背後を取り続ける必要がある。コンクリートの地面を駆け、ビルの角を曲がったエアマスターを追跡する。
が、襲い掛かってきたミサイルに足を止めざるを得ない。
「貰った!」
MS状態に戻ったエアマスターは両手のバスターライフルで狙いを定め、発砲する。
「く、この‼︎」
早希は半ば反射的にMA形態からMS形態へと変形する。一射目は背中のビームブレイドの片翼を貫かれ、二射目をシールドで防ぐ。
「………やる‼︎」
氷雨は少なからず驚かされた。完全な奇襲に対応されるとは思ってもいなかった。
「なんて戦い方をしてるの………」
驚いたことに、ビルに激突することで制動を掛けたらしい。見上げれば、ビルにはMSが突っ込んだ跡が見える。
側から見ただけだったなら操作ミスと思っていただろう。しかし、あの正確な射撃を見せられた後ではそんな甘い考えにはなれなかった。
「………強い」
思わず呟いてしまう。明らかに私が押されている。
「ううん。ここから逆転してみせる!」
ガイアをMA形態に戻し、ビルの壁を駆け上がる。辺りを見回せば、相変わらずビルの谷間を飛翔する白と赤の機体を見つけた。
「逃がさない!」
背中に装着してあるビーム突撃砲と、新たに備え付けた二連装レール砲を放つ。
ブラストインパルスから流用したそれは、氷雨が通り抜けようとした二つのビルに直撃して倒壊させた。
「っ⁉︎ やるな………‼︎」
氷雨は急制動をかけ、崩落によって生じた瓦礫から逃れるために上空へと急旋回しながらMS形態へと変形する。
「らあっ………!!」
バルカン、ミサイルを全弾ばら撒いて瓦礫を破壊しつつ、左に旋回する。
「もらったよ‼︎」
動きを先読みした早希がビームライフルを放つ。急旋回で隙だらけの背中を見せているエアマスターに、必殺の一撃が直撃するーーーはずだった。
「直撃コース………、避けてやるさ‼︎」
再びの急速変形によって体を逸らす。正確にエアマスターを貫くはずだったビームライフルは、右脚を掠めただけに留まった。
「そんな………⁉︎」
必中の一撃を避けられたことに思考が停止してしまう。その隙を突かれるようにしてガイアの左前脚ーーー左腕を撃ち抜かれ、盛大に爆散する。
「きゃっ………⁉︎」
胴体を支える脚を破壊されたことで、踏ん張りが利かずにビルから落ちてしまう。
何とかMS形態に戻り、姿勢を立て直す。しかし、かなりの隙を晒していたというのに一つの攻撃も来なかった。
「………?」
「まだやるか?」
ビルの上に立つエアマスターから通信が入る。氷雨にそんなつもりは無かったのだが、早希は馬鹿にされたのだと思い、眉をひくつかせる。
「まだ左腕を失っただけ。こっから逆転してみせる‼︎」
「いいぜ。来な‼︎」
ガイアが振りかぶったビームサーベルを、腰に隠していたビームダガーで受け流す。
互いにバルカンで牽制し、同時に距離をとる。
「久し振りに楽しいガンプラバトルだ」
「あら、まだ続くのに余裕有るわね」
二人は思わず笑ってしまい、再びぶつかり合っていった。
▽
「早希意外とやるもんだなぁ………」
原沢(父)は娘の健闘に感心しながらモニターを眺めていた。
氷雨は本気を出しておらず、エアマスターは無傷であるとはいえ、世界選手権レベルのプレイヤーを瞬殺する可能性すら秘めた彼と五分も戦い続けているのだ。
(これはいつか抜かれてしまうかもなぁ………)
そんな事を思いつつ、ふと隣に居たはずの主がいないことに気がつく。
「………しまった。あのお方が我慢できるわけが無かったか………!」
慌てて部屋から飛び出し、応接間へと向かった。
▽
ビルの瓦礫の上で、勝負は決まっていた。
「あー、全然当たらなかったー」
「いや、かなりひやひやした攻撃が幾つかあったよ。強いんだな」
エアマスターは両腕を失ったガイアに銃口を突き付けている。激しい戦闘であったにも関わらず、目立った損傷は見当たらない。
「ふう。結局、まだ来てないのか?」
取り敢えずは戦ったものの、まだ依頼人は到着していないのだろうか。ライフルを押し付けている状態を止め、一息つこうとしたその瞬間、
(来るぞ氷雨! 避けろ‼︎)
「っ‼︎?」
頭の中で響いた声に反応して操縦コンソールを振り上げる。突然の上昇に機体が軋むが、システムアラートの警告よりも早く回避行動を取ったお陰で最悪の事態は免れる。
ゴウッッ‼︎!
先程までエアマスターがいた空間を、極太の熱線が貫く。避けきれなかった左脚が爆散し、バランスを崩して転倒してしまった。
「アレは………!!」
損傷によるアラートが鳴り響く中、相手の姿をモニターで確認した氷雨は目を見開く。
太陽の光を吸収する漆黒の機体。烏のような翼を広げたその機体はーーー
「ガンダムウィング・カタストロフィー………!」
「血が騒いでしまってね。………私も混ぜてくれないかね?」
キザな制服に身を包んだ30代くらいの若い男性が、バトルシステムにGPベースをセットしていた。氷雨は、彼が今回の依頼人であることが分かってしまう。
三条吾郎。メイジン・カワグチやマッケンジー准将と並び称され、『黒い翼』の異名を持つビルダーが乱入してきたのだ。
後書き
いかがでしたか? 本当は今回で主人公機を出したかったのに………ヽ(´o`;
つ、次でなんとか出してみます。お楽しみに。(まだバトル回は続きますよ)
感想を頂けたら幸いです。
▽
◆ガンダムエアマスター◆
◇使用火器
バスターライフル×2
ノーズバルカン×2
ヘッドバルカン×2
ショルダーミサイル×2
ビームダガー×2
ガンダムXに出てくる可変機のガンダム。高速機動で敵を翻弄し、制空権を確保する。
この機体は極限まで機体の軽量化を求めた結果、近接武器はひとつも付いていなかった。
白兵戦が出来ないと流石に厳しいと考えた氷雨によってビームダガーが武装に追加されている。他は特に改造された形跡は見当たらない。
余談だが、エアマスターのバスターライフルと、Wのバスターライフルは全くの別物である。
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