レインボークラウン
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第二百九話
第二百九話 ステーキ
博士と小田切君はそのステーキを食堂で二人で食べた、かなり大きくしかも焼き加減や味付けもだった。
「これはかなり」
「美味いであろう」
「はい」
そうだとだ、博士にも答えた。
「美味いですよ」
「そうであろう、ここにおるロボットはな」
その料理用ロボットはというのだ。
「わしの自信作の一つじゃ」
「最高の料理用ロボットですか」
「うむ」
まさにその通りだというのだ。
「だからじゃ」
「これだけ美味しいんですね」
「そうじゃ、ステーキだけではなくな」
「そういえばサラダやスープ、オードブルも」
「美味かったであろう」
「そうでした」
味わったからこそ言える言葉だった。
「幾らでも食べられる感じで」
「そうであろう、フランス料理しかもパリのな」
「そこのですか」
「三つ星レストランのシェフ味をじゃ」
「再現したものですか」
「素材はわしが集めた」
博士自身がというのだ。
「最高級のものばかりのう」
「そこまでされたんですか」
「金はある」
博士は金には困っていない、錬金術も極めているので賢者の石から黄金もダイヤも好きなだけ出せるからだ。
「そして金はじゃ」
「いつも仰ってますね」
「使う為にある」
自身の研究や開発だけでなくだ。
「こうした場合にもな」
「使うものですか」
「そうじゃ、金を溜め込む趣味はない」
少なくとも博士には何の縁のないことだ。
「だからな」
「お金もですね」
「使って集めたのじゃ」
最高級の食材をというのだ。
「牛は松坂牛じゃ」
「あの牛だったんですか」
「海の幸は明石や広島、そして野菜や果物もな」
各地から選りすぐったものであった。
「そこに最高級のシェフの腕と最高の調理器具じゃ」
「この味にならない筈がないですね」
「そうじゃ」
こう言ってだ、博士もそのステーキを食べるのだった。
第二百九話 完
2015・2・5
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