東方魔法録~Witches fell in love with him.
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57.決着~She has not finished her love yet.
前書き
えー…。更新が遅くなって申し訳ないです。
いつぞやのTSものを書いてるといってたやつをupしてます。『電子の世界の奴隷アリス~ご主人様は愛しい妹~』です。思いっきり宣伝になります。ぜひ読んでやって下さい。
―Final stage―
霊夢は魔理沙を置いて、自分だけ図書館を出て異変の元凶を探していた。
「あぁ…もうなんかめんどくさくなって来たわ」
「なら帰ればいいじゃない。もう夜よ?」
そんな霊夢の前に、ミニスカメイド服を着た女性が現れた。
持っている時計で時刻を確認して霊夢に告げる。
「もうそんな時間?通りでお腹がへったと」
「成る程、お腹が空いてるからイライラしてるのね。エサでも食べる?」
彼女の名前は十六夜咲夜。瀟洒なメイドである。
ポケットに銀色の懐中時計をしまいながら霊夢を挑発した。
「食べる!」
「え」
「え?」
「冗談だったのだけど…」
「……………」
れいむ は むごん で ふだ を とりだした ! ▼
霊符「夢想封印」
強力な霊力の弾が咲夜を襲う。
慌てて臨戦体制を取ったが、構えるのが遅かったようで普通なら攻撃が当たるはずだっただろう。
だが、相手の攻撃が例え目にも留まらぬ速さだとしても、咲夜は当たらない自身があった。何故なら自分には『時間を操る程度の能力』を持っていたから。
それこそ、時が止まってでも時間稼ぎができる。
霊夢がスペルカードを宣言したと同時に自身の能力を使い、自分以外の時を止めた。
「無駄無駄無駄無駄ァッ!」
奇術「幻惑ミスディレクション」
全ての時が止まった世界で、咲夜は迫りくる霊力の塊から一人優雅に身を遠ざけた。
同時にお返しだ、と言わんばかりに大量のナイフを霊夢に向かって投げる。
そして時が動き出す。
「いつの間に!?」
「追尾式!?」
霊夢からしたら突如目の前に現れた大量のナイフに、咲夜は躱したはずの攻撃が自分に向かってくることにそれぞれ驚いた。
「くっ!」
「ちぃ!」
―ピチューン!
お互いに予期せぬ不意打ちに成す術もなく被弾した。
「あーあ、残機が減ったじゃない」
「こちらの台詞です」
霊夢はヤダヤダと実に面倒くさそうな仕草をしたあとに、ニヤリと笑って唐突に言った。
「時を止めるなんてデタラメね」
「な!?御嬢様でも初見で見破られなかったのに!?」
「スキあり!」
夢符「封魔陣 縛」
霊夢は咲夜が同様しているスキをついてスペルカード(アレンジ)を宣言した。汚い、流石博麗の巫女汚い。
「封魔陣」とは逆に、「封魔陣 縛」は封魔の札が相手を囲んで狭くなっていき、捕縛するスペルである。
自分の能力が当てられて狼狽していた咲夜を絶妙なタイミングで、縄みたいに繋がった札がぐるぐる巻きに縛りあげた。
みの虫みたいに縛り上げられた咲夜は逆さに吊るされた。
「フッフッフ、私にかかれば妖怪なんてこんなもんよ」
「私、人間なんだけど」
さすが咲夜さん!
逆さ釣り状態でも瀟洒な態度を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!
「そうなの?まあ、そんなことはどうでもいいわ。
…で、そろそろ姿、見せてもいいんじゃない?お嬢さん?」
その言葉に呼応するかのように、何もなかった筈の廊下の壁に扉が現れて、ひとりでに開いた。
その扉の向こう側には、夜のテラスで紅茶を飲んでいる少女の姿があった。
彼女の名はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主であり、この異変の首謀者でもある。
妖しく照らす、紅い月明かりの中でもはっきりと紅く光目を霊夢に向けた。
「咲夜の能力を見抜くなんて、やるじゃない」
「勘よ、勘」
「博麗神社の巫女の勘は予知能力か何かかしら?私の存在もわかっていたようだし」
「これだけ妖力垂れ流しにしていたら嫌でも気付くわよ。そこのメイドが妖怪と勘違いするほどに」
「気付いて貰わないと困るし。この館、前より広くなったから迷子にでもなられたらこまるもの」
すると、いつの間にか拘束を解いた瀟洒なメイドがレミリアに頭を下げた。
「すいません御嬢様」
「勝負のことを言ってるのなら、一機減らしただけでも十分よ。
広くしたことを言ってるのなら、ウチは大所帯になったから助かってるわ」
「お言葉、痛み入ります
それでは準備がありますので、私はこれで」
咲夜はレミリアに頭を下げたまま、何処かへ消えてしまった。時を止める能力を使ったに違いない。
「なかなか出来るメイドね。そんなあなたはつよいの?」
「さあね。あんまり外に出して貰えないの。私が日光に弱いから」
「……なかなか出来るわね」
「こんなに月も紅いから本気で殺すわよ」
「こんなに月も紅いのに」
楽しい夜になりそうね
永い夜になりそうね
………………………………………
……………………………………
…………………………………
ーExtra stageー
「むきゅむきゅ、むきゅむききゅ」
「魔理沙が俺の弟子だろうが、知ったことじゃない」
「むきゅむきむゅ、むきゅむきむゅ」
「俺はパチュリーだけを愛しているに決まってるし、パチュリーも俺だけを愛している」
「むっききゅきゅむきゅーきゅむきゅむ」
「10年そこらのぽっと出にとられてたまるものか」
「むっきゅー!」
「わかったかー。だって」
「えっと…師匠はよく分かるよな…」
パチュリーが興奮して、ごく限られたもの(現在は俺とその言葉を使うパチュリーだけ)にしか理解できない『むきゅー語』を使い始めたので、通じないであろう魔理沙に翻訳していた。
そのパチュリーは俺を渡さないと言わんばかりに抱きついて魔理沙を、猫が威嚇するように目尻を釣り上げていた。
「師匠はッ…、そ、その人のことが好きなのか?」
魔理沙の目から今にも涙が零れ落ちそうで、顔は既に真っ赤になり破裂しそうだ。
パチュリーも大概だけど、俺もその辛辣な言葉を翻訳してそのまま魔理沙にぶつけたことは少しは悪いと思っている。
まだ、彼女は子どもだ。惚れた腫れたはあるかもしれないけど、嫉妬とかドロドロしたものは早すぎたかもしれない。
あり得ない話だが、もし、もしもパチュリーと俺が恋人で無かったら、恐らく魔理沙の告白を受けていたかもしれない。
まあ、可能性だった話だ。不確定で過去形。
俺はパチュリーが前世も含めて一番だ。
魔理沙には悪いと思うけど、それが答だ。
「もちろん」
俺の言葉を聞いた瞬間、堰を切ったように魔理沙の目から涙が零れ落ちた。
「ううっ…グスッ…」
すると、パチュリーはスッと両腕の拘束を解いた。…ありがとう。気をきかせてくれて。
俺はしばらく魔理沙の頭をなで続けた。
「んー?お客さん?」
目を擦りながら現れたのは、手加減を覚えたフランドール・スカーレット。さっきまで寝ていたようだ。
「こんばんは。起きるのが遅かったわねフラン」
昼夜逆転の吸血鬼は日が沈む夕方頃に起きる(設定)。なので『御早う』ではなく『こんばんは』である。
「こんばんわー。で、明希に撫でられて泣いている白黒は人間?」
「そうよ。……丁度いいわ。二人にあそんでもらいなさい」
「「え」」
「わーい!弾幕ごっこをして遊びましょうお兄様、白黒!」
待ったと、言う暇もなくフランはスペルカードを宣言した。
禁忌「レーヴァテイン」
燃え盛る炎の剣を振り回し、弾幕を飛ばす。
たまらず明希は魔理沙を掴み、回避に入った。
「ちょ、ちょっとパチュリー!?」
「大丈夫。本棚は私が守るから」
「あ、なら安心」
「え!?そう言う問題なの師匠!?」
さっきの戦闘で、小悪魔が張った結界が無くなったから本がどうにかならないか心配だったよ。パチュリーが守るなら安心だ。本が燃えたら俺もパチュリーもショックを受けて何をするかわからないし。
「ここは折角だから、師弟でフランと遊んであげようか」
「でも師匠、私師匠と連携なんて自身ないぜ」
「大丈夫。耳をかして」
俺は魔理沙に今からでも出来る、二人だけのスペル名を教えた。
「それなら出来そうだぜ!」
「じゃあいくよ、準備はいい?」
「おう!」
師弟「ダブルスパーク」
いつの日か魔理沙を助けた時に使った白金色のレーザー、天誅(45 金銀参照)を魔理沙のマスタースパークに掛け合わせた強力なレーザー、ダブルスパークが放たれてフランの炎剣レーヴァテインと衝突した。
フランは楽しそうに剣を握る力を強めて、明希は不敵に笑い、魔理沙は嬉しそうにレーザーに魔力を込めた。
後書き
戦闘描写って難しい…。とくに弾幕とかは言語化し辛いです。
適当感は否めないんですけど、紅魔卿本編は終わりです。
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