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剣聖龍使いの神皇帝

作者:黒鐡
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第1巻
  二人とデート前×双方の記憶

ホームルームが終わった後に、今日はこれにて下校の時間だ。時間にして正午過ぎではあるが、亜鐘学園は全寮制となっているけど、俺の場合は送迎車があるので家に帰るというのはこの学園には俺と静乃だけだろうな。あと零家に住んでいるという事で、場所的には警備員の厳重なチェックがあるから俺の家には遊びに行く事は出来ない。配られた大量のプリントを鞄に入れてから、帰りの準備をしていた。

「ちょっといいかしら?」

静乃に声を掛けられたので、顔を上げる。入学式当日にして早々の出来事なのか、自然と耳目を集めてしまった。クラスの数人が何気なく視線を向けてくる。サツキは窓際の席で耳をデカくして傍立てていた。

「今日この後暇かしら?」

「暇だが?・・・・もしかしてデートのお誘いか」

この学園には生徒手帳というのは存在しないが、代わりに金属で出来た認識票(IDタグ)である。これは学校名、名前、性別、学生番号などで、通力あるいは魔力を流す事で、前世で自分が使っていた武器やゴーレムを顕現させる事ができる道具。だが俺の場合は、擬態化させたドッグタグで、ISの待機形態だ。入学前にこれを貰った後に自分用のを創っといたモノを首にかけた。

「ええそうよ。私とデートしましょう」

俺が誘っているのか?と言ったら肯定となった。様子見していたクラスメイト達がざわめいていたが、野次馬根性丸出しで俺が何と返答しようか見守っていた。サツキは気が気でないような様子でサイドテールをいじっていた。

「これからか?まあ費用ならこちらが持つ。沙紀、この後のスケジュールは空いているか?」

「今日はこれで終わりと聞いていたので、空いております諸葉様」

「と言う事で暇だそうだが、どこに行く?」

「ちょっと!何で兄様が平気そうな顔をして言ってるのよ!」

これからデートに行こうと言って沙紀に確認させてから、行こうと言ったら第三者の介入がしてきた。サツキだったけど、周りの男子達は女同士の修羅場となるぞ?的な事をヒソヒソ声が交わされるが、その男子の後方に向けて手を突っ込みハリセンでブッ叩いて上げた。叩かれた男子達は後ろを見たら、浮かぶ腕とハリセンだけだったので何だこれは!?となった。

「そこの男子、聞こえているぞ?ヒソヒソ話をするなら、もう少し小さく話したらどうなんだ?」

サツキの介入だったが、静乃にとっては誰?という感じだったが叩いた男子の視線は、静乃の胸に集中していた。俺の机を挟んで静乃と対峙していたが、俺にとってはどうでもいい事だ。沙紀の介入をしてもいいが、ここは穏便に解決させたい。

「灰村君、デートの話の続きだけど・・・・」

「何サラッとあたしの事無視してんのよ、あんたぁ!?」

目も合わせようとしなかった静乃に、サツキは大声で抗議した。静乃も静かに抗議をした。

「嵐城さんだったかしら、これは私と灰村君の関係なの。邪魔しないで欲しいわ」

「いきなり諸葉とデートするぐらいだったら、あたしと遊んで!」

「静乃とデートするから、遊ぶのは今度な」

「何でこの女とデートする必要あるのよ!」

「お前らいい加減落ち着け、この場で言ってやるがサツキとの前世では恋人関係であり、静乃との前世での関係は妻関係だ。俺は前世二つ持ちという希少な者だ」

そう言ったら前世二つ持ちだと告白したのか、野次馬の者達一斉に前世二つ持ちという所で驚いていた。サツキも静乃もそうだけど、俺にとってはこの世を創った創造神として見てきた。まだバレていないが、いずれは俺の正体は分かると思う。

「全く、では今日は三人でデートするのであればもう騒ぐなと誓うか?サツキ」

「私は構わないけど、嵐城さんは?『三人でいい』という事で決まりのようね」

サツキと静乃の了承を受けてから、俺と沙紀はこの場をあとにしたが野次馬達はリア充死ねとか言ってくるんで、ハリセン千叩きを喰らった者達だった。嫉妬剥き出し状態の者にはキツイお仕置きを喰らったが、静かに去っていく者達が多かった。そういえば本来ならば、静乃の胸に顔をうずめるんだったか。何か今更だけど、原作回避してないかと心配した。高校入学初日から、女子二人とデートする事となった俺だったが、学生寮ではなく俺の家に帰るのも面倒だから静乃と一緒に駅前に行った。

女子寮へ戻ったサツキは、自室のシャワーを浴びていたようだ。俺と静乃には・・・・。

「着替えてから駅前集合!」

だと言ったが、二人は・・・・。

「「この足で行けばいいんじゃないのか?」」

という顔をしていたが、認めなかったサツキだった。これから諸葉と初デートだからなのか、テンションがおかしくなっていた。熱めの湯が心地良い、体が軽い。まるで羽になったような気分でサツキは伸びをする。思い起こせば、前世の記憶を夢として見るようになったのは十歳の頃。初めはただの不思議な夢としか思わなかったのだが、夢の中でのサツキは、可憐なお姫様でありそれで剣術も得意で凛々しいところもあり、理想の姿がそこにあった。夢の中ではいつもサツキの傍に、一人の剣士がいた事もだ。

フラガという名のその彼は、強くて、かっこよくて、しかも自分の事を大切にしてくれて、愛してくれるという完全無欠の兄様だった。サツキはフラガに恋したが、それは初恋であり、輪廻転生してからもう一度恋に落ちたというのが正しいかもしれない。夢の中の人物を好きになる何て事が、不健全かもしれないと当時は悩ましい事ではあったが乙女心はノンストップだった。何千万年という時間、何億光年という距離を越えて、サツキは諸葉と再会する事が出来た。これを運命と言わずして、何を運命と言うのか?

「(好き!諸葉が好き!大好き!!!)」

ホントは記号にハートが入るのだが、この文面状ハートマークの記号は使えないので!マークで代用している。胸の内の物が抑え切れなくなり、大声で叫ぶ。甲高い声が浴室の中で、爽快に反響する。もし他の誰かがいたら、問題発言となっているがここは一人部屋なので何も問題なく叫んでいた。前世でのフラガとの仲は、兄妹間の許されざる愛。禁忌への背徳感で燃え上がっていたけれど、どこの誰からも祝福されてない関係ではある。諸葉とは、血縁上と戸籍上では繋がってはいないし、結婚でも合法。というのが恐れていない状況となっていた。

「い、いけないわ、サツキ。実の兄妹でそんな事考えちゃダメ~ん!」

シャワーの栓を締めながら、サツキはクネクネと身をよじらせるがまるで恋姫†無双の時からいた貂蝉を思い出す。アイツは漢女という自称持ちだが、見た目はオッサンだったからよく覚えている。拠点D×Dでは、華佗と卑弥呼と一緒に針治療のクリニックを創業させてから、仕事や外に出る時などは女の姿となるが、主に俺や華佗だけとなると元の姿となる。あー、あんまり思い出したくないが、サツキのクネクネで思い出してしまうとは・・・・。ちなみに今までの語り部は無論俺であり、精霊や神仏の類が随
時報告してくるようになった。

髪も生乾きのまま、頭にタオル一枚被っただけのサツキが自室を横断する。亜鐘学園寮では部屋をシェアしないので、完全一人部屋でIS世界のようにルームメイトとかもいない。肌や髪も磨きたい所だが、今は時間がないのでさっさと服に着替える。今頃、諸葉と静乃が二人っきりになっているという事を知らずではあるが、そういう展開にならないようにするために手入れ不足分は他で取り返せばいい事。

「ママには『背伸びしすぎじゃない?』って笑われたけど、買っておいて正解だったわ」

クローゼットの引き出しから取り出したのは、ブラとパンツを取り出すがシルクの黒だった。言わずと知れた妖艶なる大人の証、とサツキはそう思っているのか官能の世界への通行許可書だと勘違いしている。

「でもキスくらいだったら、ね~~~~~~~~~!」

サツキは胸の前で下着を握りしめながら、イヤンイヤンと体をクネらせた。一方俺と沙紀に静乃三人で駅の北口でサツキを待っていた。ホントは俺も家に帰ってから、着替えたい所だがここから一度帰ってからここに来るのも面倒なので、いつでも車に乗れるように待機はさせている。この町には北部繁華街と駅前繁華街という主な遊び場が二つ存在するが、県外出身者であるサツキが駅しか辿り着けないという事情からのチョイスである。俺はいいとして、静乃はサツキにああ言われたが家に一旦戻るというが嫌で俺と同じく制服姿だった。

「そういえば前世でもそうだったが、長い髪が似合うな」

「そうかしら?私にとってはこのクセ毛が気になるんだけど・・・・。それとなぜ灰村君『諸葉でいいぜ?』私も静乃でいいわ、諸葉はなぜ寮に戻らないの?」

「俺の家はここから車で通うように許可もらったんでな、送迎車を手配するところだが、これからデートするのなら一度帰るという選択肢を消したのさ。静乃の家である漆原家も似たようなもんだろ。あとは俺との関係は家では内緒な?漆原家に俺と静乃の前世関係が夫婦と知れば、面倒な事になるからな」

「そうなの・・・・。何だか輪廻転生でまたあなたに会える何て運命よね」

まあそうさせたのはこの俺であり、輪廻転生システムを構築させてこの世界に存在する宇宙で存在した英雄を現世の地球に来させたという事か。それと先ほど田中教師からの説明の続きとして、創造神黒鐵の周辺には人間として生きながら様々な歴史を見てきたと書かれていた。使う武装とかも詳しく書かれていたが、聖剣エクスカリバーに赤龍帝の籠手や神の力などが書かれていて、二つの前世持ちの事を太古の英霊(エンシェント・ドラゴン)を言うが、創造神の力が使える者を神皇帝と呼ばれると書いてあった。

静乃が前世の記憶を見るようになったのは、一年前の事。それが《救世主(セイヴァー)》と呼ばれる超人達の共通点である事は、家庭の事情から知っていた。亜鐘学園理事を務める者が、漆原家で静乃の兄だと言う事は知っている。静乃自身もその超人の一人である事を、驚きつつもすぐに事実と受け入れた。静乃は前世に於いて王佐の魔女、冥府の魔女と恐れられていた魔法使いであった。禁呪を識る最悪の魔術師、冥王シュウ・サウラの右腕として、世界を敵に回して戦った。己の全てを捧げた王のためであれば、誰にどれだけ恨まれようと構わなかった。何千万年という時間、何億光年という距離を越えて、静乃は愛しき王と再会する事が出来た。 
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