レインボークラウン
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第二百八話
第二百八話 戦艦の中の食事
小田切君は博士に食事のことを聞いた。
「メニューは」
「うむ、メインはステーキにじゃ」
博士も小田切君のその問いに答える。
「ヒレのな、六百グラムじゃ」
「それは見事ですね」
「サラダはポレトサラダ、スープはパンプキンじゃ」
それのポタージュだというのだ。
「オートブルはテリーヌ、魚もあるぞ」
「お魚は何ですか?」
「鮭のカルパッチョ、パンもあるぞ」
「豪勢ですね」
「デザートはザッハトルテ、ワインはトカイ」
「ああ、トカイですか」
「どうじゃ、立派じゃろ」
博士も誇らしげな顔である。
「今日の昼食は」
「何か一流ホテルのディナーみたいですね」
「ほっほっほ、船の中ではいいものを食わなくてはな」
「駄目なんですか」
「それが船旅じゃ」
まるでクイーン=エリザベス二世の中の様であるが博士は小田切君に対して軍艦でもそうだと語るのだ。
「豪勢でなくてはのう」
「そういえば海軍も」
「帝国海軍も美食じゃったな」
「それでなんですね」
「わし等もな」
「その海軍みたいに」
「海軍以上にじゃ」
美食を楽しもうというのだ。
「そうしようぞ」
「そういうことですか」
「うむ、では食堂に行こう」
博士は小田切君をその食堂に誘った。
「広くていい食堂じゃぞ」
「広いっていいましても」
小田切君は博士のその言葉にも言った。
「船の中にいるのは僕達二人だけですよ」
「何、気にすることはない」
このことについても平然としている博士だった。
「これも趣じゃ」
「広い部屋の中で食べることも」
「そうじゃ、全てロボットがやってくれるしな」
調理も清掃もというのだ。
「我等は楽しめばよい」
「それだけですか」
「小田切君は見ているだけでよい」
「戦いの時も」
「そうじゃ。じっくりとな」
こう小田切君に言って彼と共に食堂に向かうのだった。博士は戦いの前においてもその余裕を失ってはいなかった。
第二百八話 完
2015・1・30
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