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ドリトル先生と学園の動物達

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第八幕その四

「だから、先生はね」
「そういうところが駄目なのよ」
「そもそも論文ってすぐに書かないといけないの?」
「今すぐになの?」
「それなkら仕方ないけれど」
「そこはどうなの?」
「締切は一週間後だよ」
 これが先生の返答でした。
「あと半分あるから急がないとね」
「あと一週間なら問題ないよ」
「一日位書かなくても」
 ガブガブとトートーもやれやれでした。
「先生論文書き慣れてるし」
「一週間あったら書けるじゃない」
「今日位休んでもよかったよ」
「幾らでも時間あるじゃない」
「そこで何でそう言うかな」
「論文を優先させたのか」
「いや、論文は早いうちに書かないとね」
 先生はガブガブとトートーにも言うのでした。
「締切の三日前には」
「あのね、三日って」
「それはどうなのじゃ」 
 ホワイティと老馬も呆れ顔です。
「その前日でもいいじゃない」
「いつも三日前でなくともよいぞ」
「しかも気付いてないし、先生」
「全くな」
「これじゃあね」
「日笠さんが可哀想じゃな」
「だから何で皆そう言うのかな」
 どうしてもわかっていなくて言う先生でした。
「論文は大事なのに」
「人生論文よりも大事なことがあるよ」
「それこそね」
 チープサイドの夫婦も先生の手元から言います、ちゃぶ台のそこから。
「あのね、もっとね」
「もっとしっかりしないと」
「人生は学問だけじゃないよ」
「論文は締切間際でもいいのよ」
「一日位普通にやり繰りしないと」
「人生いいことにならないわよ」
「そうなのかな」
 首を傾げさせて返す先生でした。
「僕は学者だから論文は真面目に書かないとね」
「だから三日前に書き終えなくてもいいんだよ」
「別にね」
 最後にオシツオサレツが言いました。
「そんなのはね」
「皆の言う通り三日前じゃなくてもいいんだよ」
「前日で全然いいじゃない」
「何でそこでいつも通りするかな」
「だからそこはね」
「融通を利かせないと」
「僕は融通は考える方だと思うけれどね」
 少なくとも他のことには融通を利かせます、先生は杓子定規でも石頭でもありません。むしろかなり柔軟な人です。
 ですがそれでもです、先生はまた言うのでした。
「まだ足りないのかな、そういうところが」
「気付くこと」
「そこが問題だよ」
「先生のこのことについての融通はね」
「そこが大事なんだけれどね」
「そうなんだ、まあとにかくね」
 また言う先生でした。
「これからお風呂に入って論文書くよ」
「これは本当に大変だよ」
「日笠さんにアドバイス出来たらいいのに」
「私達でね」
「日笠さんも私達の言葉がわかって」
「それが出来たら」
「本当にいいのに」
「けれどこれで間違いないわね」
 ポリネシアの声がここで確かなものになりました、そのうえで言うことは。
「日笠さんはね」
「うん、そうだね」
「いい感じだよ」
「じゃあ日笠さんをね」
「応援しましょう」
「日笠さんはお付き合いで誘ってるだけだよ」
 やっぱり気付いていない先生でした。 
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