虎退治
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8部分:第八章
第八章
大きな爆発を起こしたのだった。虎は轟音と共に爆発しそこに倒れた。
「おい、やったぞ!」
「ああ!」
「虎を倒したぞ!」
四人はそれを確かめて歓声をあげた。
「俺達はやったんだ!」
「あのデカブツを倒したんだ!」
「虎をな!」
口々に叫ぶ。勝利を手に入れたことを喜ぶ。そう、彼等は勝ったのだ。
「後は来ないよな」
「ああ、間違いない」
バージルが仲間達に述べた。
「あいつは偵察だ。ずっと一両で来たからな」
「というとそれを倒したら」
「当分は大丈夫なんだな」
「絶対な。俺達は勝ったんだ」
このことをまた言うバージルだった。
「とにかくだ。今はな」
「今は?」
「後方に下がろう」
まずはそれからだった。
「いいな、それからだ」
「一応逃げるか」
「それからか」
「ああ、それからだ」
まずはそれだというのだった。
「いいな、逃げるぞ」
「万が一次が来ないうちにだな」
「下がるか」
「そうしよう。いいな」
皆バージルの言葉に頷く。そうしてだった。
戦車はまだ火を噴いている虎を見ながらその横を通り過ぎていく。そのまま後方に下がっていく。下がっているうちに朝になった。
朝になるとだった。雨が止んだ。そして霧も晴れていた。
「雨が止んだな」
「ああ」
「これでな」
彼等は雨が止み晴れようとしている空を見上げながら言った。
「これで航空隊が出られる」
「俺達は勝てるんだ」
「反撃だ」
既に空に出て来ていた。数機の戦闘機がもうだった。
そして前から彼等の前に出て来ていたのは。
「おい、出て来たぞ」
「戻って来たんだな」
「俺達の部隊だ」
彼等も来た。これまでの劣勢が変わろうとしていた。
「これで勝てるな」
「ああ、間違いない」
バージルは晴れ渡った顔で仲間達に告げた。
「これからな」
「俺達の反撃がはじまるんだ」
アルデンヌでの戦いが変わろうとしていた。虎退治を果たした彼等の前に勝利が来ていた。雨の下での劣勢が晴れやかな勝利に変わるのだった。
虎退治 完
2009・10・21
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